mizuyashikiのブログ

横浜ベイスターズを中心にその時に考えていることを書きます。

ウェンデルケン投手とアンバギー選手が来日



1月27日 既に来日していた新外国人選手2名の入団記者会見が行われ、報道陣とのやり取りなどがベイプライムカメラなどで配信された。


最速158キロ右腕のウェンデルケン投手は試合終盤を担う勝ちパターンの厚みを増すため、そしてマイナー通算78発のアンバギー選手は大型外野手として手術後でスロースタートが予想されるオースティン選手のバックアップと言う意味合いもありそうだ。


ウェンデルケン投手は


「自分は速球を中心に、チェンジアップのコンビネーションが武器。


シーズンを通してブレずにブルドックのように投球したい」


と話し、一方のアンバギー選手は


「1試合1試合を楽しんで、持ち味を出し優勝に貢献したい」


とそれぞれコメントしている。


会見に同席した萩原龍大チーム統括本部長は


「ウェンデルケン投手はブルペンの厚みを増すために獲得しました。


アンバギー選手は、オースティン選手が開幕に(右肘手術で)万全で迎えることができないので、その分期待しています」


と話しており、冒頭に書いた我々ファンの理解は球団の方針ともおおむね合致しているようだ。




【ウェンデルケン投手のピッチングスタイルは日本で通用するか?】


ウェンデルケン投手は1993年生まれの29歳で、身長185センチ、体重109キロのがっしりとした体格の持ち主だ。彼自身の語っていた「ブルドッグ」という言葉はこうした容姿を踏まえてのもののように思える。


ひょっとすると、ブルドッグというあだ名がついたこともあったのかも知れない。


彼は2016年にアスレチックスでメジャーに昇格し、トミージョン手術とその後のリハビリを挟んで、通算144試合に登板して10勝6敗、防御率4.00の成績を残している。


今シーズン途中にウェイバー公示後ダイヤモンドバックスに移籍し、中継ぎとして29試合に登板し、2勝1敗、防御率5.28だった。


彼の中継ぎとしてのキャリアハイはアスレチックス時代の2020年に21試合に登板して1勝1敗、防御率1.80の成績を残した時だろう。



今シーズンの彼の投球内容について、まずは球種の配分と球速の頻度分布を見てみよう。


軸となるのは平均球速95mph (約153km/h)の速球で、全投球の60%を占める。これに加えて、26%のスライダーと16%のチェンジアップの3球種で配球している。


彼のストレートの平均球速はMLB全体の72パーセンタイルであり、かなり良好という位置付けにあるが、特にスピン量が全体の87パーセンタイルとなっており「非常に良い」評価になる。


ただし、ストレートのコントロールについては真ん中付近に集まる傾向があり、速球に慣れているMLBのバッターからすると怖さがないということになるだろう。この点が今年の彼の高い防御率の原因であるかも知れない。


MLB関連のサイトでランダムピッチということで無作為抽出された彼の投球動画を数十球ほど見た中では98mph(約158km/h)という数値が最速であり、平均球速が153km/hであることから見てもNPBの平均的なバッターにとってはやや甘めのコースでも十分に脅威になると思う。


そして、彼の「持ち球」の中ではチェンジアップの被打率が低くMLBでも武器になっていたようだ。実際、この球種については外角一杯でストライクをとるボールと真ん中低めでストライクゾーンからボールになるものとを投げ分けられているようだ。


153〜158km/hのやや甘いコースのストレートと低めのストライクとボールになるコースを投げ分けられる球速差15km/h程度のチェンジアップはNPBのボールに苦労しない限りは十分に通用することだろう。


彼が入団することによって、セットアッパー〜クローザー相当の優れたリリーフとして、伊勢大夢、E.エスコバー、J.B.ウェンデルケン、そして山﨑康晃の4人が居並ぶこととなり、それに加えて成長著しい入江大生と難病から復帰を目指す三嶋一輝がその座を狙うという構図になる。


年俸1億2000万円と言われるウェンデルケン投手を獲得してこの布陣を築くことを決断したことは、昨年以上に球団及び首脳陣が悲願の優勝に賭けていることを物語っているように思えてならない。



【アンバギー選手の持ち味】


アンバギー選手は、身長188cm、体重95キロ、右投げ右打ちの28歳。新天地で改めてキャリアを積み上げていくにはちょうど良い年頃というのも獲得の背景にあるように思う。


年俸は3500万円ということで過度な期待は抱けないが、数年前に当時は全く無名だったソト選手が入団した時の年俸もほぼ同じだったので、彼と同様、ジャパニーズドリームを実現する可能性は十分ある。



MLBでの経験はわずか2試合で無安打。ここ数年はAAAに所属しており、そのレベルでのキャリアハイは2019年ヤンキース傘下で残した打率 .276、22本塁打、打点62、OPS .822。


AAA通算では254試合に出場して打率 .261、39本塁打、133打点でマイナー通算では76ホームラン。


スポーツ紙の報道では「長距離砲」などと言う表現も散見するが、成績を見る限りはアベレージヒッターという印象であり、マイナー通算で65個の盗塁を決めていることからも分かる通り、大柄な体格の割には俊足の選手というイメージだ。


守備位置は外野。主にレフトを守ることが多く、ライトも含めて両翼の守備は問題なさそうだ。

センターも時々守備につくようだが、アメリカの分析サイトで見る限りは平均よりやや劣るらしい。


早速、アンバギー選手の動画をインターネット上で色々と集めて、眺めてみた。


まず、打撃については、基本的にプルヒッターのように見える。甘いボールを踏み込んで思い切り引っ張った時の打球は強く、アメリカの球場でも場外に消えていくシーンがあった。


ただし、この引っ張りモードはホームラン狙いのスイングで、普段は比較的コンパクトでバットコントロールが良い印象。


私が注目したのは、膝の使い方がうまいこと。膝を曲げて腰を沈ませながら、外角の変化球をタメを作って打ち返すバッティングなどはNPB向きのように見える。


外国人の「長距離砲」にありがちな外角のスライダーを振り回してクルクル空振りを取られるということはあまりないように思う(実戦を見てみないことには何とも言えないが)。


もう一つ、目を引いたのは、広角に打てるということ。今回集めた動画の中にライトスタンドへのホームランがあったが、いわゆる流し打ちではなく、しっかり待って逆方向に強く打ち返すことができており、牧秀悟の右打ちのようなフォームだった。


アンバギー選手について現状で手に入る情報は限られているが、これらを総合して見る限り、オースティン選手のような強打者というタイプではなく、ソト選手のようなホームランバッターでもないように思う。


彼らに比べて脚力があり、外野守備は上手い、どちらかといえばアベレージヒッターのタイプのように見える。



さあ、これで残るはオースティン選手となった。


手術後の彼がどのような状況なのかが、今年のベイスターズの優勝の可能性を左右する大きな要因となる。


しかし、心配ばかりしていても仕方ない。できるだけの補強をして準備は整っているのだ。


大きな希望を持とう。



“いちばんいいことを希望して、いちばんわるいことがおこってもおどろくなってさ”


リトルミー(ムーミン谷の仲間たちより)