mizuyashikiのブログ

横浜ベイスターズを中心にその時に考えていることを書きます。

「あなたらしさ」で掴んだ交流戦初優勝





最終戦で日本ハムに敗れ、優勝を確定させることができずに終えた交流戦。


昨夜、わずかながらベイスターズを上回る可能性を残していた楽天がヤクルトに大敗し、1日遅れで交流戦優勝の朗報がもたらされた。


既に多くの方が書かれているが、ベイスターズは交流戦勝率が12球団で最下位であり、2015年の3勝14敗1分と言う年度別の最低勝率も記録している。


その負の歴史を振り返り、今年の交流戦で並いるパリーグの好投手たち(則本、瀧中、髙橋光成、平良、森唯斗、山下舜平大、宮城、上原、加藤貴之、カスティーヨ、佐々木朗希)との対決を勝ち進んだ今年のチームの充実を改めて感じる。



世間では交流戦優勝程度のことであまり浮かれるな、と言う方もあろうかとは思う。


しかし、私はこうした節目ではしっかり喜んでおくべきだと考えている。


そもそも人間の脳は、大きな幸運一つよりも小さな幸せが沢山あった方が幸福感を覚えるようにできているらしい。ひょっとすると、人間が勤勉であり続けるために埋め込まれた仕組みなのかも知れない。


という事で、私は交流戦優勝を祝って去年ベイストアで購入した青いダルマに、早速、片目を入れた。


もう一方の目はリーグ優勝として、もし日本一になったらどうするのかと言うご懸念もあるだろうが、ナーニ、そうしたらもう一個ダルマを買えば良いだけのことですよ。


上述したように、小さな幸せを沢山喜ぶことにしているので、何だったらこのダルマを1ダースほど仕入れて、阪神に三連勝したら目を入れる、など普段使いする手もあるな。


そうだ、そうだ。明日ベイストアに行ってみよう。



【MVPは誰の手に】


NPBのサイトには、交流戦のMVP選出基準として、12球団で最も活躍した選手と書いてあるだけで、具体的にどのようなプロセスで決定されるかは明らかになっていない。


しかし、歴代のMVPを見ると、過去17回のうち優勝チーム以外からMVPが選出されたのは2018年にヤクルトが交流戦優勝を果たした際に当時オリックスの吉田正尚がMVPに選出された1例があるのみである。


一方で、今年はベイスターズを含む4チームが11勝7敗で並ぶ歴史的な混戦であり、優勝したベイスターズも圧倒的な成績ではなかったため、優勝というチームとしての結果がどれほど個人の表彰に影響を及ぼすかは不透明なところもある。


優勝チームと言う枠を取り払うと、本塁打1位(8)、打点1位(19)、打率2位(.383)の岡本和真が最有力だろう。チーム自体も11勝7敗と首位に並んでおり、TQBで決着したベイスターズの優勝と言う少しモヤモヤした部分に対してバランスを取る意味でも、巨人の岡本和真がMVPと言うのはありそうな話だ。


ただし、彼以外には優勝に貢献したベイスターズの選手たちを抑えてMVPを獲得するほどの目覚しい成績を残した選手は見当たらない。


ベイスターズからMVPが選出される場合には、以下の選手たちが候補になるだろう。



牧秀悟 打率 .380(3位)、本塁打2本、打点13(8位)


宮﨑敏郎 打率 .345(8位)、本塁打4本(5位)、打点15(2位)


トレバー・バウアー 3勝0敗(勝利数1位タイ)、完投1(1位タイ)、防御率 1.50(5位)、奪三振31(1位)


打者に関しては、数字なら宮﨑、フルイニング出場してチームの優勝に貢献したと言うことを重視すれば牧ということになる。



バウアーは防御率以外の多くの指標で1位であり、髙橋光成、山下舜平大といった強力な相手投手に投げ勝ったことも加味すると、岡本和真に匹敵するような働きだったと思う(そもそも投手と野手を同じ物差しで比較することなどできるはずもないのだが)。


注意すべき点は、2試合で22の三振を奪っている中日の髙橋宏斗が今夜の楽天戦に先発予定で、10以上の奪三振を記録するとバウアーの31を上回るということだ。


話題性も考慮して、奪三振数で髙橋宏斗に抜かれなければトレバー・バウアーがMVPに輝くと言うのが私の予想だが、果たしてどうなるだろうか?



【遠藤メンタルスキルコーチの働きと「あなたらしさ」】


昨シーズン、コーチ陣が一新された際に日本のプロ野球では珍しいメンタルスキルコーチとして遠藤拓哉さんが招聘されたと言う記事は読んだ記憶がある。


しかし遠藤さんの経歴や仕事の内容についてはほとんど知らなかった。


交流戦優勝が決まった直後の今日、彼に関する記事が出たので、この機会に少し調べてみた。


遠藤さんは福島県出身で相馬高時代にサッカー部の主将を務めたが、猛練習にもかかわらず結果が出なかったことからスポーツで勝つためのメンタルの重要性に興味を持ち、高校卒業後アメリカに渡ってスポーツ心理学を学んで帰国後資格を取得している。


メンタルスキルコーチとしては、日本女子ソフトボールチームに5年間帯同し、2022年東京オリンピックでの金メダル獲得に貢献した。


そしてベイスターズへ。東京オリンピックでの決勝の舞台が横浜スタジアムだったことも何かの縁だろうか。


ベイスターズの桑原義行育成部長は、


「一人でも多く、自分でマインドを整えられる選手が育てば、チームは勝手に勝つ。


今年だけでなく、来年、再来年の優勝にもつながるように」


と言う期待を込めて遠藤コーチを招聘した。


遠藤さんは選手一人一人の言動や振る舞いを日常的に見続けて、少しでも気になる点があれば一対一で話し込んでストレスの軽減や負の感情の抑制に努めると言う。


こうした心のケアで実力を発揮し続けることができる選手も多いそうで、例えば今年中日から入団した京田陽太選手は移籍直後の気負いから本来のプレーが出来なくなっていたところ、遠藤さんと深い話し合いをした事で気持ちが軽くなり本来のプレーを取り戻すことができたとのこと。


遠藤コーチは就任時から、勝つチームになるために、感情のコントロールを選手たちに意識づけてきたそうで、「野球ほど、試合中に立ち止まって考える競技はない。その間に、どう気持ちを切り替えるか」が重要と語っている。


今年話題になっているやる気スイッチは、そのアプローチの一つだという。


この直径30cmほどの円盤はホームゲームは勿論、遠征先にも持参して、試合中に選手が気持ちを切り替えるために触れているらしい。


勝利した試合後に、その日のヒーローがこのスイッチに星のシールを貼るセレモニーも定番となり、選手皆がそれを目指すようになった。



そう言えば、球団公式のSNSで勝利後ベンチに帰ってくる選手たちに、ナイスゲーム、ナイスゲーム、ヒーロー、などと声をかけているやや厳つい顔立ちの人が居るな、とは思っていたが、あの人が遠藤さんだった。


遠藤さんが来てから、ベンチでの声出しも変わったそうで、チャンスなど緊張する場面では、ベンチにいる選手たちが口々に、


「あなたらしさー」


と声をかけ、結果を求めすぎず、興奮状態でもいつもの自分に戻って実力を発揮してベストのプレーをすることに集中できるように促す。


こうした遠藤さんのアプローチが功を奏して、今週末から再開されるリーグ戦でも各選手が彼らしさを前面に出したプレーを見せてくれることを祈っている。