東克樹は独りで闘う覚悟があるからこそ「祐大のおかげ」と言う
アドゥワ誠投手もベイスターズにとって相性の良くないピッチャーの1人になりつつある。
今シーズンは既に2回対戦していたが、3月31日には5回を3安打1失点に抑え込まれて敗戦、4月17日は4回7安打と改善したが結局は牧の先制ソロホームランの1点のみで捉えきれなかった(その後、ハマちゃんと上茶谷が合わせて5点を失い敗戦)。
その後、カープの先発ローテーションと試合日程の関係からアドゥワ投手は一旦登録を抹消され、2週間以上の間隔で復帰した最初の試合が今日のベイスターズ戦だった。
登板間隔が空いたせいだろうか、今日のアドゥワ投手は立ち上がりにやや苦しんだ。
初回は一死後に2番の蝦名達夫が死球で出塁し、続く佐野恵太はあわや今季初ホームランかというエンタイトルツーベースを打った(一旦はホームラン判定となったが審判団のリプレイ検証の結果打球がフェンス上端で跳ねてスタンドインしたとされた)。
続く牧秀悟はショートゴロに終わったが、この間に蝦名が生還してベイスターズが1点先制。
2回にも京田陽太、山本祐大の連続安打の後、関根大気もポテンヒットで出塁し、無死満塁のチャンスを作る。
東克樹はフルカウントまで粘ったが空振り三振。
続く桑原将志がなんとか犠牲フライを打って1点追加。
タイムリーなしで2-0とリードを奪ったが本日の得点はここまで。
その後は立ち直ったアドゥワ投手の動く速球とカーブを交えた緩急をつけた投球に圧倒され、3回から6回まで1人のランナーも出すことが出来なかった。
今日の試合で2点は奪ったものの、最終的には以前よりも「苦手感」が増したような印象がある。
その後、森浦、ケムナ、黒原と言う力のある速球を投げるリリーバーたちにも3回でヒットわずかに一本と封じ込まれる展開だった。
アナリスト出身のチーフ打撃コーチには宿題が残される結果となったが、タイムリーなしで2点を奪うと言ういわゆる「嫌な点の取り方」が出来たことは評価できる。
どの試合でも得点機にヒットを打てるわけではないので、今日のような攻撃でなんとか加点するしぶとい攻撃ができることは重要だ。
一方、ベイスターズの先発東克樹は立ち上がりから安定していた。
ボールの力とキレという意味ではそれほど良くないように感じたが、緩急を使い丁寧に制球するピッチングで6回までは被安打3、与死球1で無失点に抑えた。
6回二死の場面では菊池の飛球を桑原将志がダイビングキャッチするビッグプレイが出るなど、バックもエースの力投をバックアップした。
しかし、80球を超えたあたりからコントロールミスが目立つようになり、7回二死から小園、坂倉に連打を浴びた。
この時は続く中村健人を外野フライに打ちとってことなきを得たが、8回には先頭の二保と続く代打宇草に連打を許して無死一、二塁。
秋山翔吾にセーフティ気味のバントを決められ、一死二、三塁とピンチを迎えたところで降板した。
今日の最大の勝因はこのピンチでマウンドに上がった伊勢大夢が代打の切り札松山竜平をわずか1球でファーストフライ、続く野間を2球目でセカンドゴロに打ちとり無失点で切り抜けたことだろう。
このところ、伊勢のストレートは良い時のキレを取り戻しつつあるように感じる。
直近の失点と言えば4月19日のヤクルト戦で村上宗隆に外角高めのボール気味のストレートをスタンドまで運ばれたソロホームランによる1点だけで、あれは村上が凄すぎた。
この1ヶ月間というもの、セットアッパーとして概ね安定した働きができていると言って良い。
そして、9回はこのところ好調の森原康平が二つの三振を含む三者凡退で片付けて試合終了。
完封リレーでこのカードの初戦をモノにした。
ヒーローインタビューは7回1/3を105球、被安打7、奪三振2、与死球1、無失点でまとめて3勝目(0敗)を挙げた東克樹。
これで昨シーズンから続くQSの記録は16にまで伸びた。
東は一度は封印した「祐大のおかげ」を今日は口にしていた。
彼のインタビューを聞きながら、私は東克樹がなん度もこのセリフを口にするのは、彼がマウンド上では1人で闘う覚悟を固めているからなのではないか、というやや逆説的なことを考えていた。
結局のところ、ボールを投げるのはピッチャーであり、打たれた場合の責任は彼自身にある。
キャッチャーに支えてもらってなんとかしよう、などと言う甘えは一切ないからこそ、最善の球種、コースを選択してくれる山本祐大の働きに感謝するのだろう。
昨年の最優秀バッテリー賞を獲得した東克樹と山本祐大の関係性は、昨年よりも進化しつつあるのではないだろうか?
互いに支え合うのではなく、それぞれが自立したプレイヤーとして最善を尽くす。
そして、その最善の働きが組み合わさることによってバッテリーとしての力がさらに増す、という「大人の関係」になってきたことを私は感じた。
そう言えば、数年前に流行ったリーガルハイというドラマの主人公、堺雅人さん演じる古美門研介がこんなことを言っていた。
“人という字は、人と人とが、お互いに、支え合って出来ているわけではありましぇん!
1人の人間が、両足を踏ん張って大地に立っている姿の象形文字です”
そう、東克樹はその小柄な体躯でマウンド上に両足を踏ん張って立っているのだ。
がんばれ東。
もはや君がこのチームのエースなのだ。
肘の故障から辛く長いリハビリを乗り越えてやっと掴んだこの大事な切符を
君は2度と手放してはいけない。
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