mizuyashikiのブログ

横浜ベイスターズを中心にその時に考えていることを書きます。

「横浜進化」は下からの突き上げで始まった





つい数日前にキャンプが始まったと思っていたら、今日(2月10日)、早くも紅白戦で実戦モードのプレイを見ることとなった。


白組の先発は一昨年のドラフト1位小園健太投手。


対する紅組はオリックスから移籍したアンダースロー右腕の中川颯投手が先発。


紅組のトップバッターは注目のドラフト1位度会隆輝選手(ライト)、続く2番ショートには同じくドラフト4位の石上泰輝選手が入り、3番はロマン砲と言う旧い呼び名を思い出す井上絢登選手が入りサードを任された。


さらに、復活を期す佐野恵太選手が早くもこの時期から白組の1番(DH)として先発出場し、今年にかける意気込みの強さを見せてくれた。


そう、未だ2月初旬の紅白戦とは言え、見どころ満載なのだ。


私はインターネット配信で観戦していたのだが、シーズン開幕に先駆けて久しぶりにプロ野球の面白さを堪能した(DAZN有難う!)。


特に注目したポイントをいくつか書きとめておこう。



【新人トリオの大活躍】


初回、紅組先頭の度会隆輝は小園健太の厳しいインハイのストレートとファウルで0-2と追い込まれたが、そこからコンパクトなスイングに切り替えてフルカウントまで粘り、ジャストミートではなかったものの、一二塁間をゴロで破るヒットで出塁。


フリーバッティングでは大きく振って飛ばすイメージが強かったが、試合ではミートを優先した実戦向きの仕様を見せてくれた。


追い込まれてから足を上げずに打つなど状況に応じた柔軟なバッティングができる非凡な新人であることは間違いない。


身体能力というハードウェアだけではなく、ソフトも一流だと思う。


たかだか1試合でという気もするが、即戦力としてレギュラーの座を掴んでくれる予感がする。


そう言えば、牧秀悟の新人の年も練習試合のホームランから快進撃が始まったのだった。


続く石上泰輝も、やや抜けた感じの小園のカーブに上手く合わせてライト前に運び、度会のそつのない走塁で無死一、三塁のチャンスを作った。


ここで打席に入った井上絢登は注文通りライトへの犠牲フライを放って紅組が先制。





ルーキー3人が躍動してあっという間に得点を挙げた。


三浦さんのやりたがっている野球を入団したばかりの3人の若者があっさりと実演してみせると言うのは偶々なのかも知れないが、ひょっとすると今年のベイスターズのチームカラーを決めるような重要な出来事だった可能性もある。


その後も、度会選手は2回にセンター前に抜けるクリーンヒットで打点を挙げ、さらに4回の第四打席では徳山壮磨投手のインコース低めのボール(ツーシーム?)を巧みなバット捌きで掬い上げてライトフェンス直撃のタイムリーツーベースとした。


もう少しボールが上がっていればスタンドインしていただろうと思われる大きな当たり。



度会選手は4打数3安打の猛打賞で2打点を挙げ、四球も選んで出塁率.800を記録した。


石上選手もツーベースヒットを含む3安打の猛打賞。


井上選手は初回の犠牲フライ以外にもヒットを放って存在感を示した。


彼らのプロ野球人生は未だ始まったばかりだが、3人揃って素晴らしいスタートをきったことは間違いない。


ベイスターズで複数の新人野手が活躍したことは記憶にないが、例えば2020年ドラフト1位だった佐藤輝明選手と同6位の中野拓夢選手が揃って活躍したように、この3人がチームの中心になる日が来るかも知れない。


3人ともどちらかと言えば打撃型の選手なので、守備で1軍レベルの精度と確実性を身につけることができるかが鍵だろう。



【明暗を分けた2人の先発投手】


白組先発の小園健太は力んでいたように思う。


ストレートの球速は先日のライブBPの折と遜色ないものだったが、制球に苦しみ、ストレートの球質も生命線のキレを欠いていた。


先頭の度会を2球で追い込んだまでは良かったが、初球で見逃しのストライクを奪ったインハイのストレートが少し外れるとボールが続くようになった。


フルカウントからのストレートは狙い打ちされたように見えた。


度会はライブBPでも小園と対戦しており、イメージはしっかりできていたのだろう。


最初のバッターにヒットを打たれてから流れを掴めないまま、2回被安打5、与四球2、失点2で降板するほろ苦い結果となった。


力んでいたせいで左肩の開きが早く、ややシュート回転するボールも見られた。


ピッチャーと言うのは繊細なものだ。しかし、彼はきっとこの教訓を活かしてより安定感のあるピッチャーに成長してくれるに違いない。


対する紅組先発の中川颯は初回先頭の佐野恵太に安打を許したが、こちらは立て直して2回を無失点で終えた。


アンダースロー特有の浮き上がるようなストレートと変化球のコンビネーションは打てそうで打てない、相手バッターからするとモヤモヤするタイプの投手だと思う。


特筆すべきは右打者のインローに沈んでいくシンカー。あれは皆、手こずるだろう。



今のところ先発で調整しているが、右の強打者に対してワンポイントリリーフでぶつけるという起用法もありそうだ。


投手王国のオリックスを戦力外となったが、これはチーム編成上の措置であり、実力のある投手だということが再確認出来た登板だった。



【がんばれ徳山!】


小園健太に続いてマウンドに上がった3年目の徳山壮磨が4回に捕まり、その回だけで7安打6失点と炎上した。


素人目には何が悪いのか明らかではないのだが、若手主体の打線に簡単に弾き返される。


特に、度会にインローのストレートをフェンス直撃のタイムリーツーベースとされたのはショックが大きかっただろう。


度会のインコースのバット捌きが素晴らしかった、と言ってしまえばそれまでだが、様々な球種を投げられると言うだけでは1軍定着は難しく、やはりはっきりとしたストロングポイントが無ければここまでの選手で終わってしまう。


大阪桐蔭、早稲田大学からドラフト2位でベイスターズ入団と野球エリートの道を歩んで来たが、ビハインドロングであっても今年1軍にポジションを得ないと立場はかなり厳しくなる。


その度会から空振りを奪ったフォークボールとストレートに的を絞って磨きをかけるなど、何か思い切った手を打つべき時が来ているように感じた。



【勝負をかける実力者たち】


レギュラーの座を掴んでから初めての不振に喘いだ佐野恵太選手は昨シーズンの最後、有鈎骨の手術と言う無念のエンディングを迎えた。


しかし、考えようによっては、この手術で身体の状態が万全となり、今シーズンの巻き返しの準備は整っていると言うこともできる。


順調にいけば今年FAの権利を取得することになり、残留するにしても権利を行使して移籍するにしても、選手としての自身の価値を高めるために今年にかける気持ちは強いはずだ。


その気持ちが形として現れたのが、代名詞となっていた極端なクローズドスタンスを廃し、スクエアな構えに変えると言う決断だ。


2月初旬の紅白戦から先発出場すると言うのは彼のクラスの野手としては例外的だと思うが、これもやはり手術の影響で遠ざかっていた実戦の感覚を早く取り戻したいという意欲、そして新しい打撃フォームを実戦モードで試したいという意図があるからだろう。


今日の紅白戦では2安打を放つなどまずまずの結果だったと思う。


スクエアスタンスの方がボールに素直に手が出ているように見えたが、本人も好感触を掴んでいるのではないだろうか。



もう一人、昨シーズン悔しい思いをした京田陽太選手も昨日の休みに志願して打撃練習を行うなど気合が入っている。


ボールを引きつけて打つフォームにしていたところ打球速度が落ち、本人によると「今永さんより下だった」とのことで、もう少し前さばきにして打球速度を上げるのが現在のテーマとのこと。


紅白戦では彼も2安打を放ち、フォーム改良の効果が出ているのかも知れない。


加えて、二つの盗塁を決めるなど元気でプレイしており、本来であればプロ野球選手として最も脂の乗る時期(今年で30歳)だけに、是非、2度目のブレイクを今シーズン果たして欲しい。


12日には宜野湾にドラゴンズを迎え、今季初の対外試合が行われる予定だ。


これから開幕に向けて調整が加速し、2024年のベイスターズのチームの形が見えてくることだろう。


頑張れベイスターズ


勝っても負けても、いつでもどこでも、ずっと応援している。