mizuyashikiのブログ

横浜ベイスターズを中心にその時に考えていることを書きます。

大和が来てくれた時の喜び。これからも

大洋ホエールズそして横浜ベイスターズは、本来、守備力のないチームというわけではない。

内野手には華麗な守備を誇ったレジェンドたちがたくさんいるし、特に遊撃手については、山下大輔さん(1976年から8年連続ダイヤモンドグラブ賞)と石井琢朗さん(1997年〜2001年ベストナイン)という名手二人が長くレギュラーをつとめていたせいか安定していた印象が強い。


私はスタジアムまで応援に行く大きな理由の一つはプロらしい華やかで精密な守備を観ることだと思っている。そして、ショートというのは内野守備の花形だ。


というわけで、応援しているチームに良い遊撃手がいるというのは、たとえてみれば、


近所に冷奴の旨い上品な居酒屋がある

息子がバク転ができる

家の庭に毎年キンカンの実がなる

娘が心根の優しい女の子に育った


といった感じだ。つまり、ちょっとした自慢なのだ。


ベイスターズの場合、石井琢朗さんが広島に移籍してからはどうもショートのレギュラーが固定できないでいた。特に、2017年の日本シリーズでは、内野守備の綻びが勝敗を分けた試合もあって、我々ファンも随分悔しい思いをしていた。


そして、その年のシーズンオフ、大和選手がFAで阪神を出るらしいという報道があり、ベイスターズも移籍先の候補として挙がっていることを知った。

私はかねてから大和選手の守備に憧れていたので、何とか来てくれないものかと入団交渉中は神社のお参りを欠かさなかった。


クライマックスシリーズで対戦した時、阪神ベンチの大和はベイスターズへの移籍がまんざらでもなさそうな顔(どういう顔だ?)をしていたので、ひょっとしたら、と思っていたが、本当に来てくれることになった。そして、彼は入団会見でこう言った。


「12年間在籍した阪神タイガースへの愛着、思いもありました。しかし試合に出たいという自分の気持ちへの葛藤もありましたが、やはり自分が輝ける時期は少ないと思い、少ないチャンスに飛び込んでいき、少しでも輝ける場所へ行きたいと思い決めました。決断するまですごく悩みましたが、自信を持っていた守備の部分を高田GMからすごく評価していただき、何とか横浜DeNAベイスターズの力になりたいという気持ちが強くなり選ばせていただきました。チームの印象について一番は雰囲気が良く、そして若い選手が活躍しているイメージです。DeNAベイスターズの一員としてどんな形であれチームに貢献しリーグ優勝、そして日本一に貢献できるよう頑張りたいと思います。」



彼が来てくれてからは、それまで以上に現地観戦の楽しみが増えた。「残念。そこは大和」というタイガースファンの決まり文句をコピーするのも嬉しかった。


そう、私はとても嬉しかったのだ。


それに加えて、大和選手は若手の多いベイスターズ野手陣の見本となり、また、短いが適切なアドバイスもしているようだ。

あるときは、守備で一番大事なのは何ですかと聞かれて、


「一歩め」


と答えていた。また、今年前半のある試合、第1、第2打席で凡退した牧は、悩み始めていて、ベンチに戻ると、たまたま隣に座っていた大和に尋ねたそうだ。


「自分、どんな感じですかね……」


 大和は低い声で簡潔に答えた。


「牧、変えんなよ」


この短いアドバイスは、牧選手がプロ野球選手としての最初のシーズンを素晴らしい成績で乗り切る上でとても重要なモノだったと彼自身が語っていた。


そして昨日。大和選手は横浜スタジアム内で会見を行い、今季取得した海外FA権を行使した上でベイスターズに残留、新たに2年契約を結び、契約を更改したことを表明して次のように語った。


「ベイスターズに来た目的だった、ベイスターズで優勝すること、その思いはまだ変わっていないですし、それをまだ達成できていないので」


「DeNAでの4年間を通じて野球を深く考えられるようになった。自分の中でまだ考え方が甘かった気付くこともあり、プラスしかない。阪神のときは上の方に頼ってばかりだったが、DeNAでは年齢も上の方になり、若い選手に中途半端な声掛けもできない。自分で感じたものを伝えている部分で、成長できている」


2年後には36歳。横浜で野球人生を全うするかの問いに「そうなればいい」と、FA権を行使せず6年契約を結んだ宮崎に続いて〝生涯横浜〟を宣言した。


4年前に大和が来てくれるとわかった時のあの嬉しさは、これからもまだ続く。