mizuyashikiのブログ

横浜ベイスターズを中心にその時に考えていることを書きます。

首位ヤクルトに0-1で敗れてマジック点灯 神は細部に宿る



9月11日 対ヤクルトスワローズ 横浜スタジアム


負 ベイスターズ 0 ー 1 スワローズ


勝利投手 小川泰弘(7勝8敗0セーブ)
敗戦投手 大貫晋一(10勝7敗0セーブ)
セーブ マクガフ(1勝2敗36セーブ)


先月末の衝撃の3連敗の後、ヤクルト打線、特に村上宗隆の神がかった絶好調は流石にずっと続くものではない。


そして、ベイスターズの投手陣も大型連勝後で疲弊した前回とは違う。恐らく、あれほど打たれることはないだろうと思っていた。ここまでは当たっている。


しかし、このところそれなりに失点しているライアン小川投手から1点も奪うことができず、完封リレーで敗れるとは予想していなかった。


0-1というスコアから見ると接戦のようだが、攻撃に関しては結局3塁を踏むことも出来ず、惜しいところまで行ったとは感じなかった。


チーム全体でヒット7本というのはヤクルトと一本しか変わらないが、攻撃の圧力は大違いだった。


例えば、2回裏の攻撃では、先頭の牧がヒットで出塁したが続く宮﨑がおあつらえ向きのショートゴロを打って併殺。ツーアウト走者なしとなってからソトがヒット。


2回からクリーンアップが送りバントと言う作戦はさすがに無いと思うので、仕方ないと言ってしまえばそれまでなのだが、ゴロを打つのがうまく俊足ではない宮﨑は併殺打が多いのは彼の特徴だ。そして、不調時はその傾向が特に顕著なこと(例えば、2019年の春先)は既にわかっている。


結果論かも知れないが、エンドランや徹底した右打ちなど、何か策はあったのではないかと思う。


4回裏にも、関根と牧のヒットで一死一、二塁とこの試合最大のチャンスだったが、宮﨑は2-2と追い込まれてから外角低めのボールを見逃して三振に倒れた。


VTRで見ると、左のバッターボックスの白線付近を通過しており、ボールだとは思うのだが、やはりクサイところはカットすべき場面だっただろう。


そして、宮﨑自身も昨日から3回の併殺打を打っていることから、ゲッツーよりは三振の方がまだ良いと言うような消極的な振る舞いに見えた。


彼にしては非常に珍しいと思う。それだけ状態が悪く、自信が揺らいでいるのだろう。


凡退してベンチに帰ってくる時に、やや足取りがおかしいことも気になる。今シーズン前半に痛めたハムストリングの状態は大丈夫なのだろうか?


打線、特に主軸の打順を固定するのは賛成なのだが、今の宮﨑は何か雰囲気を変えるきっかけが必要だと思う。


思い切って数試合休養を取るか、あるいは打順を6番か7番に変えて見るなど、この辺りで少し動いて見る必要があると思えてならない。


最後の打者となったソトはサード村上の超美技でアウトになったが、村上よりほんのちょっとでも身長の低いサードだったら、レフト線を破るツーベースで同点に追いついていたはずだ。


久しぶりに5番に入った彼のバッティングを見てみたいと思った。


今日の打線では、牧秀悟が3安打猛打賞と1人気を吐いた。ボールに逆らわず右方向に打ち返す技術はやはり大したものだ。今日で通算打率も .292と2年連続の3割を狙えるところまで上げてきた。


しかし、今日のところは彼の前後、3番と5番がノーヒット、出塁も無しと言うことで完全に孤立させられてしまった。


ライアン小川と中村悠平のヤクルトバッテリーの役者が上だった、と言うことだろう。肝心なところでベイスターズの各打者はバッティングをさせてもらえなかった。


カウントを整えるストライクは打者が予想もしていない球種とコースで(例えば、右打者のインコース高めに抜けたような緩いカーブなど)、そして、バッターの打ち気が高まったところで狙っているコースに近いところからボールに外して空振り、平凡なゴロやポップフライを打たせると言う配球が随所に見られた。


石にかじりついても勝ちたいというベイスターズの各打者の気負いを見透かされているようなピッチング。これを徹底的にやられてしまった。


対するベイスターズバッテリーも良く頑張った。特に、前回やられた村上をほぼ完璧に抑えたことは賞賛に値する。


先発の大貫晋一は7回、106球、被安打4、与四球2、奪三振7、1失点と言う堂々たるHQSだった。これで勝ちがつかないのだから不運としか言いようがない。



強いて言うならば、決勝点となった唯一の失点シーンが勿体なかった。


5回表のスワローズの攻撃で先頭の青木にヒットを打たれたが、二死二塁まで漕ぎ着けて打席にはピッチャーの小川。ここを押さえれば無失点で切り抜けられると言うところで、1-1からの三球目のスプリットがワイルドピッチとなって走者をサードに進めてしまった。


これでやや冷静さを失ったか、その次のボールを小川に打ち返されてセンター前ヒット。


このピンチは、落ち着いていれば、あるいは集中していれば防ぐことができる可能性が高かったと思う。


この後、自身のタイムリーで先制した小川は気分良くスイスイと投げ始めたので、やはりこの5回表の攻防が試合の転機だったと思う。



しかし、ここだけが勝ったスワローズと負けたベイスターズの差だったかと言うと、そうとも言えない。


この後、7回には二死二、三塁、8回は二死満塁、9回も一死一塁からサンタナのライト右を破るツーベースでホームを狙ったファーストランナーを完璧な中継でアウトにして切り抜けたシーンなど、無失点ですんだのが僥倖というようなスワローズの攻撃には終始王者の圧力があった。


つまり、0-1の点差には、様々な要素が濃密に詰まっているのだ。これは小さいようだが、そう簡単には埋まらない。


しかし、スワローズも一昨年はこうした細部の徹底はできていなかった訳で、昨年のタイガースとの熾烈な優勝争いやオリックスとの日本シリーズの戦いの中で身につけて行ったのだ。


ベイスターズもやっと、そう言うヒリヒリするような状況で、この小さいけれど決定的な違いを痛みと共に経験できた訳で、これは、絶対、今後のチームの成長につながって行く。


誤解しないで戴きたいのだが、今シーズンはもう諦めて、この経験を来年に活かそうと言っている訳ではない。


明日だ。明日の試合から、今日学んだことを直ぐに活かして欲しい。


そうしなければ、来年になって急にチームがレベルアップすることなどあり得ないのだ。


まずは、明日の今永昇太の気負わない明晰な投球に期待している。


そして、今日の結果を踏まえて、現状で最良の打線を組み、各バッターが力みを捨てて、あたかもバッティング練習であるかのようなのびのびした打撃を、チャンスでは鬼神のような集中力を見せてくれることを期待している、


自力優勝が消えても、まだ試合は続いて行くのだ。


諦めるなんて勿体ない。


そんなことはシーズンオフに鍋でもつつきながら好きなだけやれば良い。


三浦監督も試合後、逆転優勝の可能性について、こう言っている。


”光は小さくはなったと思うけど、まだ消えた訳ではない。


自分たちでもっともっと大きくしていけるように。


諦めが悪いので、やっていきます。しつこいくらいやっていきます“


小さくなったが、消えたわけではない「光」