mizuyashikiのブログ

横浜ベイスターズを中心にその時に考えていることを書きます。

日本シリーズの記憶(2017年横浜DeNAベイスターズ対福岡ソフトバンクホークス)

今日から日本シリーズの舞台は東京に移って第3戦が始まる。

スワローズもバッファローズも近年屈指の良いチームなので、きっと白熱した良い試合になるだろう。


私はその傍で2017年の日本シリーズについて書いてみようと思う。


2017年のクライマックスシリーズファイナルステージの戦いについては既に書いた。


この年、私は暗黒時代がはっきりと終わり、チーム力の充実とラミレス監督以下の首脳陣の現実的な采配の組み合わせが飛躍につながる可能性を感じていた。




日本一になった1998年以来の日本シリーズ出場。

対戦相手は当時最強のソフトバンクホークスだ。下馬評は圧倒的にホークス有利で、ベイスターズは4連敗で終わるのではないかと言われていた。


その時、私はどうしても断れない仕事でシドニーにいた。1960年の大洋ホエールズ初めての日本シリーズの時はまだ生まれておらず、1998年はイギリス在住。そして今度はシドニー。実は私はベイスターズの日本シリーズを一度もリアルタイムで観たことがないのだ。


確保していた横浜スタジアムのチケットは全て友人に渡し、必死で応援するようにと言い置いてオーストラリアに飛んだ。


福岡での第1戦は井納と千賀の先発だったが、井納が打たれ、5回終了時点で1-10と大きくリードされてそのままゲームセット。


ほーら、やっぱり。と言う呟きが街中に広がった。らしい


続く第2戦は今永と東浜の先発。この時も今年の第2戦と同じく女優の吉高由里子さんが始球式を行った。彼女は大会スポンサーの三井住友銀行のイメージキャラクターなので、その枠なのだろう。


当時プロ2年目だった今永昇太は6回を初回のデスパイネのタイムリーの1点に抑え、6回表の梶谷と宮﨑のホームランで3-1と逆転していた。

しかし、7回裏に三上、砂田、パットンの3人のリリーフをつぎ込んだが3点を奪われて再度逆転。初戦に続いてそのまま破れた。


ほーら、やっぱり。という呟きは、知ってた。と言う声に変わった。らしい


7回のピンチでは、千載一遇の併殺の機会を倉本の失策でワンアウトもとれず、これが痛かった。倉本は未だにこのプレーで叩かれる時があるように思う。ただし、改めて動画を見直してみると、柴田の送球もあんなに慌てて低く速いボールである必要はなかったようにも見える。


舞台を横浜に移した第3戦。ウィーランドと武田が先発。

初回の内川のタイムリー二塁打で1点先制、その後も4回に高谷のタイムリーで2点。0-3と三たびホークスにリードを許した。


ベイスターズは4回裏にロペスのソロホームラン、6回には昨夜の雪辱に燃える倉本の執念の内野安打で2-3まで追い上げたが反撃もここまで。3連敗でホークスが王手をかけた。




人々の声は、ベイスターズは弱すぎて話にならない。セリーグの3位チームが日本シリーズに出ること自体おかしいのだ。クライマックスシリーズのあり方を変えるべきだ。と言う批判へと高まった。らしい


私は夜のシドニーで満開のジャカランダの花の下、大きなため息をついた。


しかし第4戦。先発した新人の濱口が大きな仕事をやってのけた。

8回ワンアウトまでノーヒットノーランの快挙。その後もパットン、山﨑康晃とつないで継投ながらホークス打線を完封した。

打っては、宮﨑と濱口の女房役である高城のホームランなど12安打で6-0と完勝した。




人々の声は一瞬で鎮まった。らしい


続く第5戦もベイスターズが接戦を勝利した。

4回に筒香のシリーズ第1号本塁打で逆転するとその後再度リードを許したが、6回に再び筒香が適時二塁打を放ち、宮崎の中前適時打で同点。

更に嶺井の二ゴロをソフトバンクの明石がファンブルし、再逆転に成功した。

DeNAは8回表2死から抑えの山崎康を投入、ソフトバンク柳田を空振り三振に仕留めた。この時の柳田のバットは正面からみると止まっているようにみえたが、横からのスローVTRで見ると完全に振っていた。三塁塁審の目も大したものだが、柳田のスウィングの速さにも驚いた。

9回も山崎が続投して無失点に抑え、5-4の勝利だった。


人々の声は、ベイスターズなかなかやるじゃないか。ベイスターズの野球は面白い。と言う評価に変わっていった。らしい


そして迎えた運命の第6戦。舞台は再び福岡に戻った。


私は試合開始1時間前にシドニーのホテルで沐浴を済ませて身を清め、北の方向に向かって祈りを捧げた。

どうか、ベイスターズの皆の今年の冒険が今日で終わってしまいませんように。


その試合でもホークスに先制を許したが、今永は7回をその一点で抑えた。その間、5回には白崎のソロホームラン(ソロ崎)とロペスのタイムリーで3点をあげ、9回二死まで3-2とリードしていた。私の祈りが北半球の神に通じたかと思った。

ピッチャーは山﨑康晃、バッターは内川。決め球のツーシームを内川がすくうように打つと無情にもレフトスタンドに消えていった。3-3の同点だ。


そして、延長11回裏。川島のライト前ヒットでランナーは強行してホームに突っ込み、梶谷の送球は大きくバウンドしてキャッチャーがとることができず後逸してサヨナラ負けとなった。


梶谷はその後、肩の手術をしており、この試合の守備練習から梶谷の送球が万全ではないことをホークスベンチは気づいていたらしい。その上での強行策だった。


工藤監督以下ホークスの首脳陣も最後は余裕をなくしてなりふり構わぬ本気の勝負だったようだ。試合後に工藤さんが涙ぐんでいたことからもそれがわかる。


そして、この試合で回またぎの3回を完璧に抑えたクローザーのサファテは、鉄人に見えたが、その後、股関節の怪我等で悩み引退に至ることとなる。やはりここでの無理がたたったということはあっただろう。


試合が終わると、私は、南十字星に向かって叫んだ。見てろ。次こそはやってやるぞ。

そして、その「次」と言うのはまだ来ていない(2021年11月時点)。


追記

その年の末に週刊ベースボールマガジンのファン投票で、どの球団の試合が一番面白いかを問うものがあった。その結果は、なんとベイスターズが全体の90%以上を占めるものだった。他の11球団は合計でも10%以下ということになる(2位はホークスで1〜2%程度だったと思う)。


この結果は今でも私の宝ものの一つである。