mizuyashikiのブログ

横浜ベイスターズを中心にその時に考えていることを書きます。

宮﨑のサヨナラホームランで逆転勝ち その時、風が強く吹いていた




5月4日 私は久しぶりに横浜スタジアムでカープとのカード第三戦を観戦した。


好調とは言えない先発石田健大が序盤に2点を失ったが、桑原将志の好守などもあり、何とか踏みとどまった。


そして、その桑原が5回に先頭打者としてソロホームランを放ち一点差とすると、バトルフェイス記念日の京田陽太が二死からヒットで出塁。


ここでベンチは石田健大に代わって勝負強い大和を打席に送る。


3球目に京田が盗塁を決めて二死二塁となると、カープの先発森下に相性の良い“得点圏の鬼”大和が森下の高めの真っ直ぐをセンター前に打ち返し、京田は悠々ホームに戻って2-2の同点に追いついた。


その後、両チームのリリーバー達が踏ん張って無失点に抑え、2-2のまま迎えた9回裏ベイスターズの攻撃はこの日は併殺打と内野ゴロ二つでヒットの無い3番宮﨑敏郎から。


その時、前方の席の誰かが、“良い風が吹いてますよー”と叫んだ。


見上げると、バックスクリーン上の旗はホームからライト方向に向けて強くはためいていた。


確かに良い風だ。今の声が宮﨑の耳に届き、右に大きなフライを打ち上げて欲しいと思った瞬間だった。


カープの4番手松本竜也投手の投じた2球目は會澤捕手の構えたアウトローよりも高く、そして内側に甘く入ってきた。


宮﨑はその146km/hの速球にやや遅れ気味でバットを出し、ポコンと言うような打球音で射出されたボールは注文通りライトのポール方向に高く上がった。



風に乗ってグングン伸びる、いや、落ちてこない、と言う感じの軌道だった。


数秒前から強い風を意識していたスタンドの我々は、行けー、入ってくれー、と心の中で念じていた。


そして宮﨑の打球は真上からストンと落ちてくるような感じでライトスタンド中段のあたりに着弾した。


3×-2の逆転サヨナラ勝ちで2連勝、このカードも勝ち越して貯金を10とした瞬間だった。



【桑原将志の活躍を打順見直しのきっかけにできないか】


一昨日は打線の中でストッパー的な立場になってしまった桑原将志は、昨日のヒーローインタビューでこの借りは少しづつ返して行きたいと語っていた。


その言葉通り、今日の桑原は攻守に躍動した。


2回の第一打席では、牧秀悟のヒットに続いて四球を選び、得点にはならなかったもののチャンスを拡大した。


そして、5回の先頭打者として迎えた第二打席では、2-2から真ん中に入ってきた森下のストレートを桑原らしい前捌きのバッティングで跳ね返し、左中間の深いところに飛び込むライナー性のソロホームランを放った。



今春のキャンプで本人が語っていたように、今年は難しく考えずシンプルに反応で打ち返す、と言う彼本来のバッティングができている。


7回の第3打席も2番手のターリー投手からセンター前ヒットを放って今日は全打席出塁。昨日の試合から6打席連続で出塁している。


桑原は守備でもチームに貢献した。


3回表の先頭、菊池涼介がセンター前にポトリと落ちるように、石田健大の低めのボールに確信犯的に当てただけの打球。桑原は反応良く飛び込んで、ベルトを切りながらこの打球をギリギリのところでキャッチした。



1回、2回と1点ずつ失い、瀬戸際のところで踏みとどまっていた石田健大を盛り立て、勇気づけるプレーだった。


実際、これ以降の石田はボールが上ずることがめっきり減り、何とか5回まで好調のカープ打線に追加点を許さず投げ切った。


そして、2番手として三嶋一輝がマウンドに上がった6回にも、ヒットとワイルドピッチで二死二塁のピンチになったところで、この日好調の堂林選手にストレートを捉えられてセンターフェンス直撃のタイムリーツーベースと思われた打球に桑原が素早く反応し、最短距離で着弾点まで背走して最後はフェンスに激突しながら捕球した。


ここで追加点を取られていたら、ベイスターズが勝つ確率はかなり下がっていたことだろう。


一方、トップバッターを長くつとめて来た佐野恵太はこのところ調子を落としており、お約束に強いファーストゴロを量産し続けている。


佐野を1番に置く最大の理由は出塁率の高さだが、その点でも、現状は桑原が優っている。状況は明らかに変わって来ているのだ。


好調の時に打順をいじるのは難しい、と言うのはわかる。しかし、チャールズ・ダーウィンも言っているではないか。


“生き残る種とは、最も強いものではない。最も知的なものでもない。


それは、変化に最もよく適応したものである”



【石田健大の粘りとリリーバー達の仕事】


今日の石田健大の立ち上がりは不調だったと言って良いだろう。手術後初の登板となったカープ先発の森下投手が良い出来だっただけになおさらそう思えたのかも知れない。



ストレートも変化球も低めに制球することができず、カウント球として有効なスローカーブも大きく上に抜けていた。


初回と2回にポンポンと1点ずつ取られたが、打たれたボールはいずれも高く甘いコースだった。


しかし、上述した3回の桑原のファインプレーにも助けられ、その後はかなり修正して5回、80球、被安打6、奪三振3、与四球1、失点2と試合を壊さなかった。


状態が悪い時でも何とか粘った点はローテーション投手として評価できると思うし、三浦監督も同様の考えだと思う。


そして、後を引き継いだ三嶋一輝、入江大成、ジェフリー・ウェンデルケン、森原康平の4人のリリーバーが良い仕事をして追加点お許さなかった。


6回以降の12個のアウトのうち6つを三振で奪っており、いくつかあったピンチも三振で切り抜けられたのが大きかった。特に、入江とウェンデルケンの奪三振能力の高さは、今後第二の勝ちパターンとして大いに期待できるものだと感じた。


昨年は手術明けでトレードがあり、コロナ罹患による離脱もあって苦労した森原投手が楽天時代の2020年以来となる勝ち投手になったことも喜ばしい。


また、連投となっていた伊勢大夢と山﨑康晃を使うことなく勝ち切れたことで、週末、神宮でのヤクルト3連戦に向けてブルペンの状態を整えることができたのも大きい。



【バトルフェイス京田の一年】


横浜スタジアムでのDeNA-中日戦で、京田陽太が戦う顔をしていないと言われて試合途中で名古屋に強制送還されたのが昨年の5月4日、つまりちょうど1年前の出来事だった。


その後、彼は長い時間をファームで過ごし、時折一軍に合流した時も結果を残しことはできなかった。


そして、オフに球団から砂田投手とのトレードでベイスターズへの移籍を命じられ、立浪監督から、結局お前は変わらんかったな、と言う言葉をかけられつつ新人王に輝いた2017年以来6年間在籍した中日を去った。


ベイスターズに入団してからの推移はご承知の通り。佐野キャプテンやハマちゃんなどと同期で大学時代から面識があったこともあり、マリオカート仲間になるなどすっかりチームに溶け込んだ。


ベンチ内ではバトルフェイス京田とも呼ばれているようで、いじられつつも愛されていることが分かる。



そのバトルフェイス京田は、桑原のソロで一点差に迫った5回裏の攻撃で、二死となり一点止まりかと思われたところからセンター前ヒットでしぶとく出塁し、さらに二盗も決めて、大和の同点打で俊足を飛ばし生還した。


京田の走力を生かしたこの流れるような攻撃は、これまでベイスターズファンがずっと羨ましく思っていたものだった。


それが、中日と阪神から来てくれたらこの2人の選手によって実現したことを嬉しく思う。打つだけ、と言われて来たベイスターズの攻撃パターンは近年にないほど多様化し幅を持って来ていると感じる。


さあ、ヤクルト戦もベイスターズらしい攻撃を見せて、勝ち越しを決めてくれ!