勝てなかったのではない 負けなかったのだ
5月21日 昨日の荒れた試合から一夜明けてベイスターズ今永昇太、スワローズ小川泰弘の両エースの先発となった今日の試合。
4時間53分と言う今シーズン最長の延長線の末、3-3の引き分けで終わった。
【今永昇太の飛翔癖】
今日の今永は、初回に、濱田、山田、サンタナを三者連続三振に打ちとる最高の立ち上がりを見せた。
ストレートは球速表示以上に威力があるように見えたし、サンタナを空振り三振に仕留めたスライダーもコースはやや甘かったがキレがあるようだった。
そして、2回裏の攻撃では、桑原将志のスリーベースとなどで二死一、三塁のチャンスに自らセンター前へのタイムリーヒットで先制点を挙げた。
しかし、好事魔多し。
4回表、先頭の山田哲人に真ん中のストレートをレフトスタンドに運ばれて暗転した。
投げる哲学者と言う異名もある反面、熱くなりやすいところもある今永投手は、続くサンタナに初球をライト前に打ち返され、無死一塁。
ここで打席に入るのが4番村上宗隆と言うのはいかに不調とは言え、嫌な予感がした。いや、嫌な予感しかしなかった。
3-1から何とかフルカウントまで持って行ったが、8球目のストレートをバックスクリーン左に着弾する逆転ツーランホームラン。
打者3人で3失点と言う非常に効率の良い逆転劇を許してしまったのは、好投手今永昇太のもう一つの代名詞ともなっている飛翔癖のなせる技だろうか。
今永投手のストレートのように回転数が多くホップ成分が卓越したキレイなフォーシームは、空振りがとれる反面、当たると良く飛ぶいわゆる軽いボールだ、と言う都市伝説もまんざらデタラメではないのかなと思う。
そして、しばらく前に書いた今永昇太の飛翔癖の原因は、と言う冗談の記事を思い出してしまった。
今永投手の母校のモットー
今日の今永投手の投球内容は以下の通り。
7回、103球、被安打6、被本塁打2、奪三振5、失点3
QSは達成しており、決して悪くは無いのだが、チームやファンが彼に期待するのはもっと高いレベルだろう。
来週の登板がまた日曜日だとすると、バンテリンドームの中日戦で、侍ジャパンのチームメイトだった髙橋宏斗投手と投げ合うことになる。
勝負どころでコースに投げきるコマンドをもう一度磨いて昨年のノーヒットノーランの時のような圧倒的な投球を見せて欲しい。
【諦めなかった攻撃陣】
先制点は今永昇太の自援護。
なおも二死一、二塁のチャンスで1番佐野恵太が引っ張りを捨て、三遊間を低いライナーで破ったヒットで、二走の京田陽太は三塁を周りホームに頭から突っ込んだ。
しかし、レフト内山選手の返球が完璧で、京田選手は走塁死(当初はセーフ判定だったが、リクエストによって覆った)。しかも、京田は右肩を強く打ったようでベンチに戻るとそのまま柴田竜拓と交代と言うことになった。
先制点を挙げたにもかかわらず、流れがヤクルトに傾くような嫌な展開になった。
送りバントを
そして、4回表に山田哲人と村上宗隆のアベックホームランで1-3と逆転された時には、ピンチでの粘りがある小川泰弘投手にイニングを稼がれ、その後、清水、田口と言ったスワローズの勝ちパターンが投入されてこのまま逃げ切られるかと思った。
しかし、もちろん、チームは最後まで諦めななかった。
逆転された直後の4回裏、二死からこの日7番に下がった桑原将志がツーベースで出塁し、負傷退場した京田に代わった柴田竜拓がしぶとくセンター前に打ち返して1点を返した。
この1点で、チームの諦めないと言う姿勢が鮮明になった。大事な反撃だった。
さらに、7回裏には、小川泰弘に代わる木澤投手からこの回先頭の桑原将志がフェンス直撃のツーベースで出塁。
続く柴田竜拓が送りバントを決めて一死三塁となり、今永の代打楠本泰史が期待に応えて1-1からライト前にタイムリーヒット。
とうとう同点に追いつき、さらに佐野恵太もヒットを放って一死一、三塁となったが、次のプレーが不可解なものだった。
好調の関根大気は初球を三塁前にセーフティスクイズし、三塁走者の楠本がハーフウェイでとどまりタッチアウト。一塁走者の佐野恵太はセカンドまでしか進めずチャンスは萎んだ。
中途半端な攻撃となってしまったが、スクイズのサインを楠本が見逃したか、あるいは関根が自ら仕掛けたセーフティスクイズだったか。後者だとすると三塁側を狙うことは無いような気もするが。
いずれにしても、今後のために原因を分析して対策を徹底する必要がある。
いずれにしてもこのプレーでベイスターズは流れを手放し、これ以降は一方的に守勢に立たされることになる(後半に続く)
【延長戦の満塁劇場】
ベイスターズは7回裏のチャンスで流れを手放してから、一方的に攻められた。
9回表は山﨑康晃が二死をとってから3連打で満塁とされた。
ここで代打の切り札川端慎吾が登場した時は万事休すかと思われたが、何とか低めのスプリットでライトフライに打ちとり無失点で切り抜けた。
続く10回表は三嶋一輝がマウンドに上がったが、不運な当たり2本で一死一、三塁となり、ここで打席の村上宗隆の右膝下にストレートをぶつけてしまい一死満塁。
三嶋にとっても痛い死球だった筈だが、昨日の騒動も踏まえ、間髪入れずにマウンドを降りて村上のところに歩み寄り、帽子を取って謝罪した。
死球については、謝罪すべきと言う意見もあれば、厳しいコースを攻めているので仕方ないとか、あるいはアメリカでは謝らない、とか様々なコメントが昨日から飛び交っている。
恐らくただ一つの正解と言うものはないのでこの議論に加わるつもりは無いが、一つだけ。
私はベイスターズのファンで良かったと思ったし、怪我の怖さと辛さを良く知っている三嶋一輝がプロ野球選手である以前に普通の人として素直に謝った態度に共感した。
さて、そうは言っても延長10回で一死満塁と言う絶対絶命のピンチと言う現実に目を背けることはできない。
続く内山選手への3球目は真ん中のスライダーだったが、ミスショットして高々と上がった浅めのレフトフライ。
ここで三走の山田哲人は少しでも送球が逸れれば間に合うと踏んで自身の判断でスタートを切ったが、捕球したレフトの関根は全く無駄のない動きで一直線にホームに送球して山田を刺して併殺。
満塁のピンチを再び無失点で切り抜けた。
さらに、11回表に登板した入江大生が、一死後、急激に乱調し3連続フォアボールで一死満塁のピンチとなった。
ここでベイスターズベンチは入江を諦め、このところ信頼を勝ちとっている上茶谷大河をマウンドに送った。
このピンチは誰でも痺れる場面だったと思うが、上茶谷は並木選手を一球でショートゴロに打ちとり、まずツーアウト。
そして、続く山田哲人を1-2と追い込んでから外角のボールゾーンに沈んでいく変化球で空振り三振に打ちとり、三度満塁のピンチを無失点で切り抜けるとマウンド上で吼えた。
観ているファンも身体が保たないような満塁劇場だったが、ブルペンの異常な踏ん張りで失点を回避した。
そして、一番大事なのは、
負けなかった、
と言うことだ。
これで今週は3勝1敗1分で貯金を2つ取り戻した。
チーム状態は連敗していた先週に比べてかなり上向いてきている。
今日を挟んで来週へと連勝をつなげていくことで、今日の引き分けの価値がハッキリ見えてくることだろう。
このブログへのコメントは muragonにログインするか、
SNSアカウントを使用してください。