mizuyashikiのブログ

横浜ベイスターズを中心にその時に考えていることを書きます。

大田泰示がもう一度輝く星になった夜



6月30日 対阪神タイガース 横浜スタジアム 6-5 勝ち(逆転サヨナラ)


今日の先発はベイスターズが東克樹、タイガースが入団2年目の外国人投手ウィルカーソンという組み合わせとなった。


ウィルカーソン投手との前回対戦ではベイスターズ打線が6回で6安打、1四球で1得点と抑えられQSを達成されている。日本の暑く湿度の高い夏で体力面も含めてどう調整してきているかが注目される。


東克樹は開幕投手でありながら5連敗を喫するなど不本意な序盤だったが、1ヶ月間のファームでの調整の後、前回は今季初めてとなる復活の勝利を挙げた。


とは言っても、良い時の彼の投球と比べればまだまだ球威、制球ともに見劣りしていた。先週の課題は本人もよく認識していると思うので、腕を振って強いボールをコースに投げ切るという本来のピッチングができるかどうか見守って行きたい。


これができれば、彼の持ち球の2種類のチェンジアップも効果を発揮するようになるだろう。




今日は久しぶりに桑原が1番センターに入った。6月に入ってから好調が続いているが、若手の蝦名や楠本に期待するということもありなかなか1番に戻すことはしなかったが、若手二人が疲れからかやや調子を落としているタイミングで復帰した。


2番にはこれも久しぶりの大田泰示。彼はこの打順での打率が .378と最も高いのでその点を考慮してのことだろう。


ここ数試合は遊撃には大和という布陣だったが、ここも疲れを考慮したのか森敬斗を7番ショートに入れた。彼のスピードはチーム全体の攻撃を華やかにするので期待している。


スタメンでマスクをかぶるのはベテランの伊藤光。先週に続いて東克樹とバッテリーを組むこととなった。


1番 桑原(CF)
2番 大田(RF)
3番 佐野(LF)
4番 牧(2B)
5番 宮﨑(3B)
6番 ソト(1B)
7番 森(SS)
8番 伊藤光(C)
9番 東(P)


継投 東克樹(5回2/3)→H 田中(1/3回)→エスコバー(1回)→伊勢(2/3回)→入江(1/3回)→勝 平田(1回)


1回裏 ベイスターズの攻撃


1回表の無死一、二塁のピンチを無失点で切り抜け、守備から良い流れをつかんだベイスターズは立ち上がり甘いボールの多かったウィルカーソン投手に襲いかかった。


先頭の桑原が初球を少し泳ぎながら前でさばいてレフト前に運び出塁。続く大田泰示もセンター前ヒットで出塁し阪神と同様、初回から無死一、二塁のチャンスを作った。


ここで3番佐野が高めに浮いたチェンジアップをセンターに弾き返し、桑原がセカンドから生還して先制に成功した。



さらに、一死一、三塁のチャンスで5番宮﨑がこれも高めの甘いボールを引っ張り、左中間を破る2点タイムリースリーベースで3-0。


二死三塁となったところで、7番森敬斗がウィルカーソンの内角低めのスライダーを思い切り良く引っ張りサードランナー宮﨑を迎え入れるタイムリーヒット。素晴らしい攻撃で4-0と初回から優位にたった。



5回表 タイガースの攻撃


一死一、二塁から近本のなんでもないセカンドゴロを牧が後ろに逸らす痛恨のエラー。これで二塁から北條が生還し、さらに一塁ランナーも三進して一死一、三塁のピンチとなった。


牧は疲れもあるのだろう。打撃の不調から考え込んでしまっているところもあるのかも知れない。しかし、この不調は、チームの中心選手の地位を確立するためには乗り越えなくてはならない壁だ。


続く4番佐藤輝明には犠牲フライを許し、4-2とタイガースに反撃のきっかけを与えてしまった。


6回表 タイガースの攻撃


二死二塁から代打ロハス・ジュニアのタイムリーで1点追加。4-3とタイガースに1点差まで追い上げられる。


7回表 タイガースの攻撃


この回マウンドに上がったエスコバーが二死走者なしから佐藤輝明にライトスタンド上段に届く大きなソロホームランを打たれ、とうとう4-4の同点に追いつかれた。


8回表 タイガースの攻撃


セットアッパー伊勢大夢が先頭の糸原を四球で歩かせ、さらに暴投と送りバントで一死三塁のピンチを作ってしまう。そして、梅野のセカンドゴロの間に糸原がホームに還り、タイガースに勝ち越し点を許した。4-5と逆にタイガース1点のリード。


9回裏 ベイスターズの攻撃


この回先頭の桑原がフルカウントからタイガースのクローザー岩崎の7球目を引っ張り、レフト前ヒットで出塁した。


続く大田泰示は岩崎の高めに浮いたチェンジアップを捉えた。打球はグングン伸びてフェンス直撃のツーベースヒット。桑原がファーストから疾走してホームに還り、土壇場で5-5の同点に追いついた。


続く佐野は倒れ、牧は申告敬遠。宮﨑の代走からサードの守備についていた柴田は見逃し三振で二死一、二塁。


これは延長戦にもつれこみそうだと思っている中、打席に入った嶺井が1-2と追い込まれながら岩崎の外角低めの難しい変化球をなんとかバットに当てた。打球はゴロとなって二塁手の右をギリギリ抜けていくライト前ヒット。



二死のため嶺井が打つと同時にスタートしていたセカンドランナー大田泰示が、打球が緩かったこともあり、一気にホームをついた。


タイミングはアウトかと思われたが、大田が捕手のタッチをかいくぐる好走塁を見せ逆転サヨナラのホームを踏んだ。



矢野監督からリクエストがあったため延長戦に備えて嶺井は守備用の防具(レガース)をつけた状態だったが、判定は覆らずそのままサヨナラとなった。防具をつけた選手がサヨナラ打でチームメイトから水をかけて祝福される図はかなり珍しいような気がした。





今日の東克樹は5回2/3を投げて、被安打9、奪三振7、無四球、失点3、自責点1という内容だった。9本のヒットを許したことは反省点だが、毎回の7三振を奪っていることからも分かるように、指にかかったストレートがコースに決まる勝負球も幾つもあった。


投球内容は先週よりも良くなっているように見えた。今日は味方のエラーもあり3失点だったが、自責点は1であり、価値がついてもおかしくない投球だった。


6回途中ですでに球数が100を超えていることもあり、ランナーを残して降板したことは本人も悔しがっていたが、逆球がまだ時折あることを修正して、来週はもっと長い回を投げ切って勝ち投手になって欲しい。


リリースポイントのバラツキを安定させることができれば、もっと安心してストライクゾーンで勝負できるようになると思う。もともとコントロールの悪い投手ではないので、もう一段階上の投球を見せてくれることを期待している。





立ち上がり不安定だったウィルカーソン投手を一気に攻め立てた初回の集中打は見事だった。
桑原の初球ヒットから大田、佐野と続いた三連打が素晴らしかったのは勿論だが、この1点で終わりにせず、宮﨑がウィルカーソンの失投を見逃さず、走者一掃の長打を放ったことがチームとしての力を感じさせた。


そして、さらに評価したいのは、決して足の速い方ではない宮﨑が必死に走ってサードまで到達したことだ。チーム全体の走塁意識の改善が進んでいることを見せつけたが、これは石井琢朗コーチの指導の賜物だろう。


さらに攻撃の手を緩めず、叩ける時に叩いておこうと言わんばかりに森敬斗が見せたライト前タイムリーも彼の思い切りの良いバッティングの良さが出ていた。そしてこれが4点目をもたらした背景には、上述した宮﨑の必死の走塁がある。


こういう攻撃をする頻度を高めていくことができれば、ベイスターズは本当の意味で強いチームになることができるだろう。それができるだけの個の力を持った選手たちが今のベイスターズには揃っている。あとは打線としての繋がりと意識の統一だ。




序盤の優勢からエラーで流れが変わり、じわじわと追い上げられてついには逆転を許すという嫌なゲーム展開。これまでだったら諦めてしまっていたような状況でも必死に食らいつく執念がチーム全員から感じられるようになった。


負けはしたものの9回裏二死から一旦は同点に追いついた日曜日のカープ戦など、相手チームがベイスターズは簡単には勝たせてくれないと感じるような粘り強さが出始めていると思う。


この執念と簡単には負けない粘りも強いチームに共通した特徴だと思う。
これも非常に良い方向だと思うので、今日のような粘り強い攻撃をゲームセットになるまで何度でも繰り返すしつこさをチームとして徹底して欲しい。


今日の最終回の攻撃では、先頭でフルカウントまで粘りしぶとくヒットで出塁した桑原やサヨナラ打を放った嶺井も勿論素晴らしかったが、真のヒーローはやはり大田選手だと思う。


若手で台頭しつつある蛯名や楠本が優先され、中々スタメンでの出場機会が与えられないが、その中でも全く腐ることなく準備して、出場する時には高い確率で良い働きを見せてくれる。そして、出場していない時にもベンチで声を出しチームを鼓舞することをやめない。



本当に良い選手が来てくれたものだ。


今日のヒーローインタビューでお立ち台に上がった大田泰示はわざわざ手にしていたDBスターマンのぬいぐるみをスタッフに預け、横浜最高と叫んで拳を天に突き上げた。


こういうストレートな感情表現をする選手がこれまでベイスターズにはあまりいなかったので、そう言う点でも彼の存在はベイスターズを良い方向に変えて行ってくれる可能性を感じた。


今夜は本当に横浜が最高で、そして、そう叫んだ大田泰示も最高だった。