mizuyashikiのブログ

横浜ベイスターズを中心にその時に考えていることを書きます。

桑原将志の成績は安定するのか



2020年オフに梶谷隆幸がFAでジャイアンツに移籍した後、神里和毅等のライバルとの競争を制して1番センターのレギュラーの座を手に入れた桑原将志。


打率 .310

安打数 161

本塁打数 14

出塁率 .369

OPS 0.843


という成績はいずれもキャリアハイの大活躍で、年俸もプロ入り11年目にして初めて1億円の大台に達した。


この頃、メディアのインタビューに答えた彼自身のコメント。


「これまでは来たボールに対して『自分の反応を信じて打ってみよう』『アジャストしていこう』という感じでした。


それが今季は『もっと考えてやっていこう』と思うようになったんです。それぞれの投手と対峙した時、まずは狙う球と捨てる球の区別をはっきりさせる。一打席一打席、腹をくくって悔いのないように臨もう、と。


打席で何か考えたことは、たとえその打席で結果が出なくても次につながりますから。そういった意識の部分に加えて、打撃フォームを確立できつつあるのも大きいです。


打撃フォームと向き合う必要がなくなり、投手と素直に向き合えるようになった。とにかく集中できているなかで、いい割り切りができていると思います」


これでベイスターズのトップバッター、センターもしばらくは安泰という声もあった一方、桑原選手の打撃には好不調の大きな波があることを知っているファンの間では、イヤイヤ、そう簡単には行かないのがまたクワらしいところという意見も多かった。


そして今シーズンが終わってみると、


打率 .257

安打数 122

本塁打数 4

出塁率 .322

OPS 0.676


といずれも前年を大きく下回った。


入団以来の彼の成績のうち出場試合数と安打数に注目して年度別にグラフ化してみると下図のようになる。こうして見ると年度単位で見ても彼の好不調の波が非常に大きいことがわかる。



この原因として、メンタル面があるのは事実だろう。


上のコメントにもあるように、「それぞれの投手と対峙した時、まずは狙う球と捨てる球の区別をはっきりさせる。一打席一打席、腹をくくって悔いのないように臨もう」という姿勢の重要性は彼自身も認識している。


そして、今シーズンの序盤戦、ファンの不安が的中して月間打率が2割を切り、トップバッターを外される中で、今季から新設されたメンタルスキルコーチの遠藤拓哉さんは彼がスタイルを見失いかけていたと感じていたそうだ。


この頃の彼のバッティングは低めの緩い変化球で前に出され、体制を崩してボテボテのショートゴロという結果に終わる打席が多かった。


遠藤メンタルスキルコーチは、桑原選手に対して


「貫き通したいものは何か?」


と問いかけたそうで、その答えを探す中で徐々に成績を挽回させて行った。


恐らくそれは、昨年と同じ「それぞれの投手と対峙した時、まずは狙う球と捨てる球の区別をはっきりさせる。一打席一打席、腹をくくって悔いのないように臨もう」という姿勢なのだろう。


春先のスランプから脱した後は6月に月間打率 .333という好成績を残し、それ以降の打率も .278とかなり改善された。




昨日発表されたゴールデングラブ賞を次点で惜しくも逃したが、その後のインタビューではそれよりもトップバッターという立場をシーズンを通じて保持できなかったことが残念だと語っていた。


彼の来季の目標は「出塁率を上げること」ということで、このためには、上記の通り、腹を括って「捨てる球」をしっかり見送るとともに、追い込まれてからの難しいボールをカットする技術を改善することなどが必要だろう。


プロ12年目にしてまだ学ぶべき点はあるように思う。


若いと思っていた彼も来年で30歳の大台だ。


彼のような前がかり気味のバッティングはボールをギリギリまで見ることができないため、ゆるい球で前に出されて体勢を崩したり、動くボールをミートできなかったり、インコースに弱点があるなど問題も多い。


しかし、もうバッティングフォームで迷っている時期は終わった。彼は今の自分を受け入れて、それをベースに相手投手と対峙していく術を磨くことに集中すべきだろう。



この真剣勝負に挑むために、太極拳の達人の教えを桑原選手に送ろうと思う。


「いかに手ごわく、屈しない敵だとしても、穏やかに対することができないということは、自分自身の行き詰まりを暗示しています。


推手(太極拳の組手の練習)の主眼点は、行き詰まりの探求であり、最終的には行き詰まりの解消です。勝つことではありません。


ほんとうに戦うべき『試合』は自分自身との試合です。


人生で目を背けている問題が肉体となって現れているものに対峙することになるのです。


この自己との対決に進歩の可能性があります。


この機会を与えてくれたことを敵に感謝しましょう。」