昨日の阪神戦では、センターの蝦名達夫が薄暮の中で飛球を見失うなど初回から守備のミスが出て先制を許した。
バックのミスを取り戻せず失点した先発の東克樹は自分自身の不甲斐なさに喝を入れるような仕草を見せていたが、“勝ち切る覚悟”はここでもしっかり生きていると感じた場面でもあった。
好調なベイスターズ打線は3回一死でヒットと盗塁でセカンドに進んだ梶原昴希を汚名挽回を期す蝦名達夫がライト右へのツーベースヒットで返してまず同点。
さらに二死からタイラー・オースティンが左中間を破るツーベースヒットを放ち、蝦名が生還して2-1と逆転した。
蝦名が打ったのはタイガース先発の村上投手のストレート、坂本捕手はインローに構えていたが逆球気味に真ん中高めに浮く失投だった。
オースティンの時にも捕手はアウトローを要求していたが高めに浮いて痛打されている。
この辺りの精度がMVPに輝いた昨シーズンと異なり村上投手が今季なかなか勝てていない理由なのかも知れない。
東克樹は2回を終えて42球と苦労していたが、その後、持ち前の対応力でゲームを落ち着かせることに成功していた。
6回に井上広大選手にプロ入り初ホームランを許して2-2の同点に追いつかれたが、その直後にオースティンが村上投手の外角高めのストレート(これも坂本選手は低めに構えていた)を右方向にコンパクトに打ち返してライトスタンドまで運んだ。
3-2と再びリード、結局これが決勝点となった。
東投手は7回にも二死一、三塁のピンチを招いたが、森下選手をスライダーで外野フライに打ちとりことなきを得た。
7回、105球、被安打8、奪三振8、与四死球0、失点2のHQSで11勝目(2敗)を挙げ、昨シーズンから続く連続QSの記録はこれで31までのびた。
8回、9回はウェンデルケンと森原康平がいずれも三者凡退に打ちとってゲームセット。
まずは理想的なゲーム運びだったと言って良いだろう。
これで約一ヵ月ぶりに勝率5割に復帰し、3位阪神とのゲーム差を1.5にまで縮めた。
試合後のヒーローインタビューでお立ち台に上がった東、森原、オースティンは、それぞれ、優勝に向けて負けられない試合が続く、そのために選手全員が必死に戦っている、という趣旨のことを語っていた。
3位タイガースとのゲーム差1.5(残り試合7)、今日ドラゴンズに敗れて2位に下がったカープとは6ゲーム差(残り6試合)、そして首位に立ったジャイアンツと6.5ゲーム差(残り7試合)となって、数字の上では直接対決で並ぶ可能性が残ったことになる。
残り27試合のうち20試合が手強い上位3チームという日程は厳しいが、ポジティブに捉えれば、直接対決で追いつく余地もある、とも言える。
切り離されてしまったと思っていた優勝争いの切符は未だ辛うじて千切れずに我々の手の中に残っているのかも知れない。
数日前のブログで、阪神戦は初戦と第二戦に勝利し、才木投手の先発が予定されている第三戦は台風の影響で中止、欲を言えばこの試合で先発するジャクソン投手がスライドして中日戦で投げる、というのが理想と書いたが、その通りの展開となった。
しかし、台風の影響は予想よりもはるかに長引き、新幹線の計画運休などのために8月30日から9月1日までのバンテリンドームでの三連戦が全て中止となった。
この台風ブレイクはベイスターズにどう言う影響を与えるのだろうか?
“勝ち切る覚悟”と言うチームスローガン発表からの良い流れに水を注されるというマイナスはあるかも知れない。
しかし、これについては、選手たちの心の中の炎を燃やし続けてもらうしかないし、きっとそうしてくれるに違いないと信じている。
台風ブレイク後となる来週の日程は火曜日から木曜日が横浜でのカープ戦、そして何故か金曜日にゲームがなく(巨人が木曜日に岐阜でヤクルト戦を組んでいるので移動日ということだろう)、土日に東京ドームでジャイアンツとの2連戦となっている。
ここで4勝1敗、悪くても3勝2敗で勝ち越さなければ逆転の優勝はおろかCSへの道のりも絶たれてしまうことになる。
5日間の台風ブレイクの後のカープ、ジャイアンツとの決戦は言ってみればCSの予行演習のようなものだ。
この5試合を勝ち切るような短期決戦のゲームプランを立てて臨んでも良いように思う。
使える先発は大貫晋一、東克樹、アンドレ・ジャクソン、石田裕太郎、アンソニー・ケイで、ここまでのローテーション通りであればこの順番でジャクソンまでがカープ戦、石田とケイがジャイアンツ戦と言うことになるが、台風ブレイクによってこれを改編することが可能となった。
ついでに言うと、ファームで8月25日に2回30球の調整登板を行ったハマちゃんも注ぎ込むことはできる。
この6投手の対カープおよび対ジャイアンツそれぞれの防御率を整理したのが下の表だ。
このデータを重視するのであれば、
カープ戦:大貫晋一、東克樹、石田裕太郎
ジャイアンツ戦:ケイ、ハマちゃん
と言うローテーションが浮かんでくる。
そして、本当に短期決戦モードで考えるのであれば、MLBでリリーフ経験があり適性もあるとしばしば言われているアンドレ・ジャクソンをジョーカーとして起用し、先発が序盤で苦しくなった時に試合を落ち着かせることで負け試合を作らない策をとることも可能だ。
もし、来週の2カードを5連勝で終えることができれば、ベイスターズが台風の目となって再びセリーグは混戦状態になることだろう。
そうなって初めて、優勝を目指すというセリフが負け惜しみや冗談ではなくなることになる。
頑張れベイスターズ!
来週が本当の正念場だ。