mizuyashikiのブログ

横浜ベイスターズを中心にその時に考えていることを書きます。

第三の外国人野手トレイ・アンバギー選手入団決定



12月23日 ベイスターズの球団事務所は例年通り昨日22日で早めの御用納めを終えたが、その後、本日深夜2時頃になって3人目の外国人野手トレイ・アンバギー選手を獲得したというニュースがインターネット上で一斉に報じられた。



【アンバギー選手ってどんな人?】


アンバギー選手は、身長188cm、体重95キロ、右投げ右打ちの28歳。新天地で改めてキャリアを積み上げていくにはちょうど良い年頃というのも獲得の背景にあるように思う。


MLBでの経験はわずか2試合で無安打。ここ数年はAAAに所属しており、そのレベルでのキャリアハイは2019年ヤンキース傘下で残した打率 .276、22本塁打、打点62、OPS .822。


AAA通算では254試合に出場して打率 .261、39本塁打、133打点でマイナー通算では76ホームラン。


スポーツ紙の報道では「長距離砲」などと言う表現も散見するが、成績を見る限りはアベレージヒッターという印象であり、マイナー通算で65個の盗塁を決めていることからも分かる通り、大柄な体格の割には俊足の選手というイメージだ。



守備位置は外野。主にレフトを守ることが多く、ライトも含めて両翼の守備は問題なさそうだ。

センターも時々守備につくようだが、アメリカの分析サイトで見る限りは平均よりやや劣るらしい。


早速、アンバギー選手の動画をインターネット上で色々と集めて、眺めてみた。


まず、打撃については、基本的にプルヒッターのように見える。甘いボールを踏み込んで思い切り引っ張った時の打球は強く、アメリカの球場でも場外に消えていくシーンがあった。


ただし、この引っ張りモードはホームラン狙いのスイングで、普段は比較的コンパクトでバットコントロールが良い印象。


私が注目したのは、膝の使い方がうまいこと。膝を曲げて腰を沈ませながら、外角の変化球をタメを作って打ち返すバッティングなどはNPB向きのように見える。


外国人の「長距離砲」にありがちな外角のスライダーを振り回してクルクル空振りを取られるということはあまりないように思う(実戦を見てみないことには何とも言えないが)。


もう一つ、目を引いたのは、広角に打てるということ。今回集めた動画の中にライトスタンドへのホームランがあったが、いわゆる流し打ちではなく、しっかり待って逆方向に強く打ち返すことができており、牧秀悟の右打ちのようなフォームだった。


アンバギー選手について現状で手に入る情報は限られているが、これらを総合して見る限り、オースティン選手のような強打者というタイプではなく、ソト選手のようなホームランバッターでもないように思う。


彼らに比べて脚力があり、外野守備は上手い、どちらかといえばアベレージヒッターのタイプのように見える。




【今回の獲得もブレンディングによるものなのか】


午後になって、アンバギー選手の年俸についての報道があった。


単年契約(恐らく)で年俸3500万円とのこと。


奇しくもネフタリ・ソト選手の一年目の年俸と同じ金額だ(為替レートを考えるとドル建てでは少し安いのかもしれないが)。


ベイスターズのこれまでの歴代の外国人野手の年俸の中でもかなり安い部類なのではないだろうか?ちょっと興味があったので、DeNAにオーナーシップが移った2012年シーズン以降の歴代の外国人野手の年俸と成績を年度毎に整理してみた。



やはり、ネフタリ・ソト選手の一年目と同じ年俸で歴代の最低価格だ。


あの時は、主力打者の一人だったホセ・ロペス選手が35歳になるシーズンで、そろそろバックアップとなるような外国人選手を探していたところ、ソト選手が来日して入団テストを受け、合格して入団したのだった。


この補強は功を奏して、ソト選手は1年目と2年目にホームラン王に輝いたことは記憶に新しい。


その後、ソト選手の年俸はあっと言う間に1億円を突破して、3年目となる2021年から年俸2億5000万円の3年契約を結んだ。


今回のアンバギー選手も右肘側副靭帯の修復手術を受けて来季の開幕間に合うかどうかが微妙なオースティン選手、そしてここ数年状態が上向かないソト選手のバックアップという意味合いでの獲得なのだろう。


しかし、ソト選手自身の例を見ても明らかな通り、アンバギー選手が日本の野球にフィットしてレギュラーまで上り詰める可能性も決して小さくはないのだ。


アンバギー選手本人はそのことを信じて、海を渡り、初めての異国の地で新しい環境への順応と求められるスキルの習得に励むことになるだろう。


2020年にタイラー・オースティンを獲得した時に、以下のような記事が出た。


https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/baseball/npb/2020/08/19/dena___split_5/index.php


”来日前、オースティンは右投手や変化球の対応に難があると言われていたが、そういった不安要素が飛び交うなか、球団としてどこまでの可能性を見出していたのだろうか。

「正直、オースティンに関しては、あまりネガティブなものは感じていませんでした。


表面的なスタッツだけを見れば、たしかに巷で言われているとおりかもしれません。


ただ、スカウトのロペスは広角に打てる技術があるし、選球眼も優れていると言う。

ではなぜ、メジャーで数字が悪かったといえば、彼はレギュラーとして毎試合出場する選手ではなく、おもに代打として一線級の投手と対峙せざるを得ない立場でした。


そのような状況で目を見張るような数字を残すのは難しい。


ただ、ロペスは3Aでフル出場する彼を見て評価を下しています。


事実、オースティンを数試合見た進藤さんは、スイングスピードは速いし、ボールの見極めができている。日本の野球に対応できるだろうと判断しました」

 さらにITを活用したデータ分析を担うR&Dグループを持つチーム戦略部ならではの評価も獲得への後押しとなった。

「2016年から3Aのトラックマンデータなどを入手できるようになり、アナリティクスの分野においても分析が進んでいます。


打球速度や強い打球の比率、どの方向へ飛ばすかすべてわかり、表面的なスタッツだけではない部分も分析可能になりました。


とくにオースティンの場合はそのあたりの数字がメジャーでもトップクラスだったので、これはいけるのではないかと判断しました」

昔ながらのスカウトの眼力とアナリティクス。このふたつがDeNAの外国人選手獲得のカギとなっている。

「これを我々は”ブレンディング”と呼んでいます。まずはスカウトの目線を優先し、アナリティクスを融合させる」”


ソトの場合も、オースティンの場合もDeNAの在米スカウト達は数年間にわたって注目し、状況の推移を見守っていたらしい。


恐らく、アンバギー選手についても、彼がAAAで出場するようになってから、あるいはそれ以前からルイス・ロペスさん達スカウトが目をつけていたのだろう。


そして、AAAのトラックマンデータなどの分析を行い、数値的な裏付けもしっかりと確認した上での今回の獲得だろうと思う。


アンバギー選手の年俸を見て、バックアップにしても安い、もっと良い選手を連れてくることはできなかったのか、と言ったコメントがインターネット上でも見られるが、年俸が高ければ良いというものでもないだろう。


現に、今シーズン巨人に在籍した9人の外国人選手の中で、残留することになったのは、年俸数億円の元メジャーリーガー達ではなく、独立リーグから入団したアダム・ウォーカー選手だった。


彼の今季つまり1年目の年俸は3400万円である。


私には、アンバギー選手が大方の予想を裏切って走攻守に大活躍をして見せる将来像が見えるような気がする。


ジャパニーズドリームというものだってあって良いじゃあないか。





幸福とは達成の喜びとゼロから何かを生み出すスリルのことである。 


フランクリン・ルーズベルト