ベイスターズのチーム内序列は大きく変わりつつある
沖縄から戻って来たベイスターズA班の面々は昨日、今日と続けてパリーグの強豪チームと戦った。
どちらの試合もベテラン投手の失点で敗れたが、この時期のオープン戦の勝敗を気にする必要はない。むしろ、選手たちのアピールに注目すべきだ。
この2試合に出場した選手たちのうち、投手で言えば東克樹、野手では牧秀悟、佐野恵太、タイラー・オースティンについては調整の状態を確認するだけで、今さら実力をアピールする必要はない。
それにしても、東克樹の投球の安定感は素晴らしいものがある。
昨シーズンと同様、精密なコントロールでバッターをしっかりと打ちとっていた。
左バッターに対して外角に逃げていくスライダーはキレ、精度ともに本来素晴らしいボールを投げるが、今シーズン解禁するフロントドアも投球数は少ないものの打者の反応は極めて良い。
大活躍だった昨シーズンの投球で満足することなく貪欲にアップデートさせていく姿はまさに横浜進化をスローガンとするチームのエースに相応しい。
牧、佐野、オースティンも順調な仕上がりを見せており、ヒット数はまだ少なくともスイング自体の鋭さやボールを芯で捉えた時の打球速度などはさすがであり、この3人の開幕スタメンは、まず間違いのないところだろう。
今回の遠征(北九州と京セラドーム)には参加していないが、宮﨑敏郎も沖縄でのオープン戦の初打席でホームランを放つなど元気なところを見せてくれた。彼の開幕スタメンも確定と見て良い。
ファースト、セカンド、サード、レフトはほぼ決まったとして、残りのポジションを争う選手たちのアピールぶりを整理してみよう。
まずは捕手。
昨シーズン後半から正捕手に準ずる立場となりつつある山本祐大は、侍ジャパンにも初選出されるなど今が旬の選手と言っても良い。
リードの良し悪しは中々我々には判断し難いが、キャッチングや盗塁阻止などの守備面では安心して見ていられる実力がついてきているように感じる。
打撃の方ではヒットこそなかったものの、今日の試合でもあわやセンターオーバーという大きな飛球を放っており、昨年の出来(打率 .277、OPS .729)は偶々のことではなさそうだ。
今シーズンも(少なくとも序盤は)彼を中心に3人のキャッチャーで回して行くことになるだろう。
そして、今年に入って、対外試合でホームランを放ったかと思えば二盗を刺すなど猛烈にアピールしているのが2022年ドラフト1位の松尾汐恩選手。
彼は大阪桐蔭高校時代に内野手から捕手に転向したという経緯もあり、守備面では改善すべき点が多いと言われてきた。
しかし、2度目のキャンプとなった今年は課題だったキャッチングの技術も格段に向上し、元々高卒新人の中では歴代トップクラスの打力を活かして第二捕手の座に手が届くところにきているように思う。
松尾選手は今回のオープン戦には帯同せず、東洋大との練習試合などで調整してを続けているようだ。
もう一年ファームでじっくり、という声も聞かれるが、私としては、松尾選手は開幕から1軍に帯同し、毎週、先発マスク1試合、さらに、代打から出場して守備にも就く機会を毎週2試合以上経験させるようなOJTに切り替えるべき時が来ていると感じている。
これが実現すれば、ベイスターズの捕手争いは山本、松尾という若い世代を軸として展開され、ここに伊藤光や戸柱恭孝というベテラン、打撃力のある益子京右が絡むこととなる。
続いてショート。
ここは激戦地だが、ルーキーの石上泰輝が驚異の打撃力を見せつけている。
昨日のソフトバンク戦では4打数4安打の大活躍を見せてくれたが、クリーンヒットだけではなく、ボテボテのゴロでも50m5秒9秒の俊足でもぎ取ったヒットもあり、総合力の高さが際立っていた。
そして、今日のオリックス戦でも、クローザーを務めたこともある平野佳から一時は同点に追いつくツーランホームランを放つなど4打数2安打2打点結果を残している。
ここまでのオープン戦の打率は .636、OPS も1.545と絶好調。
対抗馬の林琢真のバッティングの状態が良くない(石上選手とは逆に打席での迷いがありボールを見すぎているように感じる)ことを考えれば、これからのオープン戦は思い切って石上泰輝をショートに固定して経験を積ませる方向に舵を切るべきと思う。
守備固め兼左右の代打兼内野ユーティリティの一つのソリューションとして大和、京田陽太と言う実績組はベンチに必要だ。それにしても森敬斗はどうしただろうか?
二枠空く外野については、これも新人としては異例の活躍を見せている度会隆輝がライトの開幕スタメンの座を勝ちとる可能性が高そうだ。
さすがに優良な投手がメジロおしと言われた昨秋のドラフトで3球団競合となったほどの逸材。
ローテーションピッチャーのボールを初見でもファウルで粘り、徐々にタイミングが合って来てしっかりと打ち返す対応力などを見ると、やはりこれはタダモノではない。
良い選手をとった。
先週のインタビューでベイスターズの元GMだった高田繁さんが仰っていたように、度会をとったからには心中覚悟でスタメンで使い続けるべきだ。
最後にセンター。
桑原将志が腰の故障でリハビリ組に回り、関根大気がバッティングで結果を出せず守備でも打球判断の悪さを露呈している現状が続くようであれば、こちらも打力に秀でた勝又温史を開幕からスタメンで起用するべきだ。
投手から野手に転向した好打者としては、古くは王貞治さんやイチローさん、ベイスターズでも石井琢朗コーチや金城龍彦さんなどがいるが、勝又選手はこの系譜に連なることのできる逸材だとかねてから思っていた。
今シーズンの対外試合では楽天の則本投手からセンターオーバーのタイムリースリーベースを放つなどアピールに成功しており、センターのレギュラーとして掛け値なしの有力候補になって来たと思う。
こうして整理してみると、新人の度会隆輝と石上泰輝、一旦戦力外となり育成から野手として支配下登録を勝ちとった勝又温史、そして若い捕手の松尾汐恩と山本祐大が柱となるようなチームはラミレス監督の初年度だった2016年以来となるチーム内勢力図の刷新と言えるだろう。
三浦監督には、是非、彼ら若い力を躊躇せずに登用してもらいたい。
そして、我々ファンは多少の失敗や連敗などものともせず、上に名前を挙げた若者たちを
「挫けずにやってみなはれ」
と何故か関西弁で励まし続けよう!
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