mizuyashikiのブログ

横浜ベイスターズを中心にその時に考えていることを書きます。

もう紅白戦 だが まだ紅白戦でもある





最強寒波と言う言葉を耳にする機会が多い。


夜分に窓を開けると、たしかに先月よりも寒さの体感が一段階上がったような気がする。


沖縄も気温が上がらず、南国のイメージとはだいぶ異なる気温の中でベイスターズの春季キャンプが例年通り2月1日に始まった。


外国人選手たちによる豆まきは恒例となったが、今年は宜野湾と奄美の両キャンプ地で祝賀パレードが行われた。


日本シリーズの歓喜で忘れていたが、ベイスターズの2軍もソフトバンクとの決戦を制して優勝を果たしたのであった。


だからこそ、2軍のキャンプ地である奄美でのパレードにも大きな価値がある。


毎年キャンプでお世話になっている地元の皆さんと日本一の喜びを分かち合うという意味で良い企画だったと思う。


キャンプの第一クールでは、新人の即戦力投手たちに注目していたが、特に、ドラフト1位の竹田祐投手と2位の篠木健太郎投手はなかなか良いように見えた。


篠木投手は全身を使って投げ込む力強いフォームが特徴で、この時期では珍しい150キロのストレートを投げ込んでいた。


球速のみならず球質まで含めて、このストレートがプロの打者たちに通用して空振りを奪うことができるかどうか、が篠木投手のこの世界での活躍の鍵を握っているように思う。


この点については、これから、練習試合、オープン戦と実戦を重ねていく中で明らかになっていくことだろう。


竹田投手はバランスが良く、制球を重視しながら直球と変化球のキレで勝負していくタイプだろうか。


履正社、明治大学でエースをつとめてきたという経歴から、打者との駆け引きを含めた総合力の高い投手であろうことが推察される。


時折見せる笑顔の初々しい彼ら新人選手たちの将来が明るいものであることを心から祈っている。



さて、昨日(2月8日)、今回のキャンプで最初の実戦となる紅白戦が行われた。


まず目についたのは、実力者でありながらそれぞれ心に期するもののある山﨑康晃投手と伊勢大夢投手の状態の良さだった。


山﨑投手は糸を引くようなストレートが左右の両コーナーに決まっており、今年もここが生命線になることだろう。



目を引いたのは、左右両方の打者の膝下にストレートを投げ込んでいたこと。


実戦でもこの配球をするかどうかは未だ分からないが、アウトローのストレートとツーシームのコンビネーションでは限界が見えつつあるので、ここから250セーブを目指していくためには必要な挑戦であるように感じた。


伊勢投手は先発転向を明言しており、モデルチェンジしたことがはっきりとわかる投球だった。


先発転向の理由として、近年コントロールが向上してきたことを挙げていたが、なるほどと思うような制球重視の投球だった。


左打者への高めのカットボールなど、長いイニングを投げるために必要なカウント球を思ったよりも器用に投げている姿を見ると、これは意外と良いキャリアアップのチャンスなのではないかと思った。



この2人はそれぞれ打者3人を無安打に抑えた。


また、タイガースから入団した岩田将貴投手はこれまでベイスターズにはいなかった変則サイドスローの左腕で、今日対戦した三森選手や度会選手などの左打者は彼らの背中の後ろからストライクゾーンに入ってくるスライダーに完全に腰が引けていた。


本人のコメントでは、このスライダーの軌道が未だ納得のいくものではなく、60点ということだったが、これからシーズンに向けて更に精度が上がって来れば貴重な戦力になることだろう。


古巣との対戦で、近本選手や佐藤輝明選手といった錚々たる左打者が試合終盤に走者を置いて打席に入った時に切り札として登板すれば、いわゆる恩返しができる可能性はかなり高い。


打者では、ハマちゃんとのトレードでソフトバンクから入団した三森大貴選手が、あわやホームランという長打や素晴らしい打球判断からのサードへのタッチアップなど期待通りの活躍を走攻守で見せてくれた。



彼は、「立っているだけで手は出すな」と言われた時のセリーグの投手のように全く打つ気のない脱力した姿勢で打席に立っているが、甘いボールが来ると鋭く反応してバットの芯に当てるという達人の剣客のような動きを見せる。


強打者の多いベイスターズにはいなかったタイプだ。


そして、昨年後半に覚醒した感のある森敬斗選手は良い状態を継続しており、また、梶原選手の台頭で奮起の求められる蝦名達夫選手もマルチヒットでアピールしていた。


昨年終盤に骨折してから復活を期す山本祐大選手は推定飛距離120mの豪快なホームランをかっ飛ばして、チームの正捕手への復帰と侍ジャパン入りに向けた最高のアピールに成功した。



3年目の松尾汐恩選手も白組のスタメンマスクでヒットを放っており、この2人が競い合いつつ、戸柱、伊藤の両ベテランが脇を締めるという布陣は12球団でもベストの一つだろう。


谷繁さん、相川さんが抜けた後の暗黒時代の苦悩を想えば、夢のような話だ。


一方、悔しい思いをしたのは、三嶋一輝投手と森唯斗投手のベテラン2人と2年目の松本凌人投手だ。


3人とも球威、制球ともにもう一つで、苦しいカウントから投げ込んだ甘いボールをことごとく痛打されていた印象だ。


スロースタートとも言っていられない立場の3人なので焦る気持ちもあるだろう。


しかし、未だ紅白戦なのだ。


慌てることなく、今は牙を研いで来る開幕に向けてそれぞれの武器に磨きをかけて欲しい。


3人ともこのまま終わる選手ではない、と私は信じている。