mizuyashikiのブログ

横浜ベイスターズを中心にその時に考えていることを書きます。

三嶋一輝を励ましたくて頑張ったリリーフ達



8月31日 対中日ドラゴンズ 横浜スタジアム


勝 ベイスターズ 3 - 2 ドラゴンズ


勝利投手 濵口遥大(7勝4敗0セーブ)

敗戦投手 勝野昌慶(0勝3敗0セーブ)

セーブ  山﨑康晃(0勝2敗31セーブ)


ホームラン 阿部寿樹8号、ネフタリ・ソト14号、戸柱恭孝4号


このところ、濵口遥大は人が変わったように安定したピッチングを見せている。


今日も初回から落ち着いたピッチングでアウトを重ねていった。


元々ストレートは球速よりも球威で押すタイプだが、最近は平均球速が140キロを下回ることもあるようだ。ただし、制球は大きく改善されており、低めに集めることができている。


彼の生命線はいざという時のチェンジアップだと思うので、このボールと対になるストレートが低めに決まるとコンビネーションとして威力を発揮することになる。


しかし、今日はむしろチェンジアップの制球が甘くなり、高めに浮くことが何度かあった。


2回表のドラゴンズの先頭打者阿部には、0-2と追い込んでおきながら、チェンジアップが高めに浮き、恐らくチェンジアップを待っていた阿部に軽々とレフトスタンド中段まで持って行かれた。


その裏、味方がすぐに1-1の同点に追いついてくれたが、3回表先頭打者のピッチャー勝野に高めに浮いたボール気味の変化球を強振されてセンターを抜けるツーベース。その後、岡林のセーフティバントで無死一、三塁となった後、土田の併殺打の間に1点入って突き放された。


しかし、無死一、三塁というビッグイニングになる可能性のある状況で、1点は失ったものの併殺で二死走者なしとすることができたのが大きかった。


そのおかげで、続く巧打者大島を当てただけのセカンドゴロに打ち取ってこの回を最小失点で切り抜けることができた。


その後はチェンジアップが決まって三振が取れるようになり、4回から7回まで無失点で抑え、その間に味方が逆転してくれたため、勝利投手の権利を持ってマウンドを降りることができた。


ピンチらしいピンチと言えば6回表のヒット2本で二死一、二塁となって代打の切り札平田が起用された場面だったが、ここも高めのストレートを引っかけさせてショートゴロで打ちとった。


7回、109球、被安打6、与四球1、5奪三振、2失点HQS。


これで7勝目を挙げ、9月の成績次第では新人の年以来となる二桁勝利を達成する可能性も見えてきた。もし達成できると、コロナによる長い離脱があったことを考えれば、誇るべき実績になることは間違いない。



今日のスタメンも2番に大田泰示を起用し、7番ショートにはややお疲れだった大和と柴田の先輩に代わって森敬斗を使った。


昨日の試合では大田泰示の攻撃的な2番がはまって得点力が増したが、今日はその逆。最初の打席で良いあたりがピッチャーライナーとなって飛び出していたファーストランナーもアウトになると、その後は全打席凡退に終わった。


1番の桑原が今日は2つの四球とヒットで3出塁だっただけに、2番打者がこれを一度も活かせなかったのは勿体なかったが、大田泰示を2番で起用した時点でこうしたことも盛り込み済みのはず。


9月のヤマ場で勝ち続けて行くためには、打撃戦で早めに多く点が取りたい場合は大田泰示を2番スタメンで起用し、ロースコアの投手戦が予想される場合はバントも巧い楠本泰史を使ってつなぎ役を任せると言った戦術も考えるべきだろう。


追い込んだ後の阿部のホームラン、先頭打者のピッチャーのツーベースと言ういずれも勿体無い形で失点した濵口を援護したのはソトと戸柱の2本のソロホームランだった。


ソトのホームランは2回裏、宮﨑が左中間を真っ二つに破るヒットで出塁しながらも、センター岡林の巧みなクッションボールの処理とセカンドへの見事な送球でタッチアウト、反撃の芽は消えたかと思った直後、二死走者なしの場面で出た。


外角高めのストレートを降り遅れ気味で打ち返し、ファールだと思ったが、イヤ、ソトはこれが入ったりするんだっけと思い出しつつ打球の行方を注視すると、ライトポール際のスタンド上段に着弾した。これで先制された直後に追いつくことができた。


それにしても、宮﨑の打席で左中間の一番深いところまで打球が達してツーベースにならないと言うのははじめて見た気がする。もちろん宮﨑が決して俊足ではないと言うことはあるにしても、岡林の守備を賞賛すべきだろう。


岡林に捕殺されたのは私が覚えているだけでも、今シーズンこれで3度目だ。


ドラゴンズ先発の勝野は甘いボールもあるのだが、大事なところでフォークで空振りを取られ、打ち崩せそうで崩せないイニングが続いた。


1-2と1点ビハインドのまま迎えた5回裏ツーアウト。このままだと、勝野が勝利投手の権利を持ち、ドラゴンズの手強いリリーフ陣の継投にかかってしまうと言うギリギリのタイミングで戸柱のソロホームランが出た。


カウント1-1でバッテリーは前の打席で戸柱が空振りしているカーブを選択したが、これが高めボール気味のところに浮いてしまった。これを見逃さずにアッパースイングで打ち上げると、風にも乗ってライトスタンド最前列ギリギリのところに届く同点ホームラン。


戸柱は昨シーズン後半に打撃開眼した雰囲気を出していたが、どうもそれは本物だったらしい。これで打率 .267となり、「打てるキャッチャー」の仲間入りまであと一歩のところまで来ている。



決勝点となったのは、6回裏の牧秀悟の併殺崩れの間の1点だったが、真の殊勲者はその前に見事ヒットエンドランを決めて一死一、三塁という絶好の逆転シーンを演出した佐野恵太だろう。


この回先頭の桑原が四球で出塁したが大田泰示が三振で倒れ一死一塁となった場面で、打席の佐野はフルカウントまで粘った。そこからファーストランナーの桑原は全球スタートを切ってプレッシャーをかける。


佐野はさらに2球ファウルで粘り、その後の8球目、完全にタイミングを外された外角のスライダーに泳がされながら反応して、右手一本でバットを操作しテニスのボレーのように絶妙の角度をつけて二遊間をゴロで破るヒットを放った。



佐野のこの技ありの一打が最大の殊勲であることは間違いないが、併殺崩れと言う形ではあったものの、牧秀悟も良い働きをした。


初球を引っ張ったサードゴロは二遊間を抜けるかと言う当たりで、サード阿部が飛び込んでこれをギリギリグラブの先に引っかけて捕球したが、体制を崩した分だけ送球が遅れた。そして、牧は必死に全力疾走して間一髪のところで併殺を逃れた。この精一杯のプレーも殊勲の働きだった。



濵口降板後の8回は、左打者の2番土田と3番大島に左のエスコバー、そして右打者の4番ビシエドと5番阿部には右の伊勢大夢と言う贅沢な起用で無失点に抑えた。


エスコバーは先頭の土田を歩かせて少し危なっかしかったが、それを見て伊勢に切り替えたと言うことではなく、最初から予定された回途中での継投だったのではないだろうか。7回途中で濵口がつかまる可能性も想定して、エスコバーと伊勢の2人が既に肩を作っていたのかも知れない。


そして9回は山﨑康晃が内野ゴロ2つと三振で完璧に抑えた。三好を見逃し三振に打ちとったインコースギリギリのストレートは惚れ惚れするような制球とキレでバッターは全く反応できなかった。


今日の山﨑の投球はいつも以上に気迫がこもっていた。その理由の一つは、昨日、胸椎黄色靭帯骨化切除術を受けた盟友の三嶋一輝への想いだろう。


ヒーローインタビューで彼自身が語っていた、


「三嶋さんが一生懸命闘っている中で、一日も早く復帰できるように僕たちも頑張っていく。三嶋さんにもエールを送っていただければ助かります」


と言う言葉は、ダブルストッパーとして切磋琢磨していたライバルで同志の三嶋一輝に対する彼自身の強い気持ちの表れだろうし、ブルペン全員の願いでもある。


三嶋投手の病気は国に難病指定されたもので、復帰への道は苦しいものとなるだろうし、32歳と言う年齢を考えると前向きな気持ちを持ち続けることが容易ではないことも想像できる。


しかし、三嶋一輝はきっとこの茨の道に立ち向かって行くだろうし、ベイスターズの仲間達も我々ファンも可能なあらゆる形でそれを支援するだろう。


頑張れ三嶋!


マウンドに帰って来る日をいつまででも待っている。