mizuyashikiのブログ

横浜ベイスターズを中心にその時に考えていることを書きます。

雨降りだから野球映画でも勉強しよう



5月1日 対ヤクルトスワローズ 明治神宮野球場 雨天中止


昨日からの予報通り、東京は日中から雨。土砂降りということでもなかったので主催者は様子を見ていたが、午後4時半頃になって中止という決定が下った。日中は雨の中で東京六大学の試合が行われており、グラウンド状態も悪化していただろうと思う。


これで今週は2試合が中止となり、ベイスターズは1勝3敗で終えることになった。
チーム状態の良くない時期に試合数が少ないのは良かったと言う考えもなくは無いが、何だか物足りない気分のまま終わってしまった。


開幕以来の日曜日未勝利は6週に達した(ただし、3試合の中止を含む)。


先週から見ると、まず、横浜でタイガースに3連勝した後は広島でカープに3連敗。ジャイアンツに横浜で1勝したが、その後また3連敗。


ここ2試合はジャイアンツとスワローズに連続で完封負けを喫しており、チーム状態は低迷。特に攻撃陣が停滞している。


コロナ陽性から復帰した選手たちの活躍でブーストをかけることができず、むしろその前の良いバランスまで崩れてしまったのではないかという気さえしてくる。


とは言え、別に暗い気持ちになっているわけではない。勝てないことには慣れているし、その中でも夢を見ることにかけては卓越した技術を持っていると自負している。


上がり目だってあるさ。


エース今永と頼りになる宮﨑敏郎の復帰、そして、今シーズン戻ってきた球団OBのコーチたちの戦術が徐々にチームに浸透してくること、その先には主砲タイラー・オースティンの復活という大きなイベントも控えている。


終わってしまった今週の試合を振り返っていても仕方ない。かと言って明日も試合はない。


そうだ、今晩は雨降りだから、野球映画でも思い出してみよう。なるべく、弱小球団が頑張って反撃するストーリーが良い。



マネーボール


セイバーメトリクスという手法はMLBで開発された統計的なデータ分析で、その結果に基づいて選手を評価するとともに戦術にも活用するものだが、近年は日本のプロ野球でも広く活用されている。


セイバーメトリクスをはじめて積極的に活用した球団は2000年代のオークランドアスレチックスで、GMのビリー・ビーンが資金力ではヤンキースやレッドソックスに全く太刀打ちできない中でチームを強化するために採用した。


この映画は、ビリー・ビーンがアスレチックスを勝てるチームに生まれ変わらせるプロセスをセイバーメトリクスの黎明期と重ねて描いている。


監督は日本のテレビでお馴染みのアンミカさんの義理の兄弟でもあるベネット・ミラー。
ビリー・ビーン役はブラッド・ピットが演じた。


ストーリーは、元プロ野球選手のビリー・ビーンが当時弱小だったアスレチックスのゼネラルマネージャーに就任するところから始まる。しかし、就任してすぐにチームの主力選手が他球団に移籍してしまい、チームはさらに弱体化してしまう。


どう考えても大型補強が必要なところだがその資金が全くない。
そんな中でビリーはクリーブランドインディアンズでスカウトをしている統計データオタクのピーター・ブランドに出会い、彼の理論(セイバーメトリクスとそれを活用した戦術)に可能性を感じる。


インディアンズでは変人扱いされ不遇だったピーターを早速引き抜いて自分の助手にし、セイバーメトリクスを用いて、他のスカウトには評価されていない埋もれた選手を発掘して行く。


二人のアプローチは、万能型のスター選手ではなく、ある分野に特化して優れた選手を自分のチームに移籍させ、監督に選手を適材適所で使用するように指示するというものだ。この戦術は、はじめ選手や監督の反対にあったが次第に理解され、協力を得られるようになる。


そして、彼らの新しい戦術でアスレチックスは潤沢な資金で運営する他球団を打ち負かし、チームの改革が進んでいく。アスレチックスは結局優勝することが出来なかったが、その戦術を評価したレッドソックスは大金を積んでビリーを引き抜こうとする。


ビリーは首を縦に振らなかったが、セイバーメトリクスを採用したレッドソックスは2004年にワールド・チャンピオンになり、彼らのアプローチの正しさが実証される。


手前味噌になるが、ベイスターズもIT系企業ということでセイバーメトリクスを積極的に活用している。その他、各種の先進的な測定機器を駆使したスポーツ科学的手法で選手たちの潜在能力を最大限に発揮させるために専属のアナリストたちを抱えている。


こうした取り組みが、東京や大阪の巨大資本と言っても良いあのチームやこのチームを打ち負かして日本シリーズに出たのは2017年だった。もちろん、もう一回やれるさ。



キャプテン


キャプテンは41歳で早世したちばあきお(あしたのジョーで有名なちばてつやの実弟として記憶されている方が多いかも知れない)が描いた少年向けの野球漫画で、その後、テレビや劇場版のアニメも制作された。


物語は、谷口タカオ君が弱小だった墨谷二中の練習を見に行って入部するところから始まる。入部前の谷口君はその日転校前に所属していた青葉学院のユニフォームを着て行ったのだが、周囲は全国制覇した名門青葉学院のレギュラー選手と誤解してしまう。


谷口君は、実際には青葉学院では2軍の補欠だったのだが、本当のことを言いそびれてしまい、実力と周囲の期待との間の大きなギャップに悩み続ける。


そして、何とか皆の期待に応えようとして、父親と一緒に近くの神社で毎日ユニフォームがボロボロになるまで猛練習を積んでいき、影の努力を知った野球部のキャプテンは、彼を次期キャプテンに指名する。


谷口新キャプテンの率いる墨田二中野球部は全員がボロボロになるほどの練習を重ねて少人数ながら鍛え抜かれたチームに生まれ変わり、地区大会を勝ち上がり、とうとう決勝で青葉学院と対戦する。


地区予選など眼中にない青葉学院は当初2軍の選手を起用するが、墨谷二中の頑張りによって試合は大接戦になり、血相を変えた監督が次々と選手を交代し最後には全員1軍選手に代えていく。


墨谷二中は最後まで粘ったものの、1点差で惜しくも敗れた。
しかしこの試合での青葉学院でのルール違反の選手起用が問題となり、全国大会終了後に墨谷二中は再び青葉学院と対戦する。


この試合ではキャプテン谷口は指を骨折しながらもプレーし続け、1年生エースのイガラシもその谷口の闘志を見て、疲労困憊でフラフラになりながら青葉学院打線に立ち向かい、勝利して見事日本一になる。


このストーリーで、青葉学院を読売ジャイアンツ、墨田二中をベイスターズ、谷口君はジャイアンツからベイスターズにやってきた選手、そうですね、中井大介か宮國椋丞あたりに置き換えて読むと結構ワクワクします。



がんばれベアーズ


この映画は大分昔のものなので覚えている方はもう少ないかもしれない。


アル中の監督モーリスはウォルター・マッソー、彼の元恋人の娘で豪速球投手のアマンダを10歳で史上最年少のアカデミー賞女優となったテータム・オニールが演じた。


モーリスは元マイナー・リーグの選手だが、酒で身をもち崩し今はプールの清掃人。そんな彼に、野球が大好きだが下手な自分の息子が地域のリトルリーグでプレーできるようにリーグに掛け合い新チームを作ることを認めさせた市会議員が声をかける。


モーリスは報酬(本来は違法)をもらって監督に就任するが、寄せ集めの急造チームとの顔合わせ後にプレイをさせてみると、ヘタクソでまるでお話にならない。


最初の試合ではアウトひとつすら取れず、モーリスは仕方なく試合を放棄。


どうせやる気のないチームをやる気のない監督が指揮しているんだから別に良いだろうと言っていたモーリスだったが、悔しくて泣いている選手たちを見て少し気が変わる。


彼は戦力を強化することを決意し、まず元恋人の娘、11歳のアマンダを入団させる。彼女は豪腕のピッチャーで、外国製ジーンズの購入やバレエのレッスンに通わせることなどを条件にチームに参加。


そしてハーレーに乗って借金の取り立てをやっている不良少年ケリーも運動能力を見込んでスカウト。


アマンダの好投もあってチームは勝ち始め、ヘタクソだった選手たちも彼らなりに粘り強くプレーを続ける。ついには優勝決定戦に出場が決定。


対戦相手は常勝チームのヤンキース。


ヤンキース監督のロイは選手に対して非常に厳しく、体罰まがいのこともやり始める。
決勝戦では同じく勝利至上主義で汚い手も使おうとしていたモーリスだったが、ロイの態度を見て自分の采配を反省し、勝ちにこだわるのをやめる。


勝負所で、ヘタクソながら一所懸命の少年を替えることなく起用し、勝つよりも大事なことがあると言って打席に送る。最後はホームでのクロスプレーとなるが、アウトになって惜しくも敗れる。


健闘を讃えられた元いじめられっ子のベアーズ選手たちは準優勝のトロフィーを投げつけ、「来年まで待ってろよ」と叫び、まるで優勝したかのようにビールかけを始めるところで映画は終わる。


この映画は、もう、ベイスターズそのものでしょう。なんだったら、球団の作っているダッグアウトの向こう側、FOR REALそして昨年のベイブルーブルースはがんばれベアーズの続編ではないかと思うほどだ。


さて、一日空けて5月3日火曜日から横浜スタジアムで好調のドラゴンズとの3連戦が始まる。


いつも通り、勝っても負けても応援している。


弱小チームが強大なチームに立ち向かい、ついには勝利するというストーリーほどドラマチックなものはない。そして、ジャイアンツやホークスのファンの皆さんには申し訳ないが、我々はその主役になる資格があるのだ。




“貧富強弱の状態は、天が決めた約束ではありません。人間が努力するかしないかによって移り変わるもので、今日の愚人も、明日は知者ともなりますし、昔は富んで強かった人も、今の世では貧しい弱者にもなりましょう” 福沢諭吉