mizuyashikiのブログ

横浜ベイスターズを中心にその時に考えていることを書きます。

新しい星たちの運行と煌めき



10月15日


ベイスターズのポストシーズンゲームは既に終わり、日本シリーズ前に唯一残っていたパリーグのCSファイナルステージも今日で決着がついた。


まあ、ベイスターズが出なければ、近所の子供の運動会くらいの興味しか無いのだが、それでも、プレーの質はさすが。


吉田選手のホームランや最終回のモイネロ投手と中川選手の対戦などはプロ野球の面白さが満載だった。


こうしたハイレベルの対戦とは全く別の次元だが、宮崎県ではフェニックスリーグが行われており、ベイスターズの2軍も参加している。


このリーグ戦は10月10日に始まり31日まで行われる。


参加チームは、NPB傘下のイースタンリーグ7チームとウェスタンリーグ5チームに加えて、四国アイランドリーグ選抜と日本独立リーグ選抜の合計14チーム。


ベイスターズはこれまで5試合を行い、1勝3敗1分けと苦戦している。しかし、その中でも輝きを見せている新しい星はいるようだ。




【勝又温史の覚醒】


勝又選手は、日大鶴ヶ丘高校から2018年ドラフト4位で入団したストレートの最速153km/hの投手だったが、プロ入り後のフォーム変更に伴い、本人曰くイップスのような症状が出てピッチャーを断念せざるを得なかった。


彼はピッチャーでありながら高校通算30本のホームランを放っており、バッティングを評価した球団は昨年オフに一旦彼を自由契約とした上で野手として育成選手契約を結んだ(背番号は28から028に変更)。


野手転向後は、筒香嘉智選手などを育てた指導で評価の高い大村巌2軍打撃コーチに手取り足取り指導を受け、急速に打者としての技量を向上させた。


今シーズンのイースタンリーグでは、205打数、60安打、本塁打6、打率 .293、打点23、出塁率.342、OPS .801と野手転向直後とは思えない成績を残した。


ボクシング用語で「当て勘」と言うのがあるが、そんな感じでバットにボールを当てる天性のセンスのようなものを感じる。そして、思い切り振り抜く大胆さもあるため、長打が多い。


イースタンリーグのピッチャーは打席に立たないため実戦でのバッティングをほとんど見ていないにも拘らず、彼を野手として残した球団の慧眼には敬意を表したい。


その勝又選手がフェニックスリーグで躍動している。


ここまでの5試合で17打席、15打数、10安打、ツーベース3、スリーベース1、ホームラン1、四死球2、盗塁2、打率 .667、出塁率 .706、長打率 1.200、OPS 1.906と言う脅威的な成績を残しているのだ。


彼はまだ守備に難があると言われイースタンリーグの試合でも落球するシーンなどを見かけたが、これも守備練習に取り組み、フェニックスリーグで見る限りは改善されつつあるようだ。


激戦区と言われるベイスターズの外野陣だが、若手と言われる楠本泰史と蝦名達夫が27歳と25歳であり、彼らと比べても勝又選手の22歳と言うのは1世代若い印象だ。そして、投手からの転向であることを考えれば伸び代も大きい。


ここ数日のフェニックスリーグでの活躍を見つつ、私は早くも勝又選手が1軍のハイレベルな外野手争いに参画する将来を夢想している。


そのためには、まず、来シーズンなんとか野手として再び支配下選手契約を勝ち取ることが必要で、その手前には外野守備の改善という課題がある。


良く指摘されていることだが、現在、ベイスターズのファームには外野守備のコーチがいない(守備走塁担当の柳田コーチと永池コーチはいずれも内野手出身)。


ベイスターズのOBにはゴールデングラブ賞をとったこともある荒波翔さんがおり、現職の神奈川フューチャードリームスのコーチ及びTVK野球解説者と言うのもベイスターズと関連が深いものなので、無理筋ではない様に思う。


勝又選手のバッティングをこのまま大村コーチが伸ばし、守備と走塁を荒波新コーチが鍛え上げれば、生え抜きの強打の1番バッターが誕生する可能性が高いように思われる。


夢は膨らむばかりなのだ。



【森敬斗の試行錯誤】


CS最終戦の直後、森敬斗も宮崎に移動してフェニックスリーグに参加している。


今日はジャイアンツの育成ながらキレの良いストレートを投げる右腕、京本投手から内野安打とライト前ヒットを放ったが、一塁ランナーとして度々の牽制球の後アウトになるなど手放しで褒められるプレーではなかった。


特に、0-2のビハインドから1点を返してなおも二死二、三塁のチャンスで投手が変則左腕の大江投手に代わると簡単に三振に打ちとられた点は大きな課題として残った。


大江投手とは1軍でも対戦があったと思うのだが、その時と同様、自分の背中から回り込んでくるような左サイドスローのストレートに全く合わない。かすりもしないのである。


森選手は強肩、俊足など大きな魅力もある一方、守備で捕球からスローイングまでに時間がかかること、スローイングの不安定性、バントの技量不足や左投手への対応などハッキリとした課題が未だいくつも残されている。


2019年ドラフト1位の森選手も来年でプロ4年目を迎える。同学年の高卒ショート、スワローズの長岡選手は今年レギュラーの座を掴み、セリーグ連覇に貢献している。


そろそろ正念場という意識を強く持って弱点の克服に眼の色を変えて取り組む必要があるだろう。


ましてや巷で噂されている様に、来週のドラフトで亜細亜大学の田中幹也選手をベイスターズが指名するようなことにでもなれば、いよいよ足元に火がついたと思った方が良い。





【入江大生のオーストラリア武者修行】


プロ2年目で先発から中継ぎに転向した入江投手にとって、今シーズンは飛躍の年になった。


昨年は即戦力として期待された大卒ドラフト1位であるにも拘らず、未勝利のまま右肘のクリーニング手術で離脱し、随分と悔しい思いをしたと思う。


私の周囲の野球好き(主に他チームファン)も大半が2020年のベイスターズのドラフト1位は牧秀悟だったと記憶しているようで、こうしたことは本人も知らないはずが無い。


今シーズンは、150キロ台中盤のストレートと落差のあるフォークボールを武器にシーズンを通して活躍し、57試合、5勝1敗、10ホールドの好成績を残した。


防御率3.00と言うのは後半を任せられるリリーバーとしてやや高いが、好調だった夏は、7月 0.00、8月 0.93と大きく改善している。


オーストラリアウィンターリーグには、ベイスターズからこれまで今永、大貫、三上、平田などが参加しており、大きくステップアップして帰って来たケースが多い。


入江投手の派遣は球団からの打診なのか本人の志願だったのか、おそらく両方なのだろうと思うが、技術的なこともさることながら野球人としての経験と視野を広げるという意味で絶好のチャンスに違いない。


村上宗隆選手の56号を打たれたことを糧にして、オーストラリアのパワーヒッター達との対戦を通じてさらに大きくなって帰ってくることを期待している。


彼が背番号を引き継いだ大魔神佐々木主浩さんのように、いずれは偉大なクローザーとしてチームを優勝に導いてくれることを祈っているのは私だけではないはずだ。