mizuyashikiのブログ

横浜ベイスターズを中心にその時に考えていることを書きます。

上茶谷大河に関する心配事

11月23日に上茶谷大河の契約更改が行われた。年俸4300万円から1000万円減の3300万円でサイン。


今年の上茶谷は出だしから大きくつまづいた。


4月1日ヤクルト戦2回被安打5 本塁打1 四死球3失点5

4月10日タイガース戦7回被安打1 四死球0失点1 負け

4月17日ジャイアンツ戦6回被安打7 本塁打2 四死球3失点7 負け


最初の登板のヤクルト戦は昨年最下位のチームということで私は少したかを括っていたところがあった。勿論上茶谷投手はそんな気持ちは微塵もなかっただろうが、結果的に打ち込まれている。


そして4月24日タイガース戦一回被安打7失点6 初回KO。まさにめった打ちで初回の阪神の攻撃がいつ終わるのだろう、という感じだった。


シーズンが終わってみると、上茶谷の対戦したチームは優勝したヤクルトをはじめ、全てがAクラスに入っており、考えてみると、強敵ばかりを相手にしていたということになると思う。


その後、上茶谷は一軍登録を抹消され、7月初旬までファームで調整を行うこととなる。仁志二軍監督から「お前の真っすぐじゃ空振りは取れない。その真っすぐで空振りを取ろうとしているのか」という厳しい言葉をかけられ、従来の直球とカットボールでバッターと勝負していくスタイルを変えることにしたが、まだ結果は出なかった。


7月8日カープ戦5回被安打5 四死球4 失点3。四死球の多さがストライクゾーンで勝負できなかった苦しいピッチングを表している。翌日、抹消されて再びファームでの調整となり、今回は長期に及んだ。その間、仁志監督は、今のままでは一軍に上げることはできない、と厳しい言葉をかけていたようだ。


3ヶ月間の雌伏の時を経て10月8日。中日戦で9-3と勝利したが、今季はこの一勝で終わった。


1000万円の減俸。それはいい。成績から考えて減俸は妥当だし、本人も年俸よりもまず、また勝てるようになりたいという気持ちの方が強いだろうと思う。


気になるのは、シングルプレーンに改良していた投球フォームをやめて、東洋大時代のダブルプレーンのフォームに戻すという彼のコメントだ。




投球時の肩から肘そして前腕から手首にかけての回転運動が綺麗な一つの平面に収まっているようなフォームをシングルプレーンと呼び、肩を中心にした肘までの腕の回転運動の平面と肘を中心とした前腕部の回転運動の平面が異なる場合ダブルプレーンと呼ぶ。


腕の振りがシングルプレーンを描くことは、肩の回転力を指先まで効率的に伝えて球速アップにつながり、また、肩や肘に余分な力が加わらないため怪我の少ないフォームだと言われている。ピッチングメカニズムの研究では一番重要視されていることの一つだ。


以前、エドウィン・エスコバーの投球フォームを上から覗き込んだことがある。横浜スタジアムの内野席で最前列付近を移動中にイニング間の投球練習をしていたところをたまたま観たのだ。

それまで私は彼のフォームは手投げのような気がしていて、どうしてあれで160km/hを超える球速が出るのが不思議だったのだが、上から見て謎が解けた。通常正面から写すテレビの画面では見えないテークバックの大きさが物凄いのだ。いわゆる腕のしなり、専門的には肩の外旋というのだろう。力強くしなやかなテークバックは球速アップの重要な条件と言われている。


それ以来、ピッチングメカニズムが投球を決めると言う説を信じるようになった。



上茶谷が回帰しようとしているダブルプレーンは怪我が多いことに加えて、肩と肘の回転運動を効率的に指先に伝えにくいと言う問題もある。ピッチングメカニズム理論的には良い面が無いのだ。


ピッチングメカニズムにも詳しい小谷正勝アドバイザーも同意しているようなので、素人の私の杞憂に終わることを願っているが、やはり気にはなる。


そして彼は、「けがをしないフォームで0勝で終わるのか、けがをしやすいフォームで勝つのか。どっちを選ぶのかというと、僕はリスクを選びたい」と言っている。実はこのコメントが一番気になっている。私の限られた人生経験から言うと、二者択一の問題設定というのはだいたい人が追い込まれている時に想うもので、正解はどちらでも無いということが多いのだ。


怪我のリスクが小さくしかも勝てるフォームを探してもらいたい。


心理カウンセラーの植西聰さんもこう言っている。


しなくてもいい二者択一をしてしまったために、あなたは、人生の楽しみの半分しか味わっていないのかもしれない。