mizuyashikiのブログ

横浜ベイスターズを中心にその時に考えていることを書きます。

タイラー・オースティンの逆転満塁弾は空砲ではない

9月26日 対広島(横浜スタジアム)  8-10 負け


今日は随分とアップダウンの激しい試合だった。


牧がツーランを打ち、三嶋が打たれ、オースティンが逆転満塁弾を打った。そして9回表に山﨑康晃が炎上して敗けた。その都度、歓喜の声をあげ、そして苦い想いを呑み込んだ。


これまでにもこうした試合は何度もあったと思う。いや、実際にあった。ついつい、いつもの様に、記憶の中にあるベイスターズの酷い敗け方カタログからサンプルを取り出して比べてみたり、いやいや、まだあの時ほどは酷くないと自分に言い聞かせようとしそうになるが、それが良くない傾向であることは経験的にわかっている。


夜になって、今日の試合の記事が神奈川新聞にのった。


「DeNAオースティン、逆転満塁弾も空砲とは」


カナロコに会員登録しているので、すぐ目に入るのだ。会費を払って不幸のお知らせを受け取ることが多い。今シーズンは特にそうだ。


プラスの後にマイナスがあると、相殺してプラスは無かったことになるのだろうか?
マスコミの扱う「情報」としては確かにそうだろう。しかし、当事者(と今日は呼ばせてもらおう)にとってはそう言うことにはならない。


私はこれまで生きてきて、わずかな成功と膨大な数の失敗を繰り返してきた。合算すると、マイナス51.2だ。多分そうだ。しかし、そんな計算は私自身にとっては何の意味も持たない。私はプラスとマイナスのそれぞれを、つまり、喜びと悲しみと耐えがたい悔しさの一つ一つをおぼえている。そして、それらは決して相殺されない。


野球の話に戻ろう。


今日の試合で7回裏無死満塁からセンターにホームランを打ち込んだ時の、あのタイラー・オースティンのプライドに溢れた顔は、野球の試合の中で唯一、相手チームの誰も何の対策も取ることができないあの滞空時間での誇らしい表情は、その後惨めに逆転され試合に敗れても決して私の脳裏から離れることはない。そして、森下のカーブを完璧に捉えた牧のあのスイングの軌道も私は忘れない。勿論、呆然と虚空を見ていた三嶋の眼も悲しげにうつむいていた山﨑康晃の横顔もしばらくは忘れられないだろう。


野球というゲームは、総合点を競うものなので、得点と失点はそれぞれ合算することになる。8対10で2点差の負けだ。でも、私は今書いた一つ一つの出来事を合算して相殺してしまいたくはない。私にとって、タイラー・オースティンの逆転満塁弾は空砲ではない。


ベイスターズはこれからもたくさんのプラスとたくさんのマイナスを私に見せてくれるだろうと思う。そして、私は彼らと共にそのひとつひとつに喜び、泣く日々を送ろうと思う。