度会隆輝という新しい星
もはや啓蟄だと言うのに昨日の関東地方は気温が上がらず、雨も降り始める中、横浜スタジアムでロッテとのオープン戦が行われた。
今シーズン初めての横浜ベイスターズの先発は大貫晋一。
握りを深くした新ツーシームを含め、スプリットやスライダーなど各種変化球を取り揃えている投手だが、この日はその全てを投げた。いや、試していたというべきか。
外角のスライダーを指に引っかけて叩きつけてしまい、ワンバウンドしたボールを捕手の松尾汐恩が弾いて走者を進めるというプレイがあり、これが失点につながってしまったが、それ以外は本人も満足できる出来だったかと思う。
私はインターネット配信で見ていたが、ストレートが良かったように感じた。
最速147キロ程度だったと思うが、球質が良く、力もあって打者を押し込めていた。
やはり、このストレートがあってこそ、変化球が生きるのでこの状態を維持し、気温の上昇とともにさらにレベルアップして行って欲しい。
新人の松本凌大投手も良かった。
右サイドのやや変則的なフォームから150キロを超える力強いボールを左打者のインコースに投げ切る。
カットボールやスライダーに加え、良いシンカーも持っているので、奪三振能力も高そうだ。
一点リードの場面で登板しても落ち着いて自分のピッチングが出来ていたので、メンタルも心配無いように思う。
最初の打者、これも新人の上田選手に内角のカットボールを思い切り引っ張られたがファーストに入っていた京田陽太のファインプレイに助けられた。
この打球が抜けていればノーアウト二塁だった訳で、こうした状況でも同じような投球ができるかどうかと言うところが彼のプロ野球での値打ちを決めていくことになるのだろう。
今シーズンはこれからも彼の投球を見る機会が多いと思うので、注目して行きたい。
対照的にあまり良くなかったのが、中川虎大と石川達也の左右のリリーバーだった。
中川投手はこのところ打ち込まれた試合が続き(守備に足を引っ張られる不運もあったが)、その上、今日の連続四球というのは首脳陣の印象も良く無いだろう。
そろそろファームで再調整と言う指示が出るかも知れない。
石川投手はエスコバーが抜けた後の貴重なリリーフ左腕ということでまだチャンスは与えられるだろうが、ストライクを取るのに苦労しているようでは厳しい。
代わりばなにヒットを打たれて自分のボールを疑ってしまったように見えた。
ストレートの球威はある、いや、昨年より良くなっているように感じたので、あとは変化球で安定してストライクをとれるようになるかがポイントだろう。
試合の方は2-1リードして迎えた9回表に二死満塁から石川が11球粘られて押し出しのフォアボールを出してしまい同点に追いつかれ、そのまま引き分けで終わった。
オープン戦なので、勝敗はまあ良い。この経験を公式戦で活かしてください。
野手の方では、スクエアスタンスに変更した佐野恵太が初回ランナーを三塁においてロッテ先発の西野投手の初球、外角に沈む変化球を叩いて左中間を破るタイムリーツーベースを放った。
フォームを変更してから逆方向に強い打球が飛ぶようになった。本人の意識としても広角に打つことを心がけているように見える。
以前のセカンドゴロ地獄から抜け出して、今年の佐野はやってくれそうだ。
今日の打線は、1番度会、2番オースティン、3番佐野、4番牧、5番宮﨑と言う並びだったが、この中で佐野恵太が打率3割越えの実力を発揮してくれれば破壊力は申し分ない。
そしてもう一つ鍵を握るのはタイラー・オースティンの復活だが、こちらはもう少し時間がかかりそうだ。
外角のストライクゾーンから逃げて行くスライダーを空振りして打ちとられる同じパターンが続いているが、このボールを見切り、もう少し内側に甘く入ったボールを仕留められるようになれば彼本来バッティングを取り戻すことができるだろう。
ナニ、そう遠い話じゃあないぜ。
さて、この試合で私が1番書きたかったのは度会隆輝君のことだ。
多くの解説者たちが書いていることだが、バッティングフォームに癖や力みがなく、バットを鋭く滑らかに振ることができている。
非常にコンパクトに回転してインコースも上手く捌くし、そしてフォロースルーが大きく長打も生み出す力がある。
横浜高校時代からバッティングの良さには定評があったようだが、フォームについては既に完成されており、21歳にして円熟と言っても良い状態にあるのではないだろうか。
宮﨑俊郎がバッティングフォームは小学生の頃から全く同じ、と以前語っていたが、度会選手も同じような早熟の天才打者なのだと思う。
今日は第一打席で西野投手から内野安打で出塁し、その後二盗も決めて前出の佐野恵太のツーベースでホームを踏んだ。
第二打席は三振に倒れたが、二死一塁で迎えた第3打席では、ロッテの新外国人投手ダイクストラ投手の150キロ超の外角高めのストレートを逆らわずに強振して右中間を破るタイムリーツーベースヒット。
ストレートの速い投手なので始動を早くして振りまけないことを心がけた、と本人が試合後にコメントしていたが、このように打席でやるべきことをきちんと整理できていることが彼のプロ野球選手としての適性を物語っていると思う。
この辺りのメンタル面での賢さは牧秀悟の新人の頃とも重なるように思う。
そして、何と言っても度会隆輝選手には花がある。
こればかりは練習して身につくものではなく、持って生まれた資質だと思うので、スター選手になるべくして入団してきたと言えるだろう。
牧秀悟の新人の時がそうだったように、今年は、また度会やった、と言って喜び機会が増えそうだ。早くもそう思わせてくれる横浜スタジアムデビュー戦だった。
度会選手に加え、好投を続ける松本凌大投手、同じ日に横須賀で行われた教育リーグでジャイアンツの好投手たちから結果を出した石上泰輝と井上絢登も加えて、今年のルーキーたちの活躍は本当に見ていて楽しい。
このまま4人で新しいベイスターズを創っていってくれ。
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