復活と新球と合流を祝うバレンタインデー
2月14日はバレンタインデー
日本では、この日だけは女性から男性に告白して良いというルールを考案して製菓会社がチョコレートの販売促進の口実にすることで始まった
などと言われているようだが、本来は古代ローマで恋人たちのために身を挺して活動したバレンタイン司祭が処刑された日を恋人たちの日として祝うことになったらしい。
ローマ帝国を支える軍団が後顧の憂いなく戦える(死ねる)ように兵士の結婚を禁止したというのも酷いが、その命令に反して男女の仲を取り持っていたバレンタインさんを処刑してしまったというのも随分むごい話だ。
解釈は様々だが、この日には人が想いを遂げるチャンスがあるという意味では共通点があるように思う。
【三嶋一輝の復活にかける想い】
このブログでも何度か取り上げているように、三嶋一輝投手は国指定の難病である胸椎黄色靭帯骨化症で昨年8月にミストという最新の手術を受けた。
これはCTなどを使いながら1〜2cm程度の小さな傷口だけで骨化した箇所を取り除き圧迫されている胸椎を解放する施術で、患者の身体への負担は小さいためにリハビリ期間も短く、発症前の状態に戻ることができる可能性も高いらしい。
そして、その最先端の医療技術の効果がはっきりと現れてきている。
旧術式ではほぼ全ての選手が感じたという痺れも今のところ全くないとのこと。
横須賀のDOCKで行われた昨年秋の練習では、40mのキャッチボールを行い、50mダッシュで5秒9という記録を出すなど体調に問題はないことが報じられていた。
春季キャンプは奄美のB班でスタートしたが、例年よりも早い仕上がりを見せており、三浦監督も今月の後半には三嶋選手を宜野湾に移して1軍主体のA班に合流させることを明言している。
第2クールでは、
”しっかり体が動くことは楽しいもんだなと。いろんな人に感謝の気持ちでいっぱいです”
と嬉しそうに話していたが、第3クールの最終日となった昨日(13日)には、とうとう実戦形式のバッティング練習に登板し、およそ9ヶ月ぶりに打者と対戦した。
トラックマンによる計測では、今日のストレートの最速が151km/hだった。
この時期に151km/hというのは驚くほど順調だし、それ以外にも、
”今までは踏み出す足がインステップしていた。それがまっすぐに直せた”
そうで、おかげで昨年は出来なかった右バッターのアウトローにストレートを投げ込むという投手としての生命線を復活させることができたのは朗報だ。
一昨年後半以降の三嶋投手は右バッターのインコースを痛打されることが目立ったが、これもひょっとするとアウトローにストレートが決まらないことを察したバッターがインコースを待てるようになっていたせいかも知れない。
昨年のキャンプではシュートに取り組んでいたが、彼の昨日のコメントによれば、やはり症状が出ている中でバッターと勝負するための苦肉の策だったらしい。
そして、彼は新たな変化球にも取り組んでいる。
一つは法政大学の後輩でもある若手の石川達也投手から教わったというチェンジアップ。
これまでの三嶋投手は150キロを超える速球に高速スライダーとフォークボールが主で奥行きを出すような緩いボールがあまりなかった。
この新球については、バッターの反応も良いようで、オープン戦などを通じて実戦でも使えるようにしていくのだろう。
本人も語っているように、緩いチェンジアップでバッターを前に出した後の速球は今まで以上に空振りの取れるボールになることだろう。
もう一つは今永昇太に教わったという少し遅いスライダー。こちらはまだ習得中ということだが、2種類のスライダーの使い分けも有効な配球になりそうだ。
先日の記事で、三嶋一輝の復活は祈りだったものが希望に変わった、と書いたが、さらにそれは疑いのないものになりつつあるように思う。
【意識高い系になったハマちゃんの新球にかける願い】
これも昨日(13日)のことだが、ハマちゃんがブルペンで170球の投げ込みを行った。
彼は以前から投げ込んで調整していくタイプで、昨年のキャンプ以来、小谷アドバイザー、斎藤隆コーチ、木塚コーチに見守られつつ長いことピッチングを続ける姿が見られたが、今日は特に集中的な投げ込みを行ったようだ。
私が注目したのは、大貫晋一投手と一緒に米国で行った自主トレーニングで覚えてきたという新球”スイープ”を投じて本人も三浦監督も良い感触を口にしていたことだ。
調べてみると、スイープというのは最近MLBで流行している変化球で、簡単にいうと落ちずに滑るように大きく曲がるスライダー系のボールらしい。
元々ストレートの回転軸がやや横に傾いているタイプの投手にとっては比較的習得が容易なボールらしい(私の印象では真上から投げ下ろすハマちゃんのボールは回転軸もまっすぐなような気がしていたのだが)。
通常のスライダーの握りとは違って、人差し指と中指を2本の縫い目に沿ってかけるツーシームと同じ握りでボールを捻りながら投げることで回転方向の抵抗を増して変化量を大きくすることができる、というのが原理だ。
MLBのデータではあるが、現状でスイープは最も空振り率が高く、打たれた場合も打球速度が最も遅いということで有効な変化球の最右翼であるらしい。
ハマちゃんといえば、新人の時から威力のあるストレートとチェンジアップは素晴らしいがコントロールにばらつきがあり好不調の波が激しい荒馬という印象だった。
しかし、昨年は安定した制球と落ち着いたマウンド捌きで印象を一新した。
コロナ罹患による離脱がなければ、新人年以来の二桁勝利も十分狙えたと思うが、そのことは本人が1番わかっているはず。
結婚もして”意識高い系”に変身したハマちゃんは、昨年に続いてスイープを操ることで引き出しを増やし、今年こそ2度目の二桁勝利とチームを優勝に導く大人の投手の活躍を見せてくれることだろう。
うん、そうだ。今永昇太がMLBに挑戦する後の左のエースを狙ってくれ。
【タイラー・オースティンの雪辱の誓い】
昨日の深夜、奥さんのSNSでお二人が揃ってアトランタの国際空港から日本に向けて飛び立ったという情報が駆け巡ったタイラー・オースティン。
14時間のフライトを終えて、今日、久しぶりの来日を果たした。
今日、A班の面々と合流し、第4クールが始まる15日から宜野湾での練習を開始する。
当面はリハビリ組という扱いだが、まずは彼の肘の状態がどの程度のものなのかに注目しよう。
25年ぶりの悲願の優勝に向けて最も大きな不確実性は彼が戦力として期待できるかどうか、それはいつからか、という点なので知りたいことは色々とある。
軽いキャッチボールはできるのだろうか?
バッティングについては昨シーズンからある程度振ることができていたようだが、それは改善されているのだろうか?
彼が手術を受けた昨年11月からずっと待っていた情報をもうじき知ることができるはずだ。
オースティン選手自身も、昨年の低調なシーズンは人一倍悔しい想いをしたはずだ。
きっと今年は彼らしい豪快なスイングで再び輝いてくれるさ。




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