mizuyashikiのブログ

横浜ベイスターズを中心にその時に考えていることを書きます。

2人の孝行息子は今やチームの大黒柱になった




甲子園での阪神戦に連勝した勢いを保って広島に乗り込んだベースターズの先発は、ここまで14勝(2敗)で10連勝中の東克樹を中5日で起用した。


対するカープの先発は9連敗しておりベイスターズにとって天敵の大瀬良大地。


初回、先頭の大田泰示が7球粘って歩くと、二死2塁の得点機に牧秀悟が打席に入る。


大瀬良投手は内外角のコース一杯に続けてストレートを投げ込み、あっという間に0-2と追い込まれた。


しかし、ここからが好調の牧選手の凄みで、低めのカットボールとフォークを見切ってフルカウントにまで漕ぎつけた。


大瀬良投手のペイオフピッチはストレートだったが、最初の2球ほど厳しいコースには投げきれず、真ん中やや低めに入った。


牧はこのボールを見逃さず、やや掬い上げるようなスイングで打ち返した。



打球はグングン伸びてマツダスタジアムの左中間スタンドに飛び込む先制のツーランホームラン。


ホームでのCS開催に希望をつなぐためには絶対勝ちたい大事な試合で幸先良く2-0のリードを奪うことができた。



初回から2点の援護をもらった東克樹はあまり固くならずに投げることができた。




5回裏に末包選手のライトオーバーのツーベースヒットを打たれるまでカープ打線をパーフェクトに抑えた。


西川、野間、菊池、秋山といった主力組が離脱中とは言え、得点力の高いカープ打線を支配することができるのは、今シーズンの東克樹が投手として一段上のレベルに上がっているためだろう。


ストレートのキレと全ての変化球の精度が高いのはもちろんだが、それに加えて、ピッチングのコツとでも言うべきなのだろうか、打者との駆け引きの部分でも優位に立てるようになったことが大きい。


高低、左右、緩急、投球の間合いなど様々なバリエーションを駆使してバッターの予想をことごとく裏切るような配球を見せた東-山本祐大バッテリーの総合力でもある。




7回には、二死一、二塁のチャンスで自らタイムリーヒットを放って3-0とリードを拡げた。


ピッチャーはカープの2番手矢崎投手だったが、ストライクゾーンにギリギリ入った低めのフォークボールを何とかバットに当てると、フラフラっと上がった打球はレフト戦ギリギリのフェアゾーンに落下した。


試合後のコメントによれば、フォークボールを待っていたとのこと。



しかし、その裏には思わぬ展開が待ち受けていた。


先頭の矢野選手は完全な打ちとった当たりだったが、背走するセカンド牧のグラブのわずか先でバウンドしたポテンヒットで矢野はセカンドに達した。


さらに、続く小園選手の打球もボテボテのゴロだったが嫌なコースに転がってファーストのソトが何とか捕球したもののファーストはセーフ。


ソトがボールを握り直す間に俊足の小園がファーストベースを駆け抜けた。東のベースカバーも一瞬遅れたように見えた。


無死一、三塁で打席に入った堂林選手も打ちとった当たりだったが、ショート林琢真は捕球するのが精一杯で内野安打となった。


その間にサードランナーの矢野選手が生還して3-1と2点差に迫られた。


なおも無死一、二塁のピンチ。


しかし、ここで東がギアを上げた。


5番末包選手には粘られはしたものの、8球目をアウトコースの逃げながら沈むチェンジアップで空振り三振。


続くマクブルーム選手は内角の速球を続けて追い込み、2-2から低めのストレートでライトフライに打ちとった。


さらに、デビッドソン選手に対しては、0-2と追い込んでから外角のチェンジアップを絶妙な制球で決めて空振り三振。


不運な当たりが続いて思わぬピンチになったが、ここを最小失点で切り抜けたのは大きかった。


この回のピッチングはまさに「勝てる投手」そのもので、慌てず騒がず、自信を持って冷静に自分のボールを投げ込んでいた。



昨日の報道で、今永昇太が東克樹のことを「僕にないものをたくさん持ったお手本となる投手」と言っており、


「東は味方に点を取ってもらった次の回だとか、この回は点を取られそうだなというイニングで、必ず相手を抑える。そこに、僕と東のものすごく大きな差があるんです」


とコメントしていたが、この回の東のマウンドさばきはこの今永昇太の言葉を裏付けるものだった。


東はこの回でマウンドを降り、7回、92球、被安打4、奪三振8、与四球0、失点1でまたまたHQSを達成した。


8回からはウェンデルケン、森原康平がピシャリと抑えて、3-1のままゲームセット。


広島とのカード最終戦を快勝で飾り、ゲーム差1にまで詰めよった。


ジャイアンツが阪神に逆転負けしたため、4位との差は3.5に拡がった。


未だCSが確定したわけではなく、これから更に厳しい闘いが待っていることと思うが、今日の勝利はホームでのCS開催の望みをつなぐ価値ある一勝だった。



それにしても、今シーズンは東克樹が投げ、牧秀悟が打って勝ったと言う試合が目立つ。


8月11日の巨人戦でも東克樹が好投していたが、1-1の8回裏に長野選手にソロホームランを打たれ一時は1-2とリードを許す展開になったところ、1点を追う9回1死一塁で中川投手の初球を捉え、起死回生の逆転左越え19号2ラン。


その時の牧のコメント。


 「東さんが好投していたのに、なかなかヒットも出なかったですし、点に結び付く形もなかった。チャンスは1球しかないと思ったんですけど、その1球を打てたので良かった」


同点の8回に長野に勝ち越しの被弾を許し落胆した東が続く吉川に一塁内野安打と二盗を許すと、牧は二塁から東に近寄り「いいボールがいってますよ。粘りましょう」と励まして、東は後続を断っていた。


ベンチで俯いていた東は、牧の逆転ツーランにベンチから飛び出し、喜びを爆発させると、その後は人目をはばからず泣いていた。



「本当に報われたと思った。


牧がベースを1周している間にどんどん込み上げてくるものがあった」


今日は試合開始直後の牧秀悟のツーランが東に余裕をもたらした。


素直な中にもブレない自己の強さがあると言う点では共通点のあるこの2人は、チームの孝行息子と言うような印象で見ていたが、フト気がつけばもう押しも押されもせぬチームの大黒柱になっている。


これから当分の間はこの2人がベイスターズを攻守で引っ張って行ってくれることだろう。


今日の試合を終えて、私には東克樹と牧秀悟がホーム横浜スタジアムでのCSに連れて行ってくれる未来が鮮明に見えたような気がした。