mizuyashikiのブログ

横浜ベイスターズを中心にその時に考えていることを書きます。

ベイスターズの1位指名は松尾汐恩選手 その完成形は?



10月20日 ドラフト会議当日


昨日のブログでベイスターズは賭けに出るべきだという趣旨のことを書いた。


実際、私の読み通り、ロッテと阪神はすでに1位指名が公言されていた選手を競合覚悟で指名したが(結果は、浅野選手、荘司投手いずれも公言していた巨人と楽天がそれぞれ交渉権を得た)、ベイスターズは独自路線で大阪桐蔭の松尾汐恩選手を単独指名した。


後出しジャンケンではないが、昨日の記事を書きながら、ベイスターズは状況によらず指名する選手を非公表という立場を貫く可能性があるな、とは思っていた。


結果的に、松尾選手は、今年の外れ1位以外の1位指名で唯一の事前公言なしということになった。




【ベイスターズ2022年ドラフトの概要】


ベイスターズの指名した選手は以下の通り。


1位 松尾汐恩 捕手 大阪桐蔭


2位 吉野光樹 投手 トヨタ自動車


3位 林琢真 内野手 駒澤大学


4位 森下瑠大 投手 京都国際


5位 橋本達弥 投手 慶應大学


2位の吉野投手は高校時代、九州学院で伊勢大夢と村上宗隆の間の学年でその後上武大を経てトヨタ入りした即戦力で、今年の都市対抗でも防御率0.38と言う安定感を見せた。


大学日本代表で抑えを務めた5位の慶大橋本投手と共に、力強いストレートと落ちるボールで来シーズンから1軍での登板が期待できる。


3位の林選手はかつての守備の名手井端さんが絶賛している二塁手で、ショートも守ることができる身体能力の高い選手。


50m6秒を切る俊足とコンパクトな打撃でこちらも早い時期に1軍に上がって来そうだ。柴田あたりとの競争になるだろう。


将来的には牧をサードにコンバートして、二遊間が森林コンビになると言うGX(グリーントランスフォーメーション)も考えられる。


4位の森下投手は今年の夏の甲子園を沸かせた左腕で打撃にも優れたものを持っている。


左右は異なるが、昨年野手に転向した勝又選手の入団時と少し似ているように感じる身体能力の高い選手で、まずはベイスターズファームの成績向上に貢献してくれそうだ。


その他、育成1位で四国アイランドリーグ愛媛マンダリンパイレーツの大型捕手上甲選手や同じく3位で東京都市大学塩尻高等学校の大型右腕今野投手などポテンシャルの高い5選手も指名している。


全体として、重要な補強ポイントである将来の正捕手候補、即戦力の投手、柴田、森のライバルになるようなレベルの高い内野手をバランスよく押さえており、思うように進んだドラフトだったと思う。









【松尾汐恩選手の捕手としての将来性】


松尾選手は、強豪校である大阪桐蔭で二年次から正捕手となり、高校通算38本塁打。甲子園でも史上10人目の通算5本塁打を記録した。


WBSC U-18に出場し、国際試合でも勝負強いところを見せてベストナインに輝いている。


高校一年まではショートを守っており、バント処理などで非常に俊敏な動きを見せる一方、遠投110mの強肩で2塁への送球は1.8秒台を計測することもある。


足も速く、50m6.1秒の俊足はキャッチャーとしては異例のものだろう。


指名後の会見で、捕手として初めてのトリプルスリーを狙いたいと語っていた通り、強肩、強打に加えて俊足と言う従来のキャッチャーのパターンにははまらないタレントだと思う。


以前も書いたが、私の考える最重要の補強箇所は捕手だった。


伊藤光、戸柱、嶺井は既に全員が30代であり、この中で最も若い嶺井は今オフFA権を取得して移籍する可能性もある。


そして、山本、益子、東妻と言う若手の捕手たちの育成は決して順調とは言えない。


この意味では、今回の松尾選手の指名はいわゆるピンズドと言って良いだろう。




松尾選手はこれからどのように成長し、その完成形としてどのような選手像を思い描くことができるのだろうか?


NPBではこれまで、決して数は多く無いものの強打の捕手と言う系譜がある。


ソフトバンクから海を渡ってシアトルマリナーズでも活躍した城島健司さん、ヤクルト黄金時代を築いた古田敦也さん、ホームランアーティストでもあった元巨人の阿部慎之介さん、現役ではFAで話題の大阪桐蔭の先輩で現西武ライオンズ森友哉選手など。


しかし、松尾選手の将来像はこれら先輩たちのどれにも重ならないように見える。


トリプルスリーを目指すキャッチャーとして私の記憶の中に唯一思い当たるのは、MLBマイアミ・マーリンズから昨年5年1億1550万ドル(!)の超大型契約でフィラデルフィアフィリーズに移籍したリアルミュート選手だ。


今年31歳になったリアルミュート選手は、8年間で866試合に出場し874安打、本塁打112本、盗塁57、通算打率 .275、OPS .783と言う輝かしい成績を残している。


そして、この8年間、常にMLB全捕手の中で最速のスプリントタイムを記録し続けている俊足の持ち主でもある。


そうだ。松尾汐恩の将来像は、やはりこの人だ。


ハマのリアルミュートとしての松尾君の未来がなんだか鮮やかに見えて来たような気がする。