佐野キャプテンが一本締め 宜野湾キャンプでの収穫をまとめてみる
2月23日 全体練習はこの日で最後と言うことで、ランチ前に佐野恵太キャプテンの音頭で一本締めを行った。
“オープン戦を経て開幕となりますが、チャレンジャーとして、挑戦する者として、これからどんな壁に当たっても立ち向かって行きましょう”
その後、取材に答えて、彼は次のようにコメントしている。
“昨季は2位だったということで、全員が優勝という目標になっている。
多くの選手の口から優勝という言葉が聞ける状況になっている”
ここまでの練習試合の結果は1分4敗と未勝利のまま終わったが、ここでの勝敗を気にする必要はない。勝ちにこだわる野球は明後日から始まるオープン戦の中で研ぎ澄ませていくことができる。
それより大事なことは、キャンプ中にしかできないことにしっかり取り組み、得るものがあったかと言う点だ。
現時点では、敵は未だ他チームではなく、自分たちの中にある。
今日は、宜野湾でのキャンプを見ていて私なりに理解した収穫を思いつくままに書き出してみる。
【大きな怪我がなかった】
先日、中日の左腕、岡田投手が投球動作の途中で踏み出した右足が異常な方向に曲がったと思った瞬間、その場に崩れ落ちると言う衝撃的な出来事があった。
岡田投手は小気味良いピッチングをする好投手だと思っていたが、今年からサイドスローに転向したばかりだったと言う。
彼の一日も早い回復を祈るばかりだ。
この例からも分かる通り、プロ野球選手の鍛え上げた筋肉の高い出力は自身の肉体を痛めつける可能性を常に持っている。
ベイスターズでも、昨春の今永昇太の前腕の肉離れや佐野恵太の脇腹の肉離れなど、出力が高いが故の怪我は枚挙にいとまがない。
この意味では、今春のキャンプで大きな怪我した選手が居なかったことが大きな収穫だと思う。
唯一気がかりなのは、下半身のハリということで別メニューになった新外国人のトレイ・アンバギー選手のことだ。
その後、オースティン選手と同じくトレーナー指示という枠のままキャンプを終えることになった。
三浦監督によれば、ここは慎重になって一旦スローダウンしよう、ということだったが、日本の野球に慣れるために時間と機会が欲しい彼が離脱したままでいるということは、それほど軽い症状でも無いのだろうと思う。
慣れない環境で不安になることもあるかも知れないが、焦らずにしっかり治して開幕に備えて欲しい。
リハビリ中のタイラー・オースティンに加えて、ソト選手もWBCのために開幕不在となる可能性が高い中、首脳陣やファンにアピールするには絶好の機会だ。
【新人たちの頑張り】
ドラフト1位の松尾汐恩選手は練習試合で先発マスクをかぶるなど、首脳陣から期待されており、ファン目線でも早く見てみたい楽しみな選手であることは間違いない。
高卒新人とは思えない力強いバッティングや強肩が魅力的な反面キャッチングやブロッキングといったプロの捕手としての基礎はまだまだ鍛える必要があるようだ。
恐らく、どこかのタイミングでファームに送って基礎練習をしながら出場機会を与えられると言うことになるだろうが、彼の学習能力については三浦監督も驚くほどだったので、思ったよりも早く1軍レベルのキャッチャーとして戻ってくるように思う。
ドラフト3位の林琢真選手も期待通り、いや、それ以上のパフォーマンスを見せてくれている。
こちらは大学卒でもあり、このまま一軍に帯同しつつ、守備固めや代走で起用されていく中でプロのピッチャーのボールに慣れていくと言うアプローチを取るのではないだろうか。
少なくとも、守備については1軍の中でも高いレベルにあるし、先日の練習試合で初盗塁を決めたように走力とスタート、スライディングの技術もしっかりしている。
打撃が課題と言う意見も時折見かけるが、スイングの鋭さ、ミートの巧さ、そして選球眼もあり、彼の場合はファームで打席数を与えると言うよりも1軍で使って行った方が良いように思う。
ドラフト2位と5位の即戦力投手、吉野光樹選手と橋本達弥選手は、未だ実戦での登板が少な過ぎて評価するのは待った方が良さそうだ。
この2人の勝負は明後日からのオープン戦であり、ここで開幕1軍の切符を手に入れることができるかどうかが決まることになる。
そして、新人ではないが、投手から野手に転向して育成契約での再出発となった勝又温史選手も、三浦監督は“一番バットを振っていた。楽しそうに野球をやっている”と評価している。
昨秋のフェニックスリーグでの大活躍を見ていたので、ここまでの練習試合でのプレーはやや物足りないが、未だこれから。まずは早い時期の支配下登録を勝ち取って欲しい。
【二遊間のポジション争い】
京田陽太選手の加入によって競争が激化することが予想されていた二遊間、特にショートのレギュラー争いだが、編成の希望通りに競争が良い効果を生んでいるようだ。
昨シーズン、プライベートで気になる報道のあった森敬斗選手は、キャンプを見る限り、目の色を変えて野球に取り組んでいるようだし、バットが遠回りするという悪癖を修正してコンパクトでシンプルなスイングに変えたことが奏功しているようだ。
そして、一昨日の試合で第一打席に三球三振した後、すぐに構えを変えることでタイミングをとりやすくする工夫をしてその後4安打するなど試合中の修正力もついてきているようだ。
ひょっとすると、このままショートのレギュラーの座に駆け上がるかも知れない。そのためには、守備での捕球の確実性を上げること、そしてミスした後の焦りまくった悪送球を慎むことを徹底して欲しい。
そうはさせないというのが京田選手。
なかなかヒットが出ずに本人も周囲もモヤモヤしていたが、一昨日の試合でマルチヒットを放つなど状態が上がってきた。
こちらもこだわっていたテイクバックでのヒッチを止めるなど、結果を出すために柔軟に取り組んでいるようだ。
このところ、サードも守る機会があり、チーム内でのユーティリティとしての立ち位置も模索しているようだ。一時期本気で取り組んでいた蝦名選手のサード守備を練習試合で見かけないのも京田選手のこの起用法と関連しているのかも知れない。
【辛酸を舐めた投手達の復活への道】
練習試合で二桁失点の続いている投手陣だが、先日複数失点した石田健大や大貫晋一などは調整途上ということで、開幕にはしっかり仕上げてきてくれるだろう。
私としては、トミージョンからの復活を目指す東克樹と平良拳太郎の2人に注目していたが、東投手は練習試合2度目の登板で力強いストレートを取り戻しつつあることを見せてくれた。
平良投手も練習試合の初めての登板でいきなりスリーランホームランを浴びたが、その後はキレのあるストレートとシンカーやスライダーを両コーナー低めに集める彼の投球スタイルを久しぶりに披露した。
そして、昨日の記事でも書いたが(もちろん、何度でも書く)、難病の胸椎黄色靱帯骨化症からの復活を目指す三嶋一輝がほぼ半年ぶりに実戦登板を果たした。
ストレートの最速は149km/h(球場のスピードガン)ということだったが、球団のより正確な計測では153km/hだったということで、非常に順調に調整が進んでいることがわかる。
何より、本人が“身体が自由に動くということがこんなにも楽しいとは”と言っているように、ワクワクしながら復活に向けて努力できているということが素晴らしい。
【楠本泰史のレベルが一つ上がった】
こちらも競争の激化している外野のレギュラー争いだが楠本選手のアピールが素晴らしい。
元々バッティングには定評のある選手だが、先日の練習試合で放ったライト横のヒットのスイングスピード、ミートの技術、打球の鋭さは私のイメージしていた楠本選手と比べてハッキリとレベルが上がったように見えた。
現在は、桑原将志と共にファームに合流して宮﨑での試合出場を続けているが、来月7日には1軍復帰することを三浦監督も名言しており、“ファーム落ち”ではなく、むしろ開幕1軍に向けて“勝ち抜け”ということだろう。
新人年から大きな期待を寄せられてきた楠本選手は今年こそ本当の意味で花を咲かせることになりそうだ。
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