mizuyashikiのブログ

横浜ベイスターズを中心にその時に考えていることを書きます。

来季に向けたベイスターズの戦力変化 中間報告(野手編)



昨日の投手編に続いて、ここまでのストーブリーグの動向を振り返るとともに、来季に向けたベイスターズ野手陣の伸びしろをまとめてみよう。




【キャッチャーたちの出入りと来季に向けた伸びしろ】


(Out) 


嶺井博希(FAでソフトバンクに移籍)


髙城俊人(戦力外 現役引退)


(In)


松尾汐恩(大阪桐蔭高 2022年ドラフト1位)


上甲凌大(愛媛マンダリンパイレーツ 2022年育成ドラフト1位)



キャッチャーに関しては、このブログでも何度か書いている通り、今シーズン最もマスクをかぶる機会が多かった嶺井選手のFAによる移籍・退団が大きい。



しかし、これは残された捕手、特に戸柱恭孝選手にとってはチャンスでもある。


嶺井選手に一年遅れてFA権を来季取得する予定の彼としては、多くの出場機会を得て他球団からも高い評価を得た嶺井選手の今季の成功を見て「ヨシ、俺も」という気持ちになっているはずだ。


勿論、好成績を残して評価を上げ、そして残留・複数年契約という流れがチームとしては好ましいと思うが、まずは彼自身が一段階レベルアップすることが先決だ。


ドラゴンズの京田選手は最終的には砂田投手とのトレードで獲得することになったが、途中段階では戸柱選手とのトレードという話も出ており、嶺井選手のFA移籍のタイミングでトレード相手が変わった可能性も指摘されている。


このことは戸柱選手の耳にも当然入っていることだろうし、「ヨシ、俺も」という期待に加えて、危機感も持っていることと思う。


戸柱選手の今季の打撃成績は、72試合に出場して打率 .264、出塁率 .280、4本塁打、16打点、OPS .662というもので、捕手としては合格のレベルだと思う(打撃だけを見れば、打点以外は嶺井選手よりかなり良い)。


捕手防御率というあまり信憑性のない指標(バッテリーを組む相手投手の影響を大きく受けるなど捕手の指標として適切さに欠けるという批判が多い)では、嶺井選手に比べて戸柱選手が劣るというデータは確かにある。


ちなみに、同じ投手同士でキャッチャーによる差異を見てみると下の表のようなことになる。



エース格の今永昇太投手に関しては、嶺井選手がマスクを被った時の防御率が2.01であるのに対して、戸柱選手の場合は3.33と上がっているのは確かだ。しかし、濵口遥大投手の場合は、逆に、戸柱投手とのバッテリーのほうがわずかだが防御率が良い。


今永投手や濵口遥大投手自身の調子の波がある程度あったことを考えれば一概に保守のリードによる差とばかりは言えないように思う。


そして、伊藤光選手については、経験豊富な守備面と打撃で本来は正捕手候補筆頭だったのだが、ここ数年怪我に泣かされてきた。


必要だった手術も終えて状態は改善しているはずなので、先日の契約更改で本人も述べていた通り、4年契約の最終年となる来シーズンは体調を万全にして自分が軸として投手陣を引っ張って行くという目標を達成することのできる公算は高いと思う。



一方、新人として獲得した松尾汐恩選手については、様々なスキルと経験が必要な捕手というポジションだけに少なくとも来季はファームでしっかりと鍛えて欲しいところだ。


来季の一軍での出場という意味でいうと、むしろ育成契約ではあるものの打撃のある程度固まっている上甲選手がオープン戦で活躍を見せてそのまま支配下登録、そして一軍合流という可能性の方があるかも知れない。


そして、私が期待するもう一人の若手捕手は、来季で高卒4年目となる東妻純平選手(智弁和歌山高 2019年ドラフト4位)だ。


今年のファームでは59試合に出場して打率 .244だが、出塁率 .331、長打率 .385でOPS .716という成績はライバルの山本裕大選手や益子京右選手よりも期待の持てる内容のように思える。


ファームでの起用法を見ていると、彼は来年のオープン戦で起用されて、結果如何ではそろそろ一軍での試験運用という可能性があるように思う。




以上、今回も来年に向けて伸びしろを無理やり数式化すると、次のような感じだろうか。


(2023年の捕手戦力 ー 2022年の捕手戦力) = ー(嶺井博希) + 


(FA年で目の色の変わった戸柱恭孝 ー 普通の戸柱恭孝) +


(4年契約最終年で怪我なく軸になることを誓った伊藤光 ー 怪我がちだった伊藤光) +


(東妻純平) + (松尾汐恩) + (上甲凌大)


こうしてみると、やはりオリックスからFAした伏見寅威選手は獲っておきたかったという感じははするが、若手の成長にある程度の見通しがあっての判断であれば、私としてはベイスターズ首脳陣の慧眼を信じることとしたい。



【内野手たちの出入りと来季に向けた伸びしろ】


(Out)


倉本寿彦(戦力外)


山下幸輝(戦力外 現役引退)


田部隼人(戦力外 現役引退)


(In)


京田陽太(中日ドラゴンズから砂田投手とのトレードで入団)


林琢真(駒澤大学 2022年ドラフト3位)




内野手に関しては、ファーストのソト選手と佐野選手、サードの宮﨑選手、セカンドの牧秀悟選手のポジションはほぼ確定していると言って良い。


残るショートに関して、今季は森敬斗選手が開幕直前の怪我で出遅れたこともあり、ベテランの大和選手が最も先発出場試合数が多く、続いて森選手、時折柴田選手という布陣だった。


しかし、大和選手の年齢による守備指標の低下(先日の契約更改後の会見でこれに加えて慢性腎臓病の影響もあることが明らかにされたが)と森選手の伸び悩み、そして柴田選手の打撃がシーズンを通して低調だったことから、このポジションが優先的に補強すべきポイントの一つであることは明らかだった。


京田選手及び本職のセカンドに加えてショートも任せられるという林選手の獲得はこの補強ポイントに合致したものと言って良い。


そして、この補強によって森敬斗選手がさらに目の色を変えて練習に取り組んでくれれば、全体としての底上げが可能と思う。


もう一つ私が注目しているのは、今シーズン途中から蛯名達夫選手がサードの守備練習を始めており、フェニックスリーグでの試験運用などを見ても、来シーズンは宮﨑選手の守備固め等で蝦名選手を使う可能性がかなりありそうだと言う点。


今シーズンはこうした場合に柴田選手がサードを守っていたが、やはり打線の迫力の低下は目立っていた。


この点も来シーズンに向けた伸びしろと考えて良いだろう。


と言うことで、来年に向けた伸びしろは次の通り。



(2023年の内野手戦力 ー 2022年の内野手戦力) = + (京田陽太) + (林琢真) 


ー (倉本寿彦) ー (山下幸輝) + 


(本気になった森敬斗 ー イケメン要員だった森敬斗) +


(サードのバックアップもできるようになった蝦名達夫)



【外野手たちの出入りと来季に向けた伸びしろ】


(Out)


細川成也(現役ドラフトで中日ドラゴンズへ移籍)


宮本秀明(戦力外)


(In)


なし


退団した細川選手と宮本選手はいずれも今シーズンの一軍での出場機会は多くなかったため、一軍の戦力としての影響はあまり大きくないと言って良い(将来の期待という面ではもちろん残念だが)。


そして、新たな補強が行われなかったことからも分かる通り、佐野、桑原、オースティン、大田、楠本、関根、蝦名というメンバーの充実ぶりから、総合的な戦力という意味では十分戦える陣容が揃っていると思う。


しかし、今シーズンのチーム得点力が昨年よりも目立って低下した大きな要因はセンターのレギュラーである桑原選手の打撃の不調とオースティン選手の手術等による離脱であることは明白であり、既存戦力のマネジメントが極めて重要となる。


個々の選手の状態の管理を徹底してそれぞれがベストな状態で来シーズンに臨むことができれば、12球団でも屈指の外野手の戦力と言って良いだろう。




以上、昨日から二日かけて「来季に向けたベイスターズの戦力変化」を見てきたが、来シーズンに向けては押し並べて今年よりも改善の期待が大きいように思う。


最後に、これからのストーブリーグ後半戦に向けて首脳陣に考えて欲しい補強ポイントをいくつか挙げて終わることにしたい。


(補強ポイント1 )勝ちパターンに近い左のリリーフ投手


この点については、石田投手、坂本投手あるいは東投手の中継ぎ転向もしくはジャイアンツを退団したメルセデス投手の獲得とリリーフ転向などを考えて戴きたい。



(補強ポイント2)オースティン選手の離脱が長引いた場合の強打の外野手


オースティン選手の状況次第ということもあり柔軟な対応が求められるが、もし筒香嘉智選手のNPB復帰が来年1月に実現するようなら、外人選手登録の縛りが関係ないということでもあるので、ある程度の年俸(2億円程度以上)を準備して是非とも獲得を目指して欲しい。


ベイスターズの背番号25 まだ空いてますよ!