mizuyashikiのブログ

横浜ベイスターズを中心にその時に考えていることを書きます。

DeNAベイスターズは今どこに向かおうとしているのか?(後編)





テレビの解説者の方からはDeNAの強力打線と言われることがいまだに多い。


失礼だが、これは最新のデータを勉強されていないか、あるいは気を遣っていただいてのことだと思う。


打線の破壊力という意味では、筒香、ロペス、宮﨑、梶谷と揃っていた2017年日本シリーズ進出時に及ぶべくもない、というのが実情だ。


現在の打線の中軸は、宮﨑敏郎、牧秀悟、佐野恵太というあまり足の早くない中距離ヒッターであり、以下の二つの点が補強ポイントであることは誰の目にも明らかだと思う。


(1) 機動力のある外野手(トップバッター候補)


(2) 長距離砲



”DeNAベイスターズは今どこに向かおうとしているのか?”というタイトルで記事を書いてきたが、最終回となる今日はこの二つの弱点に対してどのように萩原さん主導の編成が梃入れして行くのかを見てみたい。


まず、2011年以降の主な野手(ドラフト上位指名選手及び下位指名ながらレギュラーか準レギュラーにのし上がってきた選手たち)のドラフト指名状況を整理してみよう。



目につくのは遊撃手の指名が非常に多いことだ。


2012年の白崎浩之、2019年の森敬斗をドラフト1位で指名したのをはじめとして、2014年倉本寿彦、2015年柴田竜拓、2016年松尾大河、2020年粟飯原龍之介、2021年林琢真と5人を3位で指名している。


アマチュアの遊撃手といえば、内野手の中で最も身体能力に優れた選手が担当する、いわば花形であるため、指名が多いことは理解できる。


実際、ショートとして入団してその後二塁手や三塁手などにコンバートするというのは良くあるパターンだが、逆は非常に少ない。


上位指名された歴代の遊撃手を眺めてみると、白崎選手がレギュラーに定着できなかったこと(新人年から一軍に帯同することで基礎を固めることができなかったという評もある)、森敬斗が度重なる故障もあって首脳陣の期待に沿うようには成長していないことが目立つ。


しかしながら、このポジションについてはなかなか外部からの補強等のが難しい(大和有難う!)ため、編成担当としても来季は背水の陣で臨む森敬斗と林琢真の競争による底上げに期待しているということだろう。


今回のドラフトで打った手は東洋大の石上泰輝選手を4位で指名したこと。


身長は172cmと小柄だが、体重85kgと筋量の多いがっちりした体型で打撃についても小技というよりは広角にしっかりと打ち返す力があるようだ。


それでいて50m5.9秒の走力と遠投120mの肩もあるということなので、森林コンビもうかうかとはしていられない。


このポジションについては非常に適切な補強をしたという印象がある。



続いて、キャッチャーについては、山本祐大が課題の打撃で開眼(レーシック)して正捕手の座を掴みかけている。


伊藤光、戸柱恭孝の二人のベテランが残留することも決定しているため、山本捕手を中心にこの二人を組み合わせて回して行くことで大きな問題はないだろう。


ドラフト1位の新人、松尾汐恩は新人年からイースタンで出色の成績を残しており、打撃に関しては一軍レベルにかなり近づいていると言って良い。


上に書いた通り、来年については一軍の捕手3人体制がしっかりしているため、よほどのことがない限り彼はファームで捕手としてのスキルアップに精進することになるだろう。


後半に昇格してスタメンマスクをかぶる試合があるかも知れない。


セカンドの牧秀悟、サードの宮﨑敏郎は固定で考えて良い。


宮崎については、今季のように適宜休養をとって知野直人あたりが出場経験を積んでいくことになるかと思われるが、知野選手自身も打撃で何かを掴みつつある気配があり、ここで一気にブレイクする可能性も感じる。


ファーストは予想が難しい。


後述するように外野手の補強が進むと予想されるため、レフトの守備に難のある佐野恵太をファーストに専念させるというのが基本線だとは思うが、有鈎骨摘出手術を受けているため、来季の開幕から本来のバッティングを見せることができるかどうか、やや不安がある。


また、手術から復帰するタイラー・オースティンが一塁を守るのか、あるいはスローイングも問題なくライトを守ることができるのか、そしてネフタリ・ソトが残留するのか、といった要素が絡んでくる。


ソト選手については、実は骨折をおしてプレイしていたそうで、今オフに手術を受けてリハビリ中であると言うことも考える必要がある。



しかし、逆に言えば、この状況でMLB等も含め他球団が好条件のオファーを出すことは考えにくいので、私は大幅な減額であってもベイスターズに残留する可能性は高いと考えている。


さらに、一塁手の問題は上記の補強ポイント(2)長距離砲とセットになっていると言っても過言ではない。


長距離砲の候補は、現有勢力で言えばタイラー・オースティンとネフタリ・ソト、そして新たに獲得する可能性のある外国人選手と言うことになる。


新外国人については、ジェイク・ケイブ選手がベイスターズのインスタグラムをフォローしたと言う話が出ており、動画を見ると走攻守ともに期待できるかなり良い選手だと思っていたのだが、フィリーズと契約して来季もMLBでプレイすることが決まったらしい。


もう1人名前が出ているのはベイスターズとソフトバンクが獲得に乗り出していると言う噂のあったフランミル・レイエス選手。


レイエス選手はドミニカ出身の28歳で196cm、125kgの巨漢外野手。



メジャー通算108本塁打で年間30本以上を打ったシーズンが過去2回あることからもわかる通り、パワーに関しては申し分ない。


しかし、近年はウェイトオーバーで守備がかなり劣化しており、肝心のバッティングの方も外角の変化球を空振りすることが多く不振に陥っていると言う噂もある。


私の感想としては、NPB向きでは無いように思う。


その他、素行にやや問題はあるが守備も含めて実績のあるプイグ選手なども噂は以前からあるが、どうなるだろうか?


12月上旬に行われるメジャーのウィンターミーティングあたりから動きが本格化することになるだろう。


火の無いところに煙は立たぬ、と言うが、前述したジェイク・ケイブ選手のインスタフォローの件はやはりベイスターズ側から何らかのアクションがあったことを意味していると思う。


つまり、萩原さんたちは、ソト選手が残留する場合でも第三の外国人野手としてかなりレベルの高い従って高額の選手の獲得を画策していると見て間違いないと思う。


そんなに高い外人選手を沢山とってどうするんだ、と言う向きもいらっしゃるとは思うが、長いシーズンを戦い抜いて優勝するためには分厚い選手層が必要なのだ。


ここでケチってはいけない。


最後に機動力のある外野手だが、これこそ今回のドラフト1位で度会隆輝選手を獲得した狙いだろう。


彼は即戦力としてオープン戦から積極的にチャンスを与え、うまくアピールできればそのままトップバッターでスタメン起用すると言う青写真を描いていることと思う。


1番度会、2番森あるいはその逆というようなドラフト1位入団の1、2番コンビがはまれば、その後ろに多くの強打者が控えているだけに、文字通り、DeNAの強力打線復活ということになる。


度会選手に関しては、CS前のENEOSとの練習試合でベイスターズ側から彼にサードを守らせてみて欲しいという要望を出していたそうで(度会選手は横浜高校時代は内野手だった)、宮﨑のバックアップあるいは後継と言った可能性も見ているようだ。



度会サード、ファースト宮﨑という組み合わせもあるかも知れない。


このように、彼の加入によって打線と守備の自由度が増すことを考えると、このドラフトは非常に有意義なものだったと言えるだろう。


逆に、神里和毅、蝦名達夫あるいは楠本泰史と言った今シーズン不調だった外野手たちは現役ドラフトの可能性も出てきたように感じる。


と言うわけで、DeNAベイスターズに今起きつつある変化について様々な視点から長々と書いてきたが、振り返って見ると、やはり萩原統括本部長をはじめとする球団経営陣の本気度が至る所に見えていると感じる。


新たな体制で死にものぐるいで優勝を目指すベイスターズの戦いは既に始まっている。