トレバー・バウアーの不屈の魂が私たちの夢の続きを見せてくれる
トレバー・バウアー投手が2年ぶりに横浜に帰ってきた。
米国南部で調整を重ね、既に状態は万全のようだ。
今日は早くも追浜のDOCKで投球練習を開始したと言う報道があった。
彼の言動について、3P両論、じゃなかった賛否両論があることは承知している。
私も彼の全てが正しいと主張する気は毛頭ない。
しかし、それでも私は彼のことが好きなのだ。
好きなのだからしょうがないじゃあないか。
思い起こせば2年前、シーズン最終盤で絶望的な怪我を負った彼が驚くべきペースで回復し、あわよくばクライマックスシリーズで登板するのではないかと言うところまで漕ぎ着けた。
あの時の祈るような気持ちが昨日のことのようによみがえる。
そうだ、あの時、私はその気持ちをこのブログで記事にしたんだっけ。
2023年10月6日の記事。少し長いがそのまま引用する。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
トレバー・バウアーが近本光司のピッチャーゴロに飛び込み、無理な姿勢で捕球した際に右の腸腰筋を損傷したのは8月30日、甲子園での阪神戦での出来事だった。
その後、二人の打者を打ちとり無失点で切り抜けたことから、故障とは言っても大ごとではないだろうと私はたかを括っていた。
しかし、実際には全治4〜8週間とも言われる重症で、彼のYouTubeでも右膝を全く上げることができない状態が映し出されていた。
その映像を見て、私は、これは難しそうだな、と思った。
シーズンも残すところわずか1ヶ月程度という時期の故障だったため、帰国して治療にあたるという選択肢もあったと思う。
しかし、バウアー選手は日本に残り、チームがポストシーズンの試合に進出することを信じてリハビリに励み、その舞台で復活登板を遂げることを決意した。
そこからの彼のリハビリと練習は時折動画などで配信されていた通りだが、実際にはもっと苦しく辛い時間が続いたことだろうと思う。
しかし、彼の精神はそうした障害に屈することはなかった。
CSの舞台でもう一度ベイスターズのユニフォームを着てマウンドに立つこと、さらに、CSを勝ち抜いて日本シリーズの晴れ舞台でもう一度横浜スタジアムのマウンドでスタンドを青く埋め尽くしたベイスターズファンの目の前で投球することを鮮明にイメージして踏ん張り続けたことと思う。
そして、彼のリハビリは当初のスケジュールよりも遥かに前倒しで進み、9月中には数回ブルペンに入って投球練習を行い、今日2度目のライブBPのマウンドに立った。
実戦形式の投球で4回相当、86球を投げ被安打8、失点2ということだが、その結果は大きな問題ではないだろう。
ストレートの最高速度も152km/hに達して、全ての変化球を試したとのこと。
練習後の彼自身のコメント。
”完全に元通りの感覚です。
観客が0人だったので、満員の横浜スタジアムで投げることを楽しみにしています。
絶対にもう1回ファンの前で投げるという意気込みでリハビリをやった。
日本シリーズでみなさんの前で投げたい”
インターネット上では、バウアーは本当に身体が強いとか脅威の回復力とかいうコメントが多く見られるが、これはそうしたフィジカルの問題なのだろうか?
私は理系の研究職に就いており、非科学的なことを言うのは気が引けるのだが、バウアー投手の回復のスピードはやはり彼の精神力に後押しされているように思えてならない。
”強さは「肉体的な力」から来るのではない。それは「不屈の意志」から生まれる”
マハトマ・ガンジー
トレバー・バウアーの野球に全てを捧げた生活を見ていると、むしろこうした言葉の方がよりリアルに感じられるのだ。
今日の登板の後、経過を見て問題がなければ、11日に再度ライブBPでもう少し長いイニングを投球し、そこでGOサインが出ればCSでマウンドに立つ姿を見ることができる。
14日からマツダスタジアムで行われるCSファーストステージでは第1戦が最多勝と最優秀勝率のタイトルをとった東克樹、第2戦が最多奪三振の今永昇太の先発が予定されている。
ここで2連勝することができれば、CSセカンドステージの第1戦あるいは第2戦で、1勝1敗の場合はファーストステージ第3戦でバウアー投手の登板の可能性がある。
そして、もし阪神に勝つことができれば、横浜スタジアムでの日本シリーズへ。
夢は広がっていく。
2023年はトレバー・バウアーのいた年として我々ベイスターズファン全員の胸に長く刻み込まれるだろう。
彼のマウンドでの猛々しい振る舞い、素晴らしいストレートや驚くほどの変化量とキレを見せる多彩な変化球、そして何よりも彼の求道者のような表情を私は一生忘れることがないだろう。
その2023年シーズンの最後にバウアーが蘇ってもう一度あの勇姿を見せてくれたら。
私は悪魔に魂を売っても良いと思っている。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
しかし、皆さんご存知の通り、結果は無情なものだった。
マツダスタジアムでの第1戦は東克樹が8回に同点に追いつかれ、最後はウェンデルケンが打たれて逆転サヨナラ負け。
第2戦は今永昇太が先発したが先制を許し、一旦は2-2の同点に追いついたものの、8回に突き放されて負けた。
結局、トレバー・バウアーの最後の登板と言う夢は叶わないまま終わった。
横浜市内の住居を引き払った日や帰国する飛行機に乗り込む時の彼の映像を観て、私は惜別の想いを抑えることが出来なかった。
いつの日か、もう一度横浜に戻って、ベイスターズファンで埋め尽くされ青く染まったスタジアムの中心であの炎のような投球を見せて欲しい。
私はあの日からずっと念じていた。
そして、その祈りは通じたようだ。
さあ、これからが夢の続きだ。





このブログへのコメントは muragonにログインするか、
SNSアカウントを使用してください。