mizuyashikiのブログ

横浜ベイスターズを中心にその時に考えていることを書きます。

最近の今永先生





今永昇太投手はドラフト一位で駒澤大学からベイスターズに入団し、2016年のデビューから活躍した。


新人とは思えないほど落ち着いたそして独自のコメントが注目され、「投げる哲学者」というニックネームがついた。いくつか例を挙げてみる。


「負けた投手は何も残らない」


「援護がないという言い訳は防御率0点台の投手だけが言える」


「三振を取れる投手ではなく、勝てる投手がいい投手。力のない人間は練習するしかない」


「相手投手もDeNAの中継ぎも粘った。僕だけが粘れなかった」


「今日は広島ではなく過去の自分に勝った」


「雨だから負けていい、なんていうのはレベルが低い。幼稚な考え方。そこをどうするか考えることでランクが上がる。」


2016年はベイスターズ伝統の新人投手の無援護もあり8勝9敗だった。


チームとして初めて進出したクライマックスシリーズのセカンドステージで得意にしていた広島打線につかまって敗戦投手となり、試合後涙を流していた姿をその年のドキュメンタリーFor Realで見た。はじめて23歳の若者の姿を見た気がした。



その後、2017年(11勝7敗)と2019年(13勝7敗)と二度の二桁勝利を上げ、周囲からベイスターズのエースと見られる様になっていった。


しかし、好事魔多し、とは良くいったもので、2020年は本来とは程遠いピッチングが続き、8月に登録抹消。その後、迷っていたが肩のクリーニング手術を受ける決断を下した。


手術後のリハビリを経て、昨シーズンは5勝5敗。勝ち星という意味では物足りないものの、手術前のような威力のあるストレートで三振を量産する姿は、まさに復活を印象付けるものだった。


シーズン後のインタビューでのやりとりでは、「投げる哲学者」として次のように語っていた。


○エースの役割は果たせたように思えるが。


 「僕自身は柱になりたい気持ちはあるが、自分自身で精いっぱい。大貫とは最年長でローテーションを回っていて、常にフォロー役になりたいという話をしていた。野球だけではなく、弱みや愚痴をはき出せる存在がチームにいないといけない。今永さんには何でも話せるな、という先輩になりたい」


○もうそんな存在になっていると思うが。


 「いや、まだまだ。チームが負けていても、この人がいるから大丈夫という存在に。ベイスターズは若いチームで勢いがあるからこそ、僕自身がそんな存在になりたい」


○東が来シーズンなフル回転を誓っていた。


 「東が帰ってきたのは競い合う相手としても心強い。僕自身も不調に陥ったときに技術を見よう見まねする。野球の面でも大きい」


○来季はローテーションを守ることが必須か。


 「当然守るものだと思っていて、首脳陣もそう思っている。今年の成績ではファンに『来年も応援をお願いします』というせりふも簡単に言えない。また一から応援されるチームになるため、自分のタスク、課題をしっかりと把握して、全うできる力をつけることが大事。僕たちがやるべきことをやっているチームかどうかを見てほしい」



今年のキャンプでは、昨シーズンの復活傾向を確かなものとする様な順調な調整が続いている。トレーニングでも色々と工夫を凝らしているようだ。


片足立ちしながらもう一方の足を腰の位置まで上げて水平にし、そこから股関節を軸にして反復的に回転させる練習の動画がアップされていた。これは体幹の強化と股関節の柔軟性の向上を狙ったものだろうか。


チューブを腰にかけて他の投手を引っ張っていくようなダッシュを繰り返す姿もグラウンド上で何度か見られた。これはチームとしての指導だと思うが、やはり、下半身の充実を目指しているのだろう。


そして、ブルペンでは場違いに思えるような全身タイツ姿でボールを投げ込むシーンもあった。


このタイツは39個のセンサーが付いた特殊なもので、投球動作の際の関節角度、角速度、移動速度などを計測・分析する「オプティトラック」という最新機器を使った動作解析とのこと。


動作解析の結果をもとに、理想のフォームに向けて修正や調整を行っているようだ。



その甲斐あってか、ブルペンでの彼の投球を見ていると、ベストシーズンだった2019年のような素晴らしいストレートが戻りつつあるように思える。


今日のブルペンでは、ランナーがいる状況を想定してクイックモーションでの投球も確認していたので、本人も大分仕上がってきたという実感があるのだろう。


今シーズンは、今永投手自身、開幕投手を狙うことを明言している。


「チーム全員から『こいつでいいよな』と思われないといけない。それが開幕投手の理想像かなと思います。野手の人やスタッフの人からも『今永しかいない』と思われなければ意味がない。野球以外もしっかりしないといけない」


今永先生相変わらずですね。もう少し肩の力を抜いて人生をエンジョイしてもいいんやで。


そして今日のスポーツ紙で、3月に行われる侍ジャパンの台湾戦のメンバーにリストアップされている、という報道があった。


シーズン前ということでベイスターズファンとしては故障が心配にはなるものの、やはり頑張ってほしいという気持ちの方が強い。


今永投手は19年のプレミア12では2試合に先発した。特にスーパーラウンドのメキシコ戦では6回1失点と好投し、毎回の8三振を奪うなど、世界一に貢献したことは記憶に新しい。


その後、手術があって期待されたように侍ジャパンでもエースという道筋を順調に歩んでいるわけではないが、これからまた、その道に戻って彼自身の本分を尽くすような活躍を期待している。