ところでクローザーは誰にすれば良いのか?
昨日の記事では、開幕時点を想定して先発ローテーションを予想してみた。
多少の不確定性はあるものの、おおむね妥当なところにおさまったのではないかと考えている(個人の感想であり、効果を保証するものではありません)。
それに比べると、クローザーは難しい。
何試合か悔しい逆転負けを喫したし、それ以外の試合でもかなり危ないシーンがあった。
昨シーズンを通して苦労した印象が強い。
今日はクローザーについて考えて見ることにした。
まずは、昨年度9回に抑えとして登板したことのある三島一輝、エドウィン・エスコバー、山﨑康晃、伊勢大夢の4投手について成績を整理してみる。
三嶋、エスコバー、山﨑の3投手はいずれもおよそ60試合に登板しておりフル回転だったことがわかる。
防御率は伊勢投手が2.80で4人の中で最も良く、三嶋投手の4.08が最も悪かった。やはり、クローザーの防御率として4点台というのはなかなか厳しい。
奪三振率も伊勢投手が9.68で4人の中で最も良く、山﨑投手の6.38が最も悪かった。
伝家の宝刀ツーシームが攻略されつつあることがここからもわかる。クローザーにとって、三振が欲しいところでとれるようなボールがあるのはやはり心強い。
WHIP(1イニングに出塁を許す打者の数の平均値)ではエスコバー投手が最も優れており1を切っている(0.85)。そして、この背景には、彼の被打率が.188と優れていることがある。
他方、三嶋投手のWHIPは1.36と高く、被打率も.287とリーグの平均打率以上となってしまっている。うーん、こうして見るとやはりかなり厳しい。
FIP(防御率がチームの守備力に依存する点を改良するために、守備に依存しない被本塁打、与四死球、奪三振のみに着目した投手単体としての指標)でも伊勢投手が最高で、ここではエスコバー投手が最も悪い。
エスコバー投手がランナーを出さない割にはFIPが高い(悪い)のは、被本塁打が7本と多いことと、本塁打を除くグラウンド内に飛んだ打球が安打になった割合(BABIP)が通常3割程度と言われているのに対して.204と低い(少なくともこの指標では守備に助けられている部分が大きいと言う評価になる)ことも理由と考えられる。
ちなみに、被本塁打数は三嶋投手の8が最も多く、悔しい負けが多かった彼の昨シーズンを象徴するような数字だ。
以上から考えると、首脳陣が後半期待を寄せていたように、伊勢大夢投手がクローザーには適任なようにも思える。
しかし、彼はプロ入り以来まだ一度もセーブに成功していないのだ。
伊勢投手が経験と自信を身につけて揺るぎないクローザーになることを祈りつつも、リスク管理の観点からは、他の策も考えてみなくてはならないだろう。
私の印象では、4人のクローザー候補は相手チームによって比較的簡単に抑え込めた場合と炎上した場合が分かれるように思う。
そこで、チーム別の防御率を比べてみたのが下の表である(防御率3点以下は青、逆に5点以上は赤で色分けしてみた)。
やはり、印象の通り、かなりばらつきがあることがわかる。
三嶋投手は巨人と阪神に打ち込まれているが、中日とヤクルトはよく抑えている。
エスコバー投手はひどく打ち込まれているチームはないが、巨人とヤクルトをよく抑えており、その他の3チームは3点台後半とやや悪い。
山﨑投手は広島、ヤクルト、阪神に打ち込まれているが、巨人と中日はよく抑えている。
伊勢投手は中日に打ち込まれているが、ヤクルト、阪神と広島はよく抑えている。
こうして見ると、対戦チーム毎にクローザーを分業体制にするというのは十分考えられる作戦のように思われる。ついでに言うと、8回を任せるセットアッパーとペアにして対戦成績の良い二人の投手に8回と9回を任せると良い。
クローザーが固定されていると準備がしやすいということが良く言われるが、対戦チーム毎に固定するのであっても予め出番は決まっているのでそれなりに調整できるのではないか。
そこで、対戦チーム別のセットアッパーとクローザーの組み合わせを整理していたのが下の表である。なお、選ばれたペアのうち防御率の低い方をクローザーとしたが、三嶋投手と山﨑投手はクローザーの経験値が高いことから優先したものもある。
と言うのが現時点での私からの提案だが、まだポジティブな不確実要素があることを忘れてはいけない。
このブログでも何度か書いているように、新入団のブルックス・クリスキー投手は、常時150km/hを上回る質の良いフォーシームと落差の大きいスプリットチェンジを持っており、AAAで奪三振率13.02、MLBでも8.74とクローザー適性を有している。
彼がNPBのボールやマウンドに慣れ、投球後に一塁側によろける欠点を修正できれば、新守護神として君臨する可能性はかなりあると思う。
また、実はこれが私は一番見てみたいのだが、昨年のドラフト一位である入江大生投手が抑えに転向することも考えられる。昨シーズン、彼はあまり良いところが無かったが、それでも最初の2〜3イニングはかなり抑え込んできたように記憶しており、リリーフの適性の方が高いように思えるのだ。
2月のキャンプそしてオープン戦での仕上がりを見ながら、今日の予想を見なおして行こうと思う。
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