牧秀悟のためのシュアプレイ
シュアプレイと言う野球用品のブランドをご存知だろうか?
1936年創業の三共スポーツ(本社は東京 秋葉原)と言う会社が展開しているブランドで、少年用からプロ野球で使用する本格的なものまで幅広く製作・販売している。
ミズノやローリングスなどと比べると知名度はもう一つかも知れないが、一部のプレイヤー達には高く評価されている。
各メーカーは有名プロ野球選手とアドバイザー契約を結び、テイラーメイドのバットやグラブなどを提供する一方で選手たちはその広告塔として活動する。
シュアプレイのアドバイザリースタッフとしては、元ヤクルトスワローズの真中満さんや元横浜ベイスターズの鈴木尚典さんなどの名前が挙がるが、プロ野球全体で見るとシュアプレイ勢は決して多数派ではない。
このところ、ベイスターズファンにとって、シュアプレイは身近な存在になってきているが、それはひとえに牧秀悟選手が大活躍した新人年にアドバイザリースタッフ就任したためだ。
就任時の本人の談話。
「大学4年の時に初めてシュアプレイを使って、非常に感触が良かった。
今季の成績はシュアプレイさんのお陰です。
シュアプレイを使っている選手は少ないですがこれからもシュアプレイを使っていき、小学生・中高生に使ってもらえるよう、もっとアピールしたいです」
牧選手らしい素直でほのぼのしたコメントだ。
SPマークを前面に出したバットを抱える牧秀悟選手
【WBCに向けたシュアプレイの秘密兵器】
牧秀悟選手は侍ジャパンに選出されWBCに参戦することが決定しているが、現在は、師匠と仰ぐ大和選手らとともに鹿児島県鹿屋市で自主トレを行っている。
その牧選手に三共スポーツが提供した秘密兵器がAIR-HITと言うティーバッティング用の器具だ。
通常のティーバッティングは、棒状のティーの上端にボールを置いて、それをバットで打つと言うものだが、ティー上に置かれたボールは静止している。
これに対してAIR-HITでは、下に置いた送風機から上向きの風を送り、それでボールを浮かせる。
この時、ボールの周りを吹き抜ける風が縫い目に与える力によって不規則に揺れるような動きをすることとなる。
シュアプレイのカタログを見てみると、縫い目のないゴムボールなどではほぼ静止し、縫い目のある硬球では不規則な動きが現れるそうで、ボールを風の上に「載せる」際にはストレートの握りが良いと書いてある。
恐らく、風に対する縫い目の位置関係で揺れのモードが変わるのだろう。
何のためにこの装置を使うのか?
一つの理由は、ボールの下部を狙い撃つことによってバックスピンのかかった飛距離の出る打球とする練習だが、もう一つの重要な理由がある。
これは、簡単に言えば、アメリカや中南米の投手たちに多い「動く」ボールをバットの芯で捉えるためのトレーニングになると言うこと。
これから各国の投手陣と相対する牧選手にはまさににうってつけの練習器具で、
「シュアプレイさんが提供してくれて、カットボールや動く球を意識した練習ができた。
(WBCへ)いい準備ができる」
と本人も感謝していた。
新人年にやや苦労したカットボールについても2年目にはきっちり対策をとってきた牧選手は、昨年11月のオーストラリア戦での経験を活かし、この秘密兵器を使ってムービングボールにもしっかり対処していってくれることだろう。
【ピッチャー斉藤ことSBX810】
コロナ禍になって活動停止状態のわが草野球チームの復活に向けて、私はある壮大な計画を持っていた。
年齢とともに身体の各部位の可動域が小さくなり、動体視力の低下を痛感していた我々は、サードゴロやショートゴロの際のファースト送球でピッチャーが中継に入るなどの体力に応じた現実的な解決策で対応してきたが、投手ばかりは如何ともし難い。
そこで私が構想していたことは、
「金で解決する」
と言う極めて現実的な対策である。
この写真はシュアプレイの軟式用ピッチングマシーンSBX810と言うものだが、ストレートは最速140km/hまで出すことができる。
我々レベルの草野球ではストレートの平均球速は100キロそこそこ。
これは速い、と言うピッチャーで120キロ程度だが、我々ではこの速球を前に飛ばすことは非常に難しい。
140キロとなると恐らくかすりもしないだろう。
さらに、SBX810は変化球も全球種投げることができるのだ。
140キロの速球とブレーキの効いたカーブをランダムに混ぜただけで、我々は河川敷の王者になることも夢ではないのだ。
税込約70万円と言う出費は確かに大きい。しかし、チーム全員が部費として数年間かけて支払えば何とかならないこともない金額だ。
私は、このSBX810に斉藤という名前をつけ、背番号18のエースナンバーを与えることを考えている。
試合中盤になり、あっ、こいつら弱いな、と思って表情の緩んだ相手チームに対し、私はベンチを出てゆっくりとマウンドの方に歩いて行き、
ピッチャー斉藤。背番号18
と告げる。
そして、我がチームメイトが斉藤ことSBX810をガラガラと押しながら登板し、呆気に取られる敵チームのバッターの目の前で投球練習をするのだ。
得意の140キロのストレートを目の当たりにした敵チームは「ルール違反だ」と言うかも知れないが、そこで私は、「斉藤は僕らの大切なチームメイトです。時代は多様性でしょ、やっぱり」と言うようなことを申し伝える。
私が妙にニヤニヤしながら野球用品のカタログを見ている時は、概ねこのようなことを空想している。
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