森原康平は既にリーグを代表するクローザーの1人になっていた
久しぶりに現地で森原康平投手のピッチングを見た。
一塁側ネクストバッターズサークルの直ぐ後ろの席だったので、特に右打者と対峙した時の球筋がはっきりと見える。
なんと言ってもフォーシームの力強さがずば抜けている。
今日はアンソニー・ケイやローワン・ウィックという150キロ代半ばのストレートが売り物の投手たちも投げたのだが、スピードガンの表示とは裏腹に森原の直球の方が威力があるのは明らかだった。
試合の方はタイラー・オースティンのタイムリーヒットなどで3点を奪い逆転。
3-1とリードしたセーブシチュエーションの9回表に登板し、先頭の代打西野選手を4球続けたストレートで押し込んでから、カウント1-2の5球目でフォークボールを選択し平凡なレフトフライに打ちとった。
代打攻勢で登場した宜保選手はカウント2-2からサードファウルフライ。
最後の難敵、ラオウ杉本選手には内角高めのストレートを続けて3球三振。
特に2球目のストレートはホップ成分が多く、素晴らしく伸びるボールで山本祐大捕手のミットに突き刺さるように飛び込んで行った。
昨シーズン終盤にクローザーに定着した時も良い投手だとは思っていたが、今シーズンに入ってからさらに数段レベルアップしたと感じた。
もはやセリーグを代表するクローザーの一人になったと言って良い安定感だ。
クローザーに要求される能力として、四球を出さないこと、三振をとれることがしばしば挙げられ、K/BBという指標(投手の奪三振数と与四球数の比。フォアボールを一つ与える間にいくつの三振がとれるかを示す)が用いられる。
セリーグのクローザーたちのK/BB(6月4日現在)を比較してみよう。
森原康平 7.67
栗原良吏 7.25
大勢 6.00
R. マルティネス 3.83
ゲラ 3.00
岩崎優 2.88
セーブ数ではマルティネスの17、栗原の15に続いて3位となる14だが、奪三振力とコントロールにかけては最も優秀と言える成績を出している。
彼の投球割合の約62%を占めるストレートと34%のフォークボールはいずれも被打率1割台半ばであり、2球種とも三振をとることができる。
つい数日前の記事で、彼がピラティスを取り入れたトレーニングを行っていて、常に3年後に自分のピークがくるように日々鍛錬を積んでいることなどが紹介されていた。
楽天時代のことはあまりよく知らないのだが、ベイスターズ入団以降はまさに時間をかけて球威も成績も向上している。
彼自身も言っている通り、故障や小さな波はあっても大きく見れば右肩上がりで進化している。
まさに「横浜進化」だ。
そして、メンタル面での安定が大きい。
以前、三浦監督から「ない頭で考えたってしょうがないだろう」というひねりの効いた激励をもらい、それ以降はマウンド上で考えすぎずに頭の中をシンプルに整理することができているようだ。
その姿勢はチーム内に若手にも伝わっており、徳山壮磨、坂本裕哉、中川虎大らが彼を師匠と慕い自主トレを共にしている。
この若手3人に彼が語った、
“彼らは能力が高いのに頭の中で考えすぎているところがあったので、シンプルでいいんだよって話はよくしていますね。
ピッチャーって、もっとこうしたいって欲を出しがちなんですけど、そんなのはいらないんだって”
という言葉は彼自身に向けられたものでもあるだろう。
微笑みのクローザーと言われる森原康平の笑顔にはこうした裏付けがあるのだ。
不動のクローザーとしてこのまま活躍を続け、ベイスターズとの試合は8回までと思わなくちゃいけない、と相手チームが警戒するような存在にまで上り詰めて欲しい。
いや、彼はそこに向けて3年越しのプランを既に持っているはずだ。
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