mizuyashikiのブログ

横浜ベイスターズを中心にその時に考えていることを書きます。

開幕投手候補筆頭 大貫晋一の投球にみるコマンドの重要性




2月15日 宜野湾キャンプ第4クールが今日から始まった。


本クールのテーマは”チャレンジ”ということで、各選手はこれまでの自分の枠にとどまらず、新しい課題に挑戦することが求められている。


一方、ご自宅で6人組の強盗団の侵入という事件があった斎藤隆コーチは急ぎ横浜に戻るというアクシデントもあった。


幸いご家族にお怪我はないということだが、このところ世の中が物騒になっているので、他のコーチや選手等の留守宅の警備も確認しておく必要があるように思う。



【実戦形式のバッティング練習】


今日はランチの後、実戦形式の打撃練習で以下の四人の投手がライブバッティング投手としてマウンドに上がり、それぞれ3人ずつの打者と”対戦”した。


石田健大 対 柴田竜拓、田中俊太、神里和毅


大貫晋一 対 牧秀悟、京田陽太、勝又温史


吉野光樹 対 楠本泰史、蛯名達夫、関根大気


橋本達也 対 松尾汐恩、戸柱恭孝、山本祐大


石田投手は今キャンプで初めて打者と対峙して投げるということで、ある程度力をセーブして投げているように見えた。


まだリリースポイントが安定しておらず、高めに抜けるようなボールも多かった。


来月30歳を迎える石田投手も今季でプロ9年目となり、順調にいけばFA資格を取得するわけだが、だからと言って功を焦るわけでもなく、落ち着いて調整を行なっているというところだろう。


石田クラスの投手であれば自分のペースで調整を進めているはずなので心配はない。



新人でドラフト2位の吉野光樹投手は時折抜けるようなボールもあったが、指にかかったストレートが低めに決まるなど、良いボールも多かった。


これからの課題は、こうした良いボールを意識して高い確率で投げ込めるようにして行くことだろう。


既に打撃力では中堅と言っても良い楠本泰史が吉野投手のストレートに差し込まれているシーンも度々あったし、このまま順調に調整が進み、徐々に一軍のマウンドにも慣れてくれば開幕一軍の切符を得る可能性もあるように思う。


社会人から入団した吉野投手は、やはり早い時期に一軍デビューを果たして定着したいと言う希望を持っている筈なので、WBCの影響で今永、エスコバーが開幕時に不在となる今年のチャンスを掴んで欲しい。



ドラフト5位の新人、橋本達也投手は初めての実戦形式のバッティング投手ということで力んでしまったようだ。


30球近くを投じたが、その大半(おそらく60〜70%)は高めに抜けるストレートと低めに外れるフォークボールで、打者の練習にはならなかった。


マウンドに上がる直前までライト側ファウルゾーンで捕手が座った状態で投球練習をしつつ準備していたが、その時には低めにキレの良いストレートが決まっていた。


マウンドに上がった途端にバランスを崩してしまったようだが、バックネット裏でじっと見つめていた三浦監督の姿を見て緊張したのだろうか?


彼がリリーフとして勝ちパターン定着を狙うのであれば、こうしたメンタル面の課題を克服し、どんな場面でも平常心で力を発揮できるようになることが必須だ。


ベイスターズにはメンタルコーチの方もいらっしゃるので、精神面で一皮むけるように是非相談してみて欲しい。



二人目にマウンドに立った大貫晋一は他の3人とは明らかに差がある状態だった。


この時期なので、まれには上ずったボールもあったが、全体として見れば、両コーナー低めに投げ分けられたストレート、そこから左右に曲げるカットボールやツーシームなどがしっかりコントロールされていた。


MLBでは、投手の制球力について、コントロールとコマンドという言葉を使い分けるらしい。


コントロールと言うのは、必要な時に確実にストライクゾーンに投げ込むことができる能力で、コマンドというのはアウトローやインハイなどのコースにピンポイントで投げ込むことのできる能力だ。


コマンドについては、さすがにコントロールの場合ほどの高い確率は期待できないが、それが一定以上であり、ポイントがずれた場合にも甘いコースにはいかず、むしろボールゾーンに外れていくようなピッチングが求められる。


大貫投手は、コントロールはもちろん、高いコマンド能力を持っている。


今日のライブバッティング投手でも、牧秀悟選手を相手に3球ほど続けてアウトローギリギリのところにキレの良いストレートを続けていた。


牧選手は見逃し、そしてかろうじてバットでカットいう反応であり、大貫投手の意図した練習ができていたように思う。


昨秋のCSファーストステージでもチーム唯一の勝利を挙げるなど安定感抜群の彼の投球の基本は、やはり、このコマンド能力だと思う。


そして、やはり勝てる投手というのは、投球フォームの再現性が高く、何度でも同じ厳しいコースにピンポイントで投げ込めるコマンドを持っているということを再認識した。


今永昇太がWBC参加のため不在となる今季の序盤戦、開幕投手候補の最右翼は大貫投手だろう。


最近の大貫投手を見ていると、同じく細身でキレの良いストレートと高いコマンド能力が持ち味だった大先輩の遠藤一彦さんとイメージが重なってくるように思う。


そう言えば、この二人ともドラフト3位での入団だった。


今シーズン、大貫投手はベイスターズの大エースへの道という挑戦を始めることになるような気がする。




【タイラー・オースティンがチームに合流】


来日して昨日宜野湾に移動したターラー・オースティン選手がチームに合流し、仲間たちに挨拶して笑顔を見せた。


彼は昨年の10月24日に右肘靭帯の修復手術(トミージョンと呼ばれる再建術ではない)を受けたが、その後、米国では、早朝に起床して6時からリハビリに取り組むという日々を過ごしていたようで、これまでのところ右肘の手術後の回復は順調とのこと。



まずは良かった。


本人によれば、塁間(90フィート 約27メートル)よりも少し短い距離でのキャッチボールは既に行なっており、近いうちにバッティング練習も開始する予定とのこと。


宜野湾では、当面、リハビリ組ということで別メニューをこなすが、開幕までまだあと40日以上あるので、うまくいけば4月中にも彼の勇姿を横浜スタジアムで見ることができるかも知れない。


やはり、ベイスターズ打線の威力は彼がいるといないとでは大きく変わってくる。


悲願の優勝のためには欠かすことのできないピースなので、去年のように代打ということではなく、復帰後はスタメンとして毎試合4回打席に立つことができる状態を目指して欲しい。


本人のコメント


”本音を言えば、明日にでもグラウンドに戻りたいが、トレーナーが組んでくれたプログラムに従って復帰して行くことになる。


復帰の時期はまだ不確定。


昨シーズンはほぼプレーすることができなかった。


本当に悔しかったし、今季もリハビリスタートということで悔しい部分はあるが、野球選手として試合に出たいと思っているので、1日も早くフィールドに戻れるように努力する”


三浦監督も、どんどん上げて行きたいという本人も希望もあるので、状態を見て確認しながら進めていく、と語っている。


我々もオースティン選手のリハビリという挑戦を全力で応援しよう。