タイラー・オースティンの帰還
5月30日 交流戦初戦となった仙台(楽天モバイルパーク宮城)での楽天戦は、12安打を放ちながら再三にわたってチャンスをモノにできず、その間に楽天浅村選手のソロホームランで失点して先制を許すなど嫌な展開だったが、エース今永昇太が踏ん張って投げ切り、何とか勝つことができた。
ベイスターズ 3-2 イーグルス
勝 今永昇太 3勝1敗 0S
負 則本昴大 1勝4敗 0S
本塁打 浅村栄斗 9号(2回裏ソロ)、10号(9回裏ソロ)、牧秀悟 10号(9回表ソロ)
【今永昇太のツーシーム】
神宮での大風の試合以降打ち込まれることもあり、本人曰く「不甲斐ない投球」が続いていた今永昇太だったが、ピッチングスタッフやアナリストと共に問題点を分析し、改善に取り組んで来た。
本人のコメント。
“最近ふがいない投球が続いていてピッチングコーチ、スコアラーがらいろんなアドバイスをもらったので、ここで負けるわけにはいかない、と責任感を持ってマウンドに上がりました”
勝てていなかったここ数試合も平常運転時のストレートは球速、キレともに問題なかったが、そこは今日も同じ。
今永投手の場合は、失投での飛翔癖をどれほど防ぐことができるか、と言うことがポイントになると思う。
上述したように、本人も相当の覚悟を持っていた今日の投球は攻める中にも慎重さがあり、楽天打線に隙を見せなかったと思う。
ただ、2回裏、浅村選手に先制ソロホームランを打たれたボールは真ん中高めに浮いた失投で、これは勿体なかった。本人も猛省していることと思う。
一方、9回裏に同じく浅村選手に打たれたソロホームランはインローのストレートで、これは打った浅村を褒めるしかないと言う素晴らしいバッティングだった。
恐らく、浅村選手はインコースのストレートにヤマをはっていて、狙い通りにそこに来た、と言うことだったのだろう。
これは仕方ない。
2-1と一点リードで迎えた8回裏、ヒットとデッドボールで一死一、二塁となったピンチが今日のクライマックスだったと思う。
ここで、山﨑選手と阿部選手を連続三振に打ちとり無失点で切り抜けたのだが、山﨑選手には2-1から3球連続で140キロ台後半のツーシームを投げ込み空振り三振を奪った。
私は、常々、今永投手はスライダーやカットボールと逆方向に曲がるシュート系のボールがあれば左打者の被打率(.290。右に対しては.200)を改善できるのではないか、と考えていたが、そんなことは本人やピッチングスタッフはとっくに承知しており、工夫していたようだ。
今日の今永昇太の成績は以下の通り。
9回、122球、被安打5、奪三振9、与四死球2、被本塁打2、失点2
今永の球威で、ストレート、スライダー、カットボール、スプリットチェンジ、そしてツーシームを使ってピッチトンネルを構成すれば、相手バッターには非常に厄介な投手になると思う。
今後の配球に注目すると言う楽しみがまた一つ増えた。
【宮﨑敏郎の復調と4番の一振り】
このところ調子を落としていた宮﨑敏郎が今日は久しぶりに3安打の猛打賞を記録した。
彼の場合はバッティングフォームが安定しており、目に見えて崩れると言うことはないのだが、不調時はタイミングの問題なのか、引っ掛けてゴロで凡退と言うケースが増える。
ここ数試合もその傾向が出ていたし、三振の少ない彼が1試合で2三振を喫したことからも何か彼の眼と体の連携に小さなズレが出ているように思っていた。
しかし、今日はもう、いつもの宮﨑敏郎に戻っていた。
4回表の二死一、三塁のチャンスでは、則本投手の2球目を狙いすましてライト方向へ低いライナーで弾き返して同点とした。
さらに、続く牧秀悟が高めのボールを引っ張って詰まりながらレフト前に運ぶタイムリーヒットで2-1と逆転したことが大きかった。
初回から再三チャンスを潰していたので、この回も同点止まりだと重い展開になりそうなゲームだった。
宮﨑は6回と9回にもセンター前ヒットを打ち、今日は4打数3安打の猛打賞、打点1と復調を印象付けた。
牧秀悟も4打数3安打の猛打賞、2打点で、特に9回裏に楽天の4番手西口投手のインコースのストレートをうまく捌いてスタンドまで運んだバッティングは彼らしく思い切りの良いスイングだった。
今日の試合で10本塁打、32打点はいずれもリーグ単独トップとなった。
これで打率(現在 .272)が上向いて3割に到達してくれれば、不動の4番打者として申し分ない活躍と言って良い。
【そしてとうとうタイラー・オースティンが帰って来た】
昨秋の肘の手術以来リハビリを続け、今シーズンも開幕に間に合わずに出遅れていたタイラー・オースティンは2軍でホームランを一本放ったものの打率一割台のまま一軍に合流し、その後8試合ノーヒットと苦戦が続いていた。
たまたまなのだが、今日の試合前にフト思い立って調べて見ると、今シーズンの彼のファームでの打席数が28、1軍で8打席、合計36打席と言う現状だった。
ベイスターズファンならみんなが知っているラミレス前監督のバッターの眼が慣れて打ち出すまでには40〜50打席必要と言う理論に従えば、それはそう遠い話ではないなと思っていた。
DHのある楽天戦3試合で彼をスタメン起用すれば、このカードで通算48打席以上になると予想され、そろそろ復調する可能性があるなとぼんやり考えていた。
今日の試合では、まず、2回に先頭打者として1-1からの3球目をセンター前に運んで今シーズン初ヒット。
3回の一死満塁のチャンスでは1-2からの4球目を見逃して三振に倒れ、ああ、まだダメかと思わせたが、続く5回の第3打席では1-0からの2球目を捉えてツーベースヒット。
さらに、7回の第4打席では1-0からの3球目を右中間に打ち返してフェンス直撃のツーベースヒット。
楽天守備陣が乱れる間にサードまで進んだ積極走塁(リクエスト後判定が変わってアウトにはなったが)も含めて、我々の知っているタイラー・オースティンがやっと帰って来たと言う印象を強く持った。
オースティン選手は低目の落ちるボールに手を出して三振と言うのが弱点だが、今日は則本投手の得意な低めのスプリットに手を出さず我慢できていた。
彼のバッティングの改善点としてはここが1番大きいように思う。
ストライクゾーンで勝負して貰えるのであれば、やはり彼はかなり打つだろう。
今日の試合での活躍が本物と言う評価になれば、相手チームのマークも厳しくなると思うので、これを機に打順を上位に変えるのも手だと思う。
例えば、
1番 関根大気(レフト)
2番 T.オースティン(DH)
3番 宮﨑敏郎(サード)
4番 牧秀悟(セカンド)
5番 佐野恵太(ファースト)
6番 桑原将志(センター)
7番 楠本泰史(ライト)
8番 戸柱恭孝(キャッチャー)
9番 京田陽太(ショート)
と言う打線が考えられる。どうしても佐野を1番に、と言うのであれば、5番楠本、6番関根、7番桑原としても良い。
昨日のブログでも先々のリターンを考えればDHはオースティンにすべき、と書いたが、同じ理由で彼の復活を確かなものにすることが後半戦に巻き返して逆転優勝を狙う上で極めて重要だと思う。
従って、私は彼の後ろに強打者、好打者が居てストライクゾーンで勝負してもらえる2番あるいは3番打者として起用することを強く主張したい。
追記
上の記事で打線にソト選手が入っていないのは、今日の試合の6回の守備で脚に違和感を覚えて途中交代し、試合後に仙台市内の病院で診察を受けたためである。
遠征先で急ぎ病院に行くと言うのは骨挫傷等の可能性があると言うことだと思うので、離脱は致し方ないかと言うところ。
オースティン、ソトと並ぶ打線の迫力は相手チームにとって大きな脅威なので、是非早めに復帰してくれることを祈りたい。
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