mizuyashikiのブログ

横浜ベイスターズを中心にその時に考えていることを書きます。

真面目なカリビアン達も横浜反撃に向けて準備中

昨年はコロナ禍でのビザの発給が制限されたために外国人選手の入国が大幅に遅れ、それが開幕直後の大型連敗をもたらし、シーズンを通した低迷と屈辱の最下位につながってしまった。


その反省を活かし、今年はいち早く昨年から在籍していた外国人選手の全てが来日を果たしている。




14日に入国したエドウィン・エスコバー投手は、昨日24日に隔離期間が終了し、宜野湾キャンプ初日からチームに合流することが決まっている。


本日、彼は報道陣のオンライン取材に応じて、


「体調はすごくいい。今年も60試合以上投げることができるようにしたい」


と言っており、相変わらず頼もしい。


また、今季から延長12回制の復活が検討されていることについては、


「ブルペン陣の登板機会が増え、私の登板も増える。うれしいね。どんどん投げたいタイプなので楽しみ」


と言っている。彼は本当に投げるのが好きなようで、かつて、登板間隔が空いてしまうとむしろ調子を落としたこともあったくらいだ。


エスコバー投手はカリブ海に面したベネズエラの出身だ。


カリビアンと言うと世間一般には陽気な人々という感じだが、私がこれまでベイスターズで見てきたカリブ諸国出身の選手達は例外なく練習熱心で真面目だ。そして、笑顔の中でもどこか悲しげな目をしている。


悲しげな眼差しと言うと思い出すのはかつて在籍していたエレラ投手だが、フェルナンド・ロメロ投手も人気の一発ギャグのイメージとは違って悲しみを湛えた目をしていることがある。



ロメロ投手はエスコバー投手よりも1日早く隔離期間が終わり、昨日、オンラインの取材に応じていた。


来日1年目の昨シーズンについて、ロメロ投手は、


「前半はもう少しできた。後半は相手打者の特長もわかってきて、尻上がりによくなった」と言っていた。母国では充実したオフを過ごしたようだ。


「コーナーに投げ分けられるように、コントロールを磨いてきた。


オフには家族と過ごし、しっかりと野球に集中するということで日本に来ている」


2月1日から始まる初めての日本の春季キャンプについての意気込みも語っていた。


「しっかりとサインプレーや、チームがプランしてくれていることをこなしていく。日本の野球をもっと知ってやっていきたい」


「しっかりと一年間通してやり抜くこと。100%の力を出し切ってチームに貢献したい。横浜という街に恩返しができるように、いいものを見せていきたいと思います」


一旦ファームに落ちてNPBの野球にアジャストするための準備が整った9月以降は5連勝など素晴らしい結果を残した。

特に9月は3試合・22回1/3を投げて3勝0敗、防御率1.21という好成績だった。


2年目と言うことで対戦するチームの分析や対策もあるだろうが、彼の最大の武器である150km/hを常時上回るツーシーム(あるいは高速シンカー)は十分通用するだろう。きっと内野ゴロの山を築いて2桁勝利を挙げてくれるものと期待している。


そして、ネフタリ・ソト選手も隔離期間を終えて昨日オンラインで取材に応じた。


昨シーズンは123試合に出場し、規定打席数をクリアして打率.234、21本塁打62打点。来日以来4年連続の20発以上をマークした。


しかし、このブログでも何度か書いたように、来日してから最初の2年間に本塁打王に輝いた頃(2018年に41発で本塁打王、2019年に43本塁打、108打点で2冠)に比べるといずれの指標もはっきりと低下傾向にある。


オンライン取材では、


「昨年は到着が遅れ、さらに東京五輪開催で1か月の休みもあって、難しいシーズンだった。今年は早めに来られて、キャンプ初日からチームに合流できることがうれしい」


と言って笑顔を見せた。  



この笑顔の背景には、チームメイトのタイラー・オースティン選手に誘われて参加した米国(カリフォルニア)のトレーニング施設で掴んだ自信があるのだと思う。


日本の報道では、オースティン選手がソト選手と細川選手を誘ってアメリカで合同トレーニングということだったので合同自主トレのようなものかと思ったのだが。どうも実情はだいぶ違っていたようだ。


気になって少し調べてみると、ヒントはオースティン選手関連の記事にあった。


「数年前、カリフォルニアで(MLBヒッティング・コンサルタントの)ブラッド・ボイヤーとクレイグ・ウォーレンブロックのチームにバッティングの指導を受けたんだけど、それが大きなインパクトになっていて、スイングやタイミングに関しては、それを継続しているんだ」


右の大砲候補として期待されながらなかなか結果を出せず苦しんでいた5年目の細川成也にオースティンは「オフになったらアメリカで一緒にトレーニングをしよう」と声をかけている。実際、11月に細川はオースティンやソトとカリフォルニアで合流し、ともに汗を流した。


クレイグ・ウォーレンブロックというのは今をときめく「フライボール革命」の提唱者で、彼自身はMLBで成功した有名選手ではなく、メジャー各球団がいわゆるレジェンドをコーチとして集めていた20年前から選手と個人契約で指導していた。


初期にはこうした個人指導を禁止するチームが多く、ウォーレンブロックさんの指導を受けることは公然の秘密であったようだが、自分のバッティングを見失い低迷していた選手が指導を受けた後に大ブレークする事例が相次いだことでドジャースなど各チームの態度が変わった。


その後は、ウォーレンブロックさんからコーチングの方法とその実践を学んだレジェンドではないコーチ達がMLB各チームを席巻しつつある。


彼らの特徴は、優れたバッターと平凡な打者の打撃フォームをビデオで徹底的に比較分析することで、何が「良い」バッティングに必要なポイントなのかを明確にしたことだ。


ウォーレンブロックさんはダウンスイングや「ゴロを打て」等の従来の打撃指導者の口癖はほぼ全部デタラメだということを膨大なデータに基づき実証してみせた。


その結果がフライボール革命で、いわゆるバレルと呼ばれる強い(速い)打球を一定の仰角で打ち上げることでヒットの確率が飛躍的に上がるという理論だ。バレルに該当する打球は、長打の確率が上がることは勿論、短打の確率も上がるのだ。


NPBでも、当初は体格で劣る日本人選手がフライボール革命を真似するのはナンセンスだという声もあったが、今や、新たな標準として定着してきた感がある。


ウォーレンブロックさん達の指導のもう一つの優れた特徴は、フライボールという理論を画一的に押し付けるのではなく、各選手の体格や筋力そしてスイングの特性をしっかりと把握して、そこからどうやって改善していくのかという具体的な指導のプロセスを各選手に合わせて作っていくという点だ。


オースティン選手は数年前にこの指導を受けて、MLBでも屈指のバレル率を示すようになったし、恐らく、その人脈を使ってソト選手と細川選手にも同様のレッスンを受ける機会を作ったのだろう。本当に頼りになる男だ。


ソト選手は、昨年11月にウォーレンブロックさん達のトレーニング施設で約1週間、直接アドバイスを受けながら練習した。


「メジャーリーグで活躍中の打者のメカニズムについて教わり、非常に助けになった。ボールにコンタクトする瞬間の動作については、自分とも共通点があると感じた」


と彼自身かなり手応えを得た様子だ。


私は、ソト選手の復活には期待しながらもやや懐疑的な部分も残していたが、この話を聞いて大いに自信を深めた。


きっと大丈夫だ。そうだ、きっとうまく行く。