mizuyashikiのブログ

横浜ベイスターズを中心にその時に考えていることを書きます。

普段の野球で対阪神三連勝 首位浮上は通過点に過ぎない




交流戦が終わりリーグ戦が再開して最初となるこのカード。


いきなり阪神とのゲーム差2.5で始まる首位攻防戦は、ベイスターズが今永昇太、東克樹、トレバー・バウアーの三本柱を投入する本気モードだったのに対して、タイガースは未だ勝負どころではないと言う判断で勝ち頭の村上、大竹両投手は温存して臨んだ。


ベイスターズも短期決戦モードのような無理をした投手起用ではなかったが、合理的な範囲でベストの選択をした以上、スイープを狙うのは当然だった。


そして、プロ野球と言う拮抗した勝負の世界では、狙っても首位のチーム相手に三連勝をするのは容易なことではない。


しかし、今回、ベイスターズはその難しい課題をきっちりとやり遂げて見せた。


しかも、選手起用、戦術共に特別なことをした訳ではなく、いわば普段通りの野球で普通に3回勝って首位に浮上したと言う印象。


このことに価値があると思う。



【スタメンと試合経過】


今日は試合開始前にベイスターズの交流戦優勝そして牧秀悟選手の優秀選手賞の表彰が行われた。あの暗黒時代の悲惨だった交流戦と比べると、まさに隔世の感がある。



20日のイースタンリーグ、ヤクルト戦から中4日となるトレバー・バウアーが先発。


ふくらはぎの肉離れで抹消されていた桑原将志が今日一軍に合流し、そのまま2番センターでスタメン出場した。


ショートには久しぶりに森敬斗が入り、バウアー投手とのコンビネーションもかなり良くなってきた伊藤光が今日もマスクを被る。


1番 関根大気(ライト)

2番 桑原将志(センター)

3番 佐野恵太(レフト)

4番 牧秀悟(セカンド)

5番 宮﨑敏郎(サード)

6番 N. ソト(ファースト)

7番 森敬斗(ショート)

8番 伊藤光(キャッチャー)

9番 T. バウアー(ピッチャー)


試合が動いたのは2回裏、一死から宮﨑敏郎が阪神先発の才木投手の外角のストレートを右におっつけてライトフェンス直撃のツーベース。



さらに、ソトの三遊間を破るヒットと森敬斗が9球粘って掴んだフォアボールで一死満塁。ここで打席に入った伊藤光がこれまた9球目をライトに運んで犠牲フライ。


三塁走者が宮﨑だったこと、浅いフライだったことを考えるとホームに突っ込ませたのは賭けだったが、二死満塁で打者バウアーと言う状況との比較でこちらを選択した。


結果的には、ライト前川の中継への送球が逸れたこともあり、宮崎はセーフとなって1点を先制した。交流戦で失点0だった好投手の才木から早々に先制点を奪えたことがこの試合の一つのポイントだったと思う。


続く3回裏にも先頭の関根大気がライト前ヒット、続く桑原将志がフォアボールを選んで無死一、二塁となって、3番佐野恵太が才木投手の1-1からの3球目、真ん中高めに甘く入ったストレートをライトに弾き返した。



関根がセカンドから生還して2点目、そしてこの間に桑原もサードまで進んだことが大きかった。


4番牧は初球をレフトに運び、これが犠牲フライとなってさらに1点追加。3-0とリードを広げた。


5回表には二死一、二塁から前川、大山の連続タイムリーで3-2と追い上げられた。


2点目となった大山選手のポテンヒットは反省点。ショート後方の飛球に森敬斗が早々と手を挙げ、追い続けたが追いつくことができずヒットとなった。


初めから桑原に任せれば十分に捕球できたフライだった。プロ4年目になった森はもう少し大人の判断ができるようにならなくては、大事な試合で使うことが難しくなってしまう。


しかしその裏、こちらも二死から牧秀悟のセンターオーバーのツーベースに続いて宮﨑敏郎の右中間を破るタイムリーツーベースで4-2と突き放す。


さらに、6回には二死一、三塁で佐野恵太が阪神2番手の石井投手の真ん中のストレートをレフト前に落として5点目を挙げた。


7回表無死二、三塁のピンチで近本選手のショートゴロの間に一点を失ったが、その回途中で降板したバウアーに代わったウェンデルケン投手が見事な火消しで追加点を許さなかった。


その後、8回は伊勢大夢、9回は山﨑康晃がそれぞれ三者凡退で乗り切り、5-3のままベイスターズが勝利。


全員がやるべきことをやってしっかりと勝ち切ってゲーム差0.5ながら阪神をかわして首位に浮上した。



【打線の得点メカニズム】


このところ、相手投手が強敵である時ほど、打線がよく機能している。


好投手を相手に、データをしっかりと分析した上で、石井琢朗コーチや相川亮二コーチが攻略法を考案し、それをチーム全員が徹底し、実践しているのだろう。


今日の試合でも、才木投手の低めのフォークに誰も手を出さず、しっかりと見送って打者有利のカウントにすることに成功していた。


そして、高めに浮いたストレートを見逃さずに一球で仕留めると言うアプローチが何度も功を奏した。


1番関根、3番佐野、5番宮﨑、8番伊藤光がマルチヒット(宮﨑は猛打賞)、4番牧と6番ソトにもヒットが出ている。


打順のどこからでも攻撃を仕掛けることができ、そしてクリーンアップが勝負強く打点を挙げる。


クリーンアップの前が凡退しても、今日の5回裏の攻撃のように二死から牧と宮﨑のツーベース2本で得点を入れてしまう。犠牲フライでも着実に加点する。


こうした引き出しの多い打線は相手バッテリーから見て非常に厄介だと思う。


来週はカープの床田投手、森下投手と言うやや苦手としているマッチアップが予想されるが、彼らに対してもチームとしての戦術を明確にし「束になって」攻略することができれば、三浦監督の掲げる交流戦以降オールスターまでの21試合を最低でも13勝以上と言う目標を達成することができるだろう。



【ブルペンの再建】


交流戦の優勝は先発投手たちの安定と打線の活躍によるところが大きかったが、その一方、勝ちパターンのリリーバーには不安が残る状態のままリーグ戦再開となった。


このカードの初戦と第二戦はいずれも先発が完投、完封し、ブルペンの出番はなかったが、今日はウェンデルケン、伊勢大夢、山﨑康晃の3投手がそれぞれの役割をきっちりと果たした。




特に、伊勢投手は交流戦で自慢のストレートが打たれるシーンが目についたが、交流戦最後の試合から5日の間に良い休息と必要な調整を行うことができたようだ。


8回表のタイガースの攻撃を13球、三振二つで三者凡退に抑える活躍で、我々がよく知っている頼りになる伊勢大夢が帰ってきたことを印象付けた。


好調を持続する上茶谷大河、森原康平、入江大生にウェンデルケン、そして、エスコバー、伊勢大夢、山﨑康晃が復調となると、優勝争いでも一歩も引かない本当に層の厚いブルペンが構築できる。


あとは、三嶋一輝の調整と、今日抹消された坂本裕哉に代わる左の中継ぎ(恐らく田中健二朗か石川達也)の1軍登録でブルペンの再建作業は完了することとなる。



【トレバー・バウアーのFLWRサイクル】


今日のバウアー投手は、


6回1/3、113球、被安打7、奪三振7、与四死球4、失点3


と言う内容で、試合後のインタビューで本人も語っていた通りあまり調子は良くなかったようだが、来日後の登板で初めてホームランを一本も許さなかった試合となった。


来日後初めての先発登板となった5月3日の広島戦以降、良い時ばかりではなく、色々と紆余曲折があったが、彼は一貫して日本の野球を学び、そこで適応して結果を残すべく最善の努力を続けてきた。


そして、YouTuberでもある彼が内幕を公開することで、そのプロセスを我々ファンも共有しながら歩んでいくことができる。今までにないプロ野球の応援スタイルが実現されようとしていると思う。


今日の試合を見ても、ストレートと変化球を低めに集めようとする一貫した意思が感じられたし、課題となっていたクイックモーションも大幅に改善されていたと思う。


試合前の岡田監督の談話では走りまくる、と言うことだったが、実際には一つの盗塁も許さなかった。


今日公開されたバウアー投手の単独インタビューで彼が語っていた次の言葉はシンプルだが、非常に強く印象に残った。


Fail


Learn


Win


Repeat


つまり、最初は失敗し、そこから学んで改善して勝つ、そしてこのプロセスを繰り返す、と言うのが彼のアプローチだとのこと。



PDCAサイクルというものがあるが、これはFLWRサイクルとでもいうべきもので、彼はMLBでもこの努力と工夫を飽きることなく繰り返してサイ・ヤング賞にまで上り詰めたのだろう。


そして今度はNPBで沢村賞を目指し、同じ精進を続けている。


これからも彼の活躍とYouTubeから目を離すことのできない日々が続くことになりそうだ。