mizuyashikiのブログ

横浜ベイスターズを中心にその時に考えていることを書きます。

昨夜のサヨナラ負けは伊勢大夢が階段を一つ登るきっかけになる




6月6日 福岡PayPayドーム


ベイスターズ 1 - 2 ホークス


勝 モイネロ 2勝2敗2S

負 伊勢大夢 2勝1敗1S


本塁打 今宮健太2号(4回裏ソロ)


昨夜の先発今永昇太は150キロを超える力のあるストレートでホークスのバッターたちを押し込み、そこから変化球で崩すという理想的なピッチングを展開した。


8回、114球、被安打1、奪三振8、与四球2、失点1


唯一許した安打が4回裏の今宮のソロホームランで、このボールは中に甘く入った失投気味のものだったが、見逃さずに捉えた今宮選手の勝ちというところ。


この結果を見て、また今永の飛翔癖か、とは言えないと思う。


故郷の福岡でピッチャーとして成長した姿を見せたいと試合前に語っていた目標は十分達成されたと言って良い。



問題があるとすれば、7安打、1四球、ホークスのエラー二つと好機はあったにもかかわらず10残塁でわずか1得点に終わった打線の方だろう。


林の犠牲フライの間にセカンドからタッチアップしてサードを狙わなかった戸柱恭孝の走塁や一死二、三塁のチャンスに高めのストレートを打ち上げてポップフライにしてしまった京田陽太などは技術的に工夫する余地があるので、失敗の原因をしっかりと分析して今後に活かして欲しい。


最大のチャンスだった7回の二死満塁の場面で、ソトに代えて宮﨑敏郎を打席に送った采配については、1打席だけの代打という意味では楠本泰史の方が良かったという声もあるだろうが、私はここで宮﨑を使わないという采配を選ぶことはできないと思う。


宮﨑敏郎はそれほどのレベルにある選手だし、負け惜しみではなく、ここで宮﨑が打てなかったら仕方ない、という意味で後悔はない。


逆に、宮﨑を残して楠本を代打で起用して凡退だった時、なぜ宮﨑を使わなかったのか、という後悔は残る。


意思決定論の分野でも、「最小後悔の選択」というものがあるが、この基準に照らして昨夜の三浦さんの采配は支持できると思うのだ。




さて、昨夜の試合で私が注目したのは最終回に登板した伊勢大夢のピッチングだ。


伊勢は5月27日の中日戦以来、中9日と言う大きくブランクが空いた状態でいきなり厳しい局面での登板となったため、心配はしていた。


一死後、今宮のピッチャー返しが足に当たって出塁を許し、続く近藤健介を歩かせた。


恐らく、打球が当たった影響はゼロではなかっただろう。


次の柳田悠岐はタイミングを外してセンターフライに打ちとったが、続く牧原大成に前身守備のセンター左へのサヨナラタイムリーツーベースを打たれてゲームセット。


この打席、伊勢と戸柱のバッテリーは全球ストレートを選択した。


5球続けて高めのストレートを投げ、カウントは2-2。


伊勢のストレートは左打者の外角高めにシュートライズするボールが最も威力があり空振りが取れるが、これはファウルで逃げられていた。


バッテリーの狙いは、5球続けて高めをついて牧原の視線が上がったところで6球目でアウトローにストレートを投げ込み見逃し三振を狙ったのだと思うが、その作戦は恐らく読まれており、そして6球目のストレートは低めではあったがコーナーではなく真ん中に入った。


これで勝負が決まった。


思い起こせば、一昨年に初めて伊勢がセーブシチュエーションで起用された時、今日と同じような局面で最後にフォークボールを投げ、これが落ちない半速球となって痛打され、リードを失ったことがあった。


その時私は、ここで自分の一番良いボール、ストレートを自信を持って投げ込むことができれば伊勢は階段を一つ登ることができると書いた。


その後の活躍で、彼がそれを成し遂げたことは誰の目にも明らかだった。


そして今日、彼はさらにもう一つ登るべき階段を間近に見たのではないだろうか?


それは、一昨年とは逆に、ここでフォークを投げ切ること。


それも、昨夜打たれたのと同じ真ん中低めからワンバウンドするように落ちるフォークを確実に投げ切る精度と自信を持つこと。


これができるようになったら、もうベイスターズのクローザーは代替わりして伊勢大夢にすべきだと思う。


この課題が見えた以上、伊勢はきっとそれを乗り越えてくれることだろう。


だから、私は、昨夜のサヨナラ負けはそのための授業料として喜んで支払うべきだと考えている。