連敗の長いトンネルを抜けると そこはTAだった
このブログで最後に記事を書いた7月22日以来、一時的に記憶を失っていたが、どうもベイスターズは大変なことになっていたらしい。
3年ぶりの9連敗
あっと言う間に貯金5から借金4へ
オールスター後は7試合で得点僅かに10
あー良かった、何にも覚えていなくて
ずいぶん昔に観た映画で、悲しいほど澄んだ眼をした女優が
“忘れる、というのは人間の最も優れた能力なのよ”
と言っていたような気がするが、記憶違いかも知れない。
ともかく、忘れてしまったことは無いものとして、今日から新たな気持ちでベイスターズをまた応援しよう。
そう思って、息子と2人で横浜スタジアムに行って来ました。
彼はいわゆる帰国子女で、少年時代は野球と全く無縁の環境で育ったのだが、大人になってからフト気がつくといつの間にかベイスターズファンになっていた。
私にはそんな積りは無かったのだが、知らないうちに刷り込みあるいは情報操作をしていたのかも知れない。
可哀想だが仕方ない。
こうなったら一緒にベイスターズのみんなを応援しようぜ。
球場に到着して席に着くと、早速、持参した“いっぺこっぺ”のヒレカツカレー弁当を食べ始めた。
するとどうでしょう。
まだお弁当の蓋を開けて一口頬張ったかどうかと言うタイミングで森下選手のツーランホームラン。
そして、気を取り直して応援しようと思った瞬間に佐藤輝明選手のソロホームラン。
あっと言う間に3点を先制されてしまった。
これが9連敗の魔力というものか。
ベイスターズ先発の吉野光樹投手はどうもボールが上ずっている感じでタイガースの各打者に芯で捉えられていた。
大山、前川にも良い当たりをされたが野手の正面でスリーアウトチェンジ。
9連敗中のベイスターズを8連勝中のタイガースが初回から3-0でリードするという絶望的な展開となり、私たち親子は試合よりもむしろカツカレーへと逃避する精神状態に追い込まれた。
しかし、タイガース先発の大竹投手も3点の援護をもらいながらピリッとしない立ち上がりだった。
梶原昴希のヒット、2番に入った牧秀悟のフォアボール。
佐野は内野フライに倒れたが、復帰して4番に入ったタイラー・オースティンが打席に入る。
私は景気づけに何か言おうと思い、これでオースティンがホームランを打って同点に追いつくな、と息子に呟いた。
すると、まあ、何ということでしょう。この人は本当にホームランを打ったのです。
オースティンの高く上がった打球が左中間スタンドに吸い込まれていった瞬間、息子は驚いてカレーを白いショートパンツにこぼした。
私は言った。
“息子よ、白い服を着ている時、ヒトは必ず何かをこぼすのだ。覚えておきなさい”
そして、
“私が名古屋の山本屋本店で味噌煮込みうどんを食べる時、注文してから白いシャツを着ていたことに気が付き、どれほど慎重に食べても、箸で挟んだ太いうどんが滑り落ちて濃厚な八丁味噌の飛沫がシャツに飛ぶ(だから慣れた人は鍋蓋を受け皿のように使うらしい。そう言うことは早く教えてよ)。
私はこれを味噌スプラッシュと名付けて・・・”
というやや冗長な説明をしている間に宮﨑と蝦名は倒れて同点どまり。
その後立ち直った吉野投手は2回から4回まで無失点で切り抜けた。
4回表は二死満塁で、当たっている近本選手を迎え、フルカウントで後がなくなったが、低めギリギリのストレートで見逃し三振に抑える勝負強さを見せてくれた。
4回で被安打6、四球1、3失点という内容を考えると連敗阻止が至上命題のチームにあっては2番から始まる好打順のところで交代というのは仕方のないところか。
通用した部分とそうでない部分の見えた登板だったと思うので、それぞれ整理して次につなげて欲しい。
2番手のウィック投手は5回表、先頭の中野選手に不運なツーベースを打たれ、進塁打と佐藤輝明のタイムリーで失点。再び3-4とリードを許した。
ウィック投手は中野選手の左にきれて行く打球がファウルだと確信していたようで、判定には不満げだったが、それを宥めに行った大原コーチや野手たちも良いサポートだった。
ストレートの球威もあり、全体として今日の彼の投球は満足できるものだったと思う。
そして、6回裏、先頭のオースティン選手が3-1からの甘いボールを振り抜いて打った瞬間にそれとわかるホームラン。
ライナーでレフトスタンド上段に突き刺さる素晴らしい当たりだった。他の打者とは明らかに打球速度が違う。
球場全体が一瞬息を呑み、そして大きな歓声に包まれた。カツカレーは食べ終えていたので、息子は今度はこぼさなかった。
これでまた4-4の同点に追いついた。この反発力こそが連敗中には無かったもので、それを復帰したばかりのタイラー・オースティンが取り戻してくれた。
その後、試合はベイスターズの流れになり、7回には二死一、二塁で佐野恵太のタイムリーヒットとエラーが絡んで2得点。
さらに8回には林琢真の絶妙なセイフティスクイズや岡留投手の牽制球が暴投になるなどで一挙4得点。
10-4と試合を決定づけた。
一方、守りの方では、7回から山﨑康晃、ウェンデルケン、森原康平という実績のある投手たちが無失点の継投を見せ、そのまま逃げ切った。
約2週間ぶりとなる勝利。
長く辛い連敗のトンネルだったが、何とか抜けることができた。
そして、このトンネルの先には、復活したタイラー・オースティンが圧倒的な打力でチームを引っ張ってくれる未来像が見えている。
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