アンソニー・ケイの力投で完勝 失投の少ないノーコンの威力
ジャイアンツとの首位攻防戦で初戦から2連敗した我がベイスターズは少し苦しくなった。
まず、負け方が良くない。
どちらの試合も現状では1番の脆弱性である中継ぎが打たれての敗戦であり、運が悪くて負けた、と開き直る訳には行かないのだ。
このままだとズルズル後退してしまう、そんな危機感を抱くような連敗だった。
恐らく同様に感じていた首脳陣も、早速、第二戦で炎上した松本凌人を登録抹消し、ファームで復調しつつある山﨑康晃を呼び戻す、という手を打った。
第三戦の先発はアンソニー・ケイ投手。
当初は苦労していたが、NPBの打者への対策を工夫して最近は非常に安定したピッチングを続けている。
打線の援護がなかったり、後続の投手が打たれたり、などでこの一月ほど勝ち星に恵まれていないが、先発ローテーションの柱の一つであることは間違いない。
第二戦を見る限り、ジャイアンツとのチーム力の差はあるように感じるが、なあに、勝てば官軍のたとえもあるように、勝ったチームは強く見えるものさ。
ケイ投手が長いイニングを最小失点で堪え、山﨑康晃、森原康平へとつなげば試合は作れるだろう。
そして、ベイスターズは打線にも手を入れて来た。
度会隆輝の調子が落ちるとともに機能不全に陥っていた走れる一、二番を解体し、タイラー・オースティンを2番に上げるという策を採ったのだ。
1番 梶原昴希(RF)
2番 タイラー・オースティン(1B)
3番 佐野恵太(LF)
4番 牧秀悟(2B)
5番 宮﨑敏郎(3B)
6番 山本祐大(C)
7番 桑原将志(CF)
8番 森敬斗(SS)
9番 アンソニー・ケイ(P)
この打順はシーズン初めにも試みたパターンだが、当時は佐野恵太の不調などもあり必ずしも有効とは言えなかった。
しかし、佐野が完全に復調し、山本祐大が3割を超える打率を残している今の最適解であるように思える。
トップバッター向きではない桑原将志を7番で気楽に打たせることが出来るのも利点の一つだ。
この打線が初回からつながった。
先頭の梶原昴希がジャイアンツの先発菅野投手のインコースの速球をつまりながらレフトの左に運ぶと、やや右寄りにポジションをとっていた若林選手が打球に追いつくまでに少し時間がかかることを見逃さずセカンドに滑り込んだ。
続くオースティンが菅野投手の高めに浮いたボールを捉え、高く上がった飛球はライトフェンス直撃のツーベースヒット。
丸選手が捕球する可能性があったために梶原はハーフウェイにとどまったためホームには戻れなかったが、無死二、三塁のビッグチャンス。
ここで打席に入った佐野恵太はカーブとフォークボールで0-2と追い込まれたが、バッテリーが高めに外したボールを強振してレフト前に落とすヒット。
三走の梶原に続いてセカンドランナーのオースティンも打球判断良くホームに駆け込んだ。2点タイムリーヒットだ。
牧秀悟は三振したが、宮﨑敏郎が菅野のスライダーを上手くすくってショートの頭上を超えるヒット。左中間のボールが転がる間に佐野も宮﨑も力走して一死二、三塁と再びチャンス。
ここで山本祐大が初球をライトに打ち上げ、犠牲フライで3点目。ホームへの送球の間に二走の宮﨑もサードまで進んだ。
さらに、7番に下げた桑原将志がここで生きる。
1-0からの2球目をセンター前に打ち返して宮﨑を還した。
立ち上がりボールが高かった菅野投手を攻め、4点を挙げる素晴らしい攻撃を見せてくれた。
その後も6回に牧秀悟が2番手の畠投手から、そして9回に宮﨑敏郎が3番手の平内投手から、いずれも代わり端を捉えたソロホームラン。
これが中押し、ダメ押しとなって合計6点を挙げる理想的な試合展開となった。
一方、先発のアンソニー・ケイ投手は初回先頭の丸選手に高めのストレートをうまくおっつけられレフト前ヒットとなったが、その後は岡本和真を歩かせたものの三振1つとショートゴロ2つで無失点で切り抜けた。
その後も常時150キロを超える威力十分のストレートとカットボール、ナックルカーブ、チェンジアップなどの変化球を駆使してアウトを積み重ねていった。
8回、115球、被安打2、奪三振6、与四球5、失点0の堂々たるHQSで5勝目を挙げた。
フォアボールが5つあることからも分かる通り、コントロールが絶妙というタイプではない。
しかし、これらのフォアボールも丸佳浩、岡本和真、大城卓三と言った強打者に対してのものであり、甘いところに行かないように勝負した結果であったように思う。
そして、失投はかなり少なかった。
失投の少ないノーコンって逆にアドバンテージになるんですね。
適度にバラつくケイ投手の投球は、時折素晴らしいコースにストレートがズバッと決まったり、ストライクからボールになる絶対打てないようなスイーパーを投げたり、などジャイアンツ打線からすると非常に厄介だったようだ。
この調子を続けることができれば、ケイ投手が来日初年度で二桁勝利を挙げることはさほど難しくはないだろう。
そして、6-0のリードで迎えた9回裏は昇格したばかりの山﨑康晃の格好な試運転の機会となった。
ストレートばかりで岡本和真を3球三振に打ちとるなど、生命線の速球の球質は良い状態に戻っているように見えた。
ファームでも3失点で炎上するなど不甲斐ない投球があったが、その後、2軍の入来コーチや東野コーチらと相談しつつ走り込みを多くして根本からコンディションを上げて来たようだ。
試合後の山﨑康晃のコメントにある“厳しく支えていただいた”という言葉は、この経緯についての実感なのだろう。
投打が噛み合った6-0の完勝。
ほらね、こうやって勝ってしまえば、昨日感じていたジャイアンツとのチーム力の差なんて消えて無くなったでしょ?
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