カープに競り勝った意味と大貫の離脱
昨日の試合、6回まで2-0でリードしていた試合で7回に1点、8回にも1点失って2-2の同点に追いつかれた時点で今日は負けかあ、と思ったベイスターズファンの方も多かったのではないでしょうか?
当社は伊勢大夢とウェンデルケン投手が打たれて追いつかれているのに対して、カープの方はその時点でハーン、森浦、栗林を残していたし、何より接戦になった場合の駆け引きのうまさではとても敵わないというのが新井監督就任後の印象だ。
実際、ベイスターズは伊勢、中川颯、ウェンデルケン、森原(回またぎ)と先発のケイ投手が降板してから4人のリリーバーを注ぎ込んでおり、11回に登板した佐々木千隼が二死をとってから上本、小園に連打を浴びて失点し、とうとう2-3と逆転された。
二死一、三塁と継続したピンチの場面で登板した坂本裕哉は好調の坂倉選手を素晴らしいストレートで見逃し三振に打ち取り最小失点で切り抜けたが、普通はここで万事休すと思うところだ。
しかし、10回までに島内、ハーン、森浦、栗林を既に投げさせていたカープのブルペンも決して余裕がある訳ではなかった。
金曜日が岐阜からのジャイアンツの移動日にあたり試合のないベイスターズとホーム広島で苦手のドラゴンズとの試合が組まれているカープの条件面での差もあっただろう。
新井監督のプランは、11回裏先頭の佐野恵太に左の塹江投手を起用し、その後、オースティン、牧、宮﨑と続く右打者には松本投手を充てるというものだった。
しかし、その松本投手は3連投であり、疲れもあっただろう。
結局、佐野恵太は塹江投手の2球目をバットを粉々に折られながらもレフト前に運んで出塁。
無死走者一塁という状況で松本投手が登板することとなった。
タイラー・オースティンは松本投手のストレートに手こずりながらも8球粘って、フルカウントからの9球目を見送りフォアボール。
無死一、二塁で牧秀悟が打席に入る。
この日の牧は1-0でリードしていた5回先頭の菊池選手のセカンドゴロをファンブルした後に悪送球して無死二塁のピンチを作ってしまうミスを犯していた。
前日にも挟殺プレーでの暴投があり、守備のミスでチームの足を引っ張っていると言う責任をキャプテンとして強く感じていたことと思う。
その牧選手は2-2からの6球目、外角のカットボールをバットの先端付近で拾ってレフトとセンターの間に運んだ。
佐野恵太の代走に入っていた関根大気が良く走って生還し、土壇場で3-3の同点に追いついた。
牧も懸命に走ってセカンドに到達し、なおも無死二、三塁とチャンスが継続。
重圧から解放された牧はセカンド塁上で天を仰いで絶叫していた。
内面に溜めていた精神的エネルギーをそのままにしておくことができなかったのだろう。
投擲後の室伏選手(現在スポーツ庁長官)が大声で吠えていたのも同じようなメカニズムだったのではないかと私は考えている。
ここで広島ベンチは宮崎敏郎を申告敬遠して満塁策をとった。
そして、代打大和はショートフライ、京田陽太はセカンドゴロで二死となり、この満塁策は成功するかと思われた。
しかし、三連投の松本投手はこの時点までで既に22球を投じており、いつもの状態ではなかった。
二死満塁で打席に入った伊藤光への初球は変化球が高めに抜け、その後、ストレートも変化球も抜け気味で3-1となる。
横浜スタジアムの応援席は異様な盛り上がりを見せ、松本投手が投球モーションに入ると煽るような大音量の歓声が共鳴する。
結果は内角高めのストレートがシュートしながら抜けていきボール。
サヨナラの押し出しでベイスターズの再逆転勝ち。
まさに、「勝ち切る覚悟」を見せつけるようなチーム全員が一丸となっての勝利だった。
試合巧者のカープに延長戦で競り勝ったことの意味は大きい。
これで首位カープをスイープし、入れ替わりで首位に立った巨人と4.5ゲーム差。
残り試合数を考えれば優勝の可能性は低いがゼロではない。
それもこれも週末の巨人戦次第だ。
と思っていたところ、つい先ほど困ったニュースがもたらされた。
投手指名練習に臨んでいた大貫晋一が背中の違和感を訴えて登録抹消。
巨人戦の先発は石田裕太郎、大貫晋一の予定だった筈なので、これは首脳陣にとって非常に頭の痛い緊急事態となってしまった。
その後、明日の予告先発は、井上温大投手(巨人)、石田裕太郎(横浜)と発表された。
ここまでは良いだろう。
問題は日曜日、イースタンリーグのロッテ戦で先発予定だった吉野光樹を急遽呼び寄せるか、あるいはブルペンデーにして山﨑康晃か森唯斗あたりにオープナーを務めてもらうか?
可能性のあったハマちゃんは今日ファームで102球を投げ、勝ち投手になっているので、日曜日は無理。
小園健太もファームでの前回登板で2回11失点と言う大炎上だったので怖くて使えない。
”天は・・・天は我々を見放した”
映画「八甲田山」で北大路欣也演ずる神田大尉の気持ちになり、私は思わず呟いた。
しかし、こう言う時に限って、吉野君が一世一代の好投を見せてくれたり、打線が爆発して菅野投手を攻略したりすることもあるので、まだ諦めるのは早い。
私たちにできることは、いつもよりも祈りのボルテージを上げて声援を送るのみだ。
頑張れ、ベイスターズ!
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