mizuyashikiのブログ

横浜ベイスターズを中心にその時に考えていることを書きます。

東克樹とアンソニー・ケイの違いは結局何だったのだろう





ホームゲームの対ヤクルト3連戦の初戦は3-1で逆転勝ち、先発の東克樹に勝ちがついた。


0-0の2回表にサンタナのフラフラっと上がった飛球をライト度会が完全に見失い、不運なツーベースヒットとなってその後、進塁打と犠牲フライで1点を先制された。


東としては全て打ちとった当たりで1点を失った訳なので、内心は腹も立っていたことと思う。


さすがに憮然とした表情をしていたが平静を保ち、後続を打ちとった。


その後、ベイスターズ打線は佐野恵太と度会隆輝のタイムリー、そして押出しで3回から5回まで1点ずつ加点し、3-1と試合を優勢に進めた。



東は細かい制球に苦労しているようであまり好調ではなかったが、それでも3回以降無失点で切り抜けた。


特に、6回表無死一、二塁のピンチでは注文通りの併殺打の後、村上宗隆をレフトフライに打ちとり失点を許さなかった粘りは印象的だった。この粘りがチームの勝利を引き寄せたのは間違いない。




一方、第二戦は2-0から逆転されて2-5で負け、敗戦投手は先発したアンソニー・ケイだった。


立ち上がりのケイ投手のピッチングは素晴らしく、初回を3人で終えるとその後も最速158キロのストレートとチェンジアップ、そして曲がりの大きいスライダーでヤクルト打線を全く寄せ付けなかった。


6回表も二者連続三振でツーアウトとしたが、その直後、塩見選手がしぶとくセンター前に落とすヒットから暗転した。


続く2番には村上宗隆が入っていたが、この起用がズバリとハマって7球目のスライダーを見送って四球を選ぶ。


ところで、このスライダーはストライクで村上宗隆は三振だったと思う。まあ、そんなこと言っても仕方ないんですけどね。


と言うか、球審のボールコールは絶対なので、投手は自分自身のためにもさっさと切り替えなくてはいけないのだが、ケイ投手はそれが出来なかったように思う。


悔しさを露わにしてマウンド上で2度ほど飛び跳ねていた。


そして、続くオスナ選手にショートの頭上を超えるしぶといヒットを打たれ1点を失ったところで降板した。



ベンチに戻ったアンソニー・ケイはグラブをベンチに叩きつけて悔しがっていたが、その気持ちはオジサンも良く分かるよ。


まあ、性格の違いと言ってしまえばそれだけのことかも知れないが、味方の拙い守備や審判の判定など自分の力ではどうにもならないことから失点した後の振舞いが東とケイでは大きく異なり、その辛抱をできるかどうかがゲームメイクの可否を分けた大きな要因だったように思う。


今回の登板に関しては、投球そのものの出来はケイ投手の方が優れていたように見えた。しかし、メンタルの要素で二人の投手は明暗を分けてしまったように感じる。


恐らく、こうしたことは試合後の投手コーチとの話し合いで指摘されているだろうし、ケイ投手も何よりも自分自身にために冷静になることの重要性を認識したことと思う。


繰り返して言うが、今日のケイ投手の投げていたボールは素晴らしかった。



もう一つ、東克樹と彼の大きな違いは首脳陣からの信頼だと思う。


今日の試合の6回、1点を失ってなおも二死一、三塁の場面でマウンド上に立っているのが東だったら、三浦さんは恐らく続投させただろう。


今日の試合であのままケイ投手に投げさせていたらサンタナを歩かせずに抑えられたかどうかは分からない。


しかし、ハッキリしているのは、首脳陣はあの場面でのアンソニー・ケイの続投をリスクと捉え、それを回避したと言うことだ。


勿論、彼自身がアツくなっていた点も考慮してのことだと思うが、もっとアツくなっていたトレバー・バウアーには続投させたこともあるのだ。



試合後の三浦監督のコメントでは、今日のケイ投手のピッチングを評価しているようなので、既に彼に対する信頼は今日の敗戦でむしろ上がっているのかも知れない。


もし彼が今日の教訓を生かして次回の登板でメンタルの安定を心がけてくれれば、次回の登板(問題がなければ来週土曜日の同じヤクルト戦(神宮))では勝ち投手になってくれるはずだ。


シーズンはまだまだ序盤。


今日の1敗を悔やむのはやめて、頼りになる先発左腕が登場してくれたことを喜ぼう。


今シーズン初の連敗 大切なその翌る日は小園健太に託す





今日のアンドレ・ジャクソンは、一言でいえば、精彩を欠いていた。


強風と季節外れの寒気のせいもあっただろう。


マウンド上で何度も掌を丸め息を吹きかける仕草していたのは、指先の感覚が寒さで鈍くなっていたせいに違いない。


しかし、ドラゴンズ先発の小笠原投手も全く同じ環境で投球していた以上、それは言い訳にはならないし、ジャクソン投手自身も寒さや風のせいにするつもりはない筈だ。



初回先頭の三好選手をフルカウントからの7球目で歩かせると、続く田中幹也にも同じくフルカウントからフォアボールを与えた。


いきなり無死一、二塁のピンチ。


3番高橋周平はバント失敗でワンアウトとなったが、今日から4番に戻った中田翔選手を2球で追い込んだ後の3球目、アウトコースのストレートを軽く合わせてライト前に運ばれた。


長打力のある中田選手が、状況に応じて軽打狙いの技巧的なバッティングをするのは流石の経験値だと思うし、これまで数々の修羅場を潜り抜けて来た証でもあると感じた。


中田選手には、ベイスターズが大和、山本祐大の連続ツーベースで1-1の同点に追いついた直後にも今度は揃ってヒットで出塁した三好、田中を二、三塁において再び追い込んでからライト前に2点タイムリーヒットを打たれた。


これで1-3となり、それ以降は両チームのリリーフ陣が踏ん張りチャンスらしいチャンスもないまま試合終了。


ベイスターズの収穫はジャイアンツとの第二戦で猛打賞を記録してから打撃が復調傾向の佐野恵太がこの試合でも長打を含むマルチヒットを記録したことと若手リリーバー達の活躍。



特に回またぎで危なげなく好調ドラゴンズ打線を抑えた徳山壮磨は完全に一皮剥けたことを印象付け、今後ブルペンでの序列を上げて行くことになるだろう。


実績のある伊勢大夢や森原康平の調子がもう一つ上がらず、入江大生は故障で復帰時期が不明な現状、彼と今日も好投した松本凌人のイキの良い二人がブルペンを引っ張っていってくれると期待できそうだ。


そう思わせてくれるほど「安定感」のあるマウンド捌きだった。




さて、これで今シーズン初めての連敗となった。


今日のヒットはチーム全体で5本。


立浪監督の目標であるビジターでの先制点、無四球試合をどちらも達成され、ベイスターズの出塁は勝野投手のエラーを含め6回のみ。


しかも、1、2番、4、5、6番、9番がノーヒットに抑えられたため、打線は完全に寸断された。


まあ、そう言う日もある。


つい最近このブログでも書いたばかりだが、強いチームの要件の一つは大きな連敗をしないこと。


連敗のないチームなど無い訳で、大事なのは次の試合でそれを止めることだ。


入団3年目にしてプロ初先発となる小園健太にその重責を負わせるのは少し気が引けるが、本人は勿論そんな弱気は微塵も感じていないだろう。


NPBでも有数の50cm超のホップ成分(NPB平均は40cm程度)を持つ彼のストレートはフライを量産する傾向にある。


ホームランパークと言われた以前の横浜スタジアムだったが、東京オリンピックに合わせて両翼のウィング席を増設して以来、球場内の流体力学が変わり、サイズの割にはホームランの出にくい球場になった。


今のハマスタではフライボールピッチャーの小園健太の良さは生きる筈だ。


幸い今週は変則日程で翌日(木曜日)は試合が無い。


後半のイニングは先輩達が束になって投げぬいてくれる筈なので、ペース配分などあまり考えずに行けるところまで全力で投げて欲しい。


打順ふた回り、イニングとしては5回まで1〜2失点で抑えてくれれば、ドラゴンズの先発、バンテリンドーム以外での対戦では比較的相性の良い松葉投手を攻略して初先発初勝利の可能性は十分にある。



頑張れ小園!


チームの今シーズンの分岐点になるような大事な試合だが、そこで輝いてこそのドラフト一位だ。


準永久欠番だった背番号18を三浦大輔から受け継いだドラフト1位の1軍でのデビューを我々ファンはずっと待っていた。


しかし、本人はそれ以上に強く、強く、公式戦でまっさらな横浜スタジアムのマウンドに立つことを夢見ていたことだろう。


入団後に筋肉量などがプロの投手として不足していること、体格も未だ成長途上であることから時間をかけると言う球団の方針に加え、故障やコロナ罹患などもあり紆余曲折のあった3年間は彼には随分長く感じられたことだろう。


しかし、神様が決めたその時は今だったのだ。


だから今、自分のベストを尽くして自分のボールを投げ込み、小園健太が誰なのかを世界に教えてやるのだ。




“なりたかった自分になるのに、遅すぎるということはない”           


ジョージ・エリオット


宮﨑敏郎はどうやって異次元の打撃技術を身につけたのだろうか?





来日後初めて1軍で先発したアンソニー・ケイはやはり力んでいたのだろう。


初回一死から門脇選手と丸選手を連続して歩かせるなど制球がおぼつかない。


そして、4番岡本和真への2-2からの5球目。


バックドアのスライダーに見えたがやや高かったかも知れない。


センター前に弾き返されてあっという間に先制点を許した。


その後、4回表に後述する宮﨑敏郎の2点タイムリーツーベースで2-1と逆転してもらったが、その裏ヒット3本と内野ゴロ(フィルダースチョイス)と犠牲フライで再びひっくり返されて、この回でマウンドを降りた。


明らかにストライクと思える素晴らしいスライダーをボール判定されるなど審判との相性の問題もあったように見えた。


最速154km/hを記録したストレートは力があり、スライダーのキレも良いので、細かいコントロールがもう少し改善されれば(ここが本当は難しいんですけどね)先発として勝てるようになるだろう。


少なくとも全くダメと言うパフォーマンスではなかったので、次回もチャンスが与えられることだろう。




4回で降板したケイ投手に代わって試合を再構築したのは上茶谷大河。


5回から7回までのべ10人の打者と対峙して許した走者は坂本勇人への四球のみで三振3つを奪う完璧な投球を見せた。


ストレートのキレもコースも良く、打者を押し込めていたために、得意のカットボールでわずかにタイミングを外し空振りを奪うことができていた。


岡本選手を仕留めた外角高めのカットボールはまさにしてやったりと言う一球だったろう。


彼がマウンドに上がっている間に、味方打線が合計4点を挙げて6-3と逆転してくれたため、早くも今季2勝目を手にした。



最終回は連投明けでベンチ外だった山﨑康晃に代わって森原康平が登板したが、3安打1失点と悪い時のピッチングが顔を出した。しかし、最後は岡本和真を捕邪飛で打ちとり、6-4でゲームセット。


3試合連続の逆転勝ちはチームに勢いをもたらすことだろう。


中継ぎの上茶谷投手がチームの勝ち頭というのは不思議な状況だが、シーズン序盤には良くあることだ。


味方のエラーの連鎖もあり1/3回で3失点(ただし自責は0)だった開幕カードのカープ第三戦で失いかけたチームの信頼を取り戻しつつある。


便利屋とも呼ばれる彼のポジションは過酷だが、三浦監督はじめベイスターズ首脳陣と球団フロントもそのことは良く理解しており、彼の貢献を高く評価していることがインタビューでのコメントにも滲み出ている。


本人は先発を希望しているのだろうが、この踏ん張りを続けていればいつかきっとその日がやって来るに違いない。


そして、その時、便利屋として培った技術と経験は新人で先発ローテーション入りしていたあの頃の彼にはなかった大きなアドバンテージになってくれるはずだ。



攻撃陣ではこのところ全くヒットの出ていなかった佐野恵太がラッキーな当たりもあったとは言え3安打猛打賞の活躍を見せた。


3本目のヒットは彼らしいクリーンヒットだったので、これが本格的な復調のきっかけになりそうだ。本人も手応えをつかんだのではないだろうか。



しかし、今日の打のヒーローは何と言っても2本のタイムリーツーベースと押し出しの四球で4打点を挙げた宮﨑敏郎だ。


1点ビハインドで迎えた4回の攻撃では、一死満塁フルカウントの場面でストレートと変化球の両面待ちでやや落ちの悪くなったグリフィン投手のスプリットを掬い上げ、左中間を破るツーベース。



ストレートもケアしているにもかかわらず、落ちるボールに対して前に出されず、身体を傾けることでスイングの軌道を低くする高度な技術で完全にとらえていた。


さらに、7回二死一塁の場面では堀田投手の投じた初球、145km/hの高めのストレートを思い切り引っ叩くと、右中間を破るタイムリーツーベースとなった。


この2打席は宮﨑選手の技術の多様性と狙い球を絞る経験値の高さを実証する良い例だったと思う。


彼の打撃技術の高さはNPBの中でトップクラスという評価が数年前からあったが、2度目の首位打者をとった昨シーズンあたりから、NPBトップクラスという範疇を超えてレジェンドと言われるような異次元の高みに辿り着いた感がある。


それにしても、宮﨑選手はこの異次元の打撃技術をどうやって身につけたのだろうか?


我々素人には本当の核心部分は分からないが、きっと、以下のイチローさんの言葉が宮﨑敏郎の場合にも当てはまるのだと思う。



“やっぱり、小さなことを重ねることが、とんでもないところに行くただ一つの道なんだなというふうに感じています。”



小学生時代から打撃フォームは変わっていないと言う天才、宮﨑敏郎がこれまで積み重ねてきた膨大な数の「小さいこと」の堆積層が私にもチラッと見えたような今日の試合だった。