開幕戦は快勝 今年のチームの骨格が見えた
初夏のような陽気の横浜スタジアムは、例年と違って開幕戦がナイトゲームでも選手や観客の皆さんは寒さを感じなかっただろう。
セレモニー色の強い演出から始まった初回。開幕投手の東克樹は少し不安定な感じで、ストレートも変化球も高めに浮いている印象だった。
2死をとった後、3番カリステ選手に初ヒットを許すと、4番石川選手の捉えた打球はスタンドまで持っていかれるかと思ったが風の影響もあったか、最後は失速してフェンス直前でレフト筒香嘉智のグラブに収まった。
一方、その裏のベイスターズの攻撃では、球界を代表する好投手に成長した高橋宏人投手から2番に入った牧秀悟がレフト前ヒットで出塁。
その後、2死から4番タイラー・オースティンのライトオーバーのタイムリーツーベースヒットで先制に成功した。
ライトの細川選手は最初は前進してその後慌ててバックするも頭上を抜かれた形で、目測を誤ったということだとは思うが、それ程オースティン選手のライナーが伸びたということでもあるだろう。
初回を無失点で切り抜け、援護点ももらった東克樹は2回以降見違えるように良くなった。
しばしば言われることだが、彼の大きなアドバンテージは試合中に修正が効くことだろう。
ホームベース上で強くキレのあるストレートが内外角の低めにビタっと決まるようになり、それに伴って大きなスライダーやカットボールそしてチェンジアップで打者を手玉に取れるようになった。
3回には岡林選手のツーベース、そして5回には中田選手の内野安打を森敬斗とオースティンの拙い守備で2塁まで進めるなどピンチはあったが、冷静なマウンド捌きで危なげなく乗り切った。
その間、打線の方は2回に高橋投手を得意としている宮﨑敏郎のヒットから2死三塁で森敬斗がチョコンと当てた打球がレフト前に落ちるタイムリーヒットで2点目を挙げた。
この当たりもレフトのカリステ選手がギリギリ捕球できるのではないかと思われたが、恐らく照明が眼に入ったのだろう。一歩手前でカリステ選手の腰が引けてしまった。
好投手の高橋投手から幸運もあって2点をとることができた。
そして5回には内野安打で出塁した森敬斗を2塁に置いて、2死からトップバッターの梶原昴希が詰まりながらもセンター前に運んで3点目。
センター岡林選手は送球の良い外野手なので大丈夫かしらと思って見ていたが、タイミングはかなり際どいものの森敬斗がキャッチャーのタッチをかいくぐる上手いスライディングを見せてセーフにした。
森選手の無理な送球から不要な進塁を許すエラーは困りものだが、やはり彼のこうした身体能力や走塁技術を見ると使いたくなる。
6回裏には先頭の筒香嘉智が高橋投手の151キロの高めの速球を捉えて右中間を破るツーベースで出塁。
その後、オースティンの四球とワイルドピッチがあり無死一、三塁のチャンスとなったところで宮﨑敏郎の2本目のヒットで4点目。
本塁送球の間に一塁走者のオースティン選手は3塁、打者走者の宮﨑選手も2塁へとそれぞれ進む抜け目のない走塁を見せてくれた。
これが奏功して山本祐大の犠牲フライでさらに1点追加。
5-0とリードを拡げて試合の主導権を握った。
東克樹は7回、93球、被安打4、奪三振5、与四死球0、失点0の好投で開幕戦の初勝利を挙げた(昨年も彼が投げて試合には勝ったが降板後の逆転勝利だった)。
その後、8回は山﨑康晃がキレのあるストレートとツーシームのコンビネーションで三者凡退に抑えた。
特に、最後の岡林選手から奪った見逃し三振はラストボールとなったインコースの150キロのストレートが素晴らしかった。
本人も吠えていたので狙い通りの投球だったのだろう。
そして、9回には597日ぶりとなる入江大生がマウンドに上がった。
傍目にも分かるほど緊張している感じで、最初のバッターに対しては150キロ超の速球がことごとく高めに抜けてストレートのフォアボール。
ここで、同期の牧秀悟キャプテンが間髪を入れずマウンドに歩み寄り、他の内野手も集まって入江投手を落ち着かせた。
これが良かった。
その後、入江投手は最速154キロの威力十分のストレートとフォークボールを駆使して3者連続三振にうちとってゲームセット。
開幕戦に快勝したことが素晴らしいが、それに加えて、今シーズンのチームの骨格が見えたことも歓迎できる。
つまり、エースの東克樹、そして、以下のレギュラー野手陣だ。
1番 梶原昴希(CF)
2番 牧秀悟(2B)
3番 筒香嘉智(LF)
4番 タイラー・オースティン(1B)
5番 宮﨑敏郎(3B)
6番 蝦名達夫(RF)
7番 山本祐大(C)
8番 森敬斗(SS)
森敬斗と林琢真そして京田陽太は併用して競い合うこともあるだろうし、同じことは筒香嘉智と佐野恵太にも当てはまる。
疲労を考慮して山本祐大をメインにしつつ戸柱恭孝と松尾汐恩がマスクをかぶる試合を作り、宮﨑敏郎がお休みの時には三森大貴や井上絢登にチャンスが与えられるだろう。
しかし、チームの骨組みは今日の試合で見えたのではないだろうか。
それは、勝ちパターンのリリーバーにも当てはまる。
5点差でリードしている局面で山﨑康晃と入江大生が起用されたので、それが今の彼らのチーム内での立ち位置なのかと思ったが、試合後に思い直した。
1年に一度しか無い開幕戦であることを忘れてはならない。
今日に限っては5点リードしていてもセーブシチュエーションと同じことなのだ。
つまり、私としては、今日の起用がセットアッパーとして山﨑投手、クローザーとして入江投手を使っていくことのチームとしての意思表示と捉えたい。
今日の入江投手はボールの力はあったものの、制球はかなりアバウトだったので、これから大いに技を磨く必要がある。
そして、それは実戦で、しかも9回のマウンド上でしか得ることのできないものなのだ。
チームはこの若い投手に「9回のマウンド上での経験」をこれから与え続けるという投資を行うことを決めたのではないだろうか?
入江大生は久しぶりのお立ち台で涙ぐんでいるようでもあり、怪我の前よりもレベルアップしていることを皆さんに見てもらいたいという趣旨のことを語っていた。
ボールの力という意味では本当にそうだと思う。
だから入江君、涙ぐんでいる暇など無いのだ。
君の前には聳え立つ高い壁があり、そしてその先には眩く輝く世界が待っているのだ。







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