mizuyashikiのブログ

横浜ベイスターズを中心にその時に考えていることを書きます。

あれから9勝2敗 祈りの日々は続く





9-4とリードを保って4回裏二死一、二塁まで漕ぎつけていた先発のアンソニー・ケイ投手に交代を命じて中川颯を投入しなんとか勝ち切った8月25日のあの試合。


スポーツ紙では“非情采配”などと書かれていたが、あの時、次のバッターはソロホームランとタイムリーヒットを打ちケイ投手とタイミングの合っていた山田哲人選手だったので、ベンチの判断は純粋にチームが勝ち切るための最善の策を採ったと言うことだろう。


その二、三日後に牧主将発案のスローガンである“勝ち切る覚悟”が公開されたが、それに先んじて勝ち切る覚悟を示したのは三浦監督によるこの投手交代だった。


あの日から20日が経過したが、その間の勝敗は次の通り。


8月25日 ヤクルト ◯

8月27日 阪神 ◯

8月28日 阪神 ◯

9月3日 広島 ◯

9月4日 広島 ◯

9月5日 広島 ◯

9月7日 読売 ●

9月8日 読売 ◯

9月10日 阪神 ●

9月11日 阪神 ◯

9月13日 中日 ◯


今日の試合では、8月25日に悔しい途中降板となったケイ投手が中日打線に対して7回2失点でHQSを記録し、7月14日の巨人戦以来およそ2ヶ月ぶりの勝利を挙げた。



打線もここに来て調子を上げて来た牧秀悟を中心につながり、先制、中押し、ダメ押しの得点を非常に良いタイミングで取ってくれた。





巨人戦で牽制球が脚に当たって休んでいた梶原昴希がスタメン復帰して最初の試合で4回裏二死満塁のチャンスでいきなり2点タイムリーヒットを打ったことも明るい兆しだと思う。


その後の牧秀悟のライト前ヒットで二走の京田陽太が素晴らしいスタートを切ってホームまで戻って来た走塁もチームのためにしっかりと自分の仕事をしたプレーだった。


何より今日の5-2での勝利は、攻守のバランスのとれた勢いのあるチームの勝ち方だったとおもう。



冒頭に書いた試合直前の8月24日時点でベイスターズの借金は3で首位広島とは8.5ゲーム差あったが、広島はこの期間に貯金を8減らしたため、9勝2敗で貯金4まで盛り返したベイスターズとの差はわずかに1ゲームとなった。


それまで苦手としていた上位の3チーム(広島、読売、阪神)との対戦を7勝2敗で圧倒し、下位の2チームとの試合では取りこぼしがない、と言う理想的な戦いを見せてくれている。


この調子で最後まで突っ走ってくれれば言うことはないのだが、そう上手くはいかないだろうと言う悪夢の囁きも耳元で聞こえてくる(このペースで残り19試合を終えると15勝3敗1分となり、最終成績は78勝62敗3分。読売がこれを上回るためには残りを9勝6敗と3つ勝ち越すことが必要になる)。


穿った見方をすれば、首位争いをしていた上位3チームから見て、この時期のベイスターズは蚊帳の外であり、エース格やローテーションの柱と言われる先発投手たちはこれら3チーム同志の対戦に優先的にぶつけられてきたため(もちろん、ベイスターズの対戦した投手の中には阪神の村上投手や広島の森下投手などの難敵も含まれてはいるのだが)、ベイスターズは一種のエアポケットのような状況で戦えたと言う幸運があった。


もしベイスターズがここから上位に進出するようなことがあれば、相手チームの一線級の投手達が続々と起用されることになるだろう。


その中で勝ち続けることができるか?


まさに勝負はこれからだ。


優勝の可能性はゼロではないものの、その確率は決して高いとは言えない。


しかし、この最終盤の時期に今シーズンの中で最強の状態を迎えているベイスターズの日々の戦いに本気で声援を送り、勝利を祈ることができること自体がファン冥利に尽きると言うものではないか?


さあ、これからジャイアンツにもタイガースにも一泡吹かせて、追い上げられる怖さをたっぷり味合わせてやろうぜ。


待ってろよ


読売に大勝 悔しい逆転サヨナラ負けがチームの集中力を高めたのか




昨夜のジャイアンツ戦でまた一つ野球の怖さを教えられた。


2-1という僅差のリードを保って迎えた9回裏二死一塁の場面で森原康平が長野選手を1-2と追い込んでからサード正面のゴロに打ちとってゲームセット、と誰もが思ったところ、バウンドが合わずに待って捕球した柴田竜拓がややバランスを崩したのかファーストに中途半端なハーフバウンドの悪送球。


ファーストのオースティンは捕球できそうなボールだったがミットに収まらずセーフとなった。


記録は守備固めでサードに入った柴田選手のエラー。


その後、中山選手に同点タイムリーを打たれて延長に入り、最後は回またぎの佐々木千隼が12回二死走者なしまで漕ぎつけたものの、オコエ選手への初球が吸い込まれるように真ん中に入るストレートという明らかな失投。


逆転サヨナラホームランを浴びて敗戦したのはご存知の通り。


私は久しぶりにESES症候群(注)を発症しそうになったが、何とかなだめすかして踏みとどまった。



注) ESES症候群:エラー(E)の後の柴田(S)のエクボ(E)が癪(S)にさわる症候群




首位ジャイアンツに加えて、2位カープ、3位タイガースも勝ったために、我がベイスターズは首位まで5.5ゲーム、3位まで3ゲームという悲しい差をつけられてしまった。


これで、今日の試合は何度目かの“これで負ければ今季は終了”というような土俵際のゲームとなってしまった。


悪いことは重なるもので、先発予定だった大貫晋一が練習中に背中の違和感を訴えて離脱し、ファームで昨日登板予定だった吉野光樹投手が急遽1軍に呼ばれて先発することになった。


一昨日の記事に書いた通り、「天は我々を見放した」と感じるような巡り合わせだった。


しかし、誠に手前勝手ではあるが、同じ記事で書いた以下の文章は言霊となって今日の試合の展開をもたらすことになったのではないだろうか?


“しかし、こう言う時に限って、吉野君が一世一代の好投を見せてくれたり、打線が爆発して菅野投手を攻略したりすることもあるので、まだ諦めるのは早い。


私たちにできることは、いつもよりも祈りのボルテージを上げて声援を送るのみだ。


頑張れ、ベイスターズ!”


実際にはジャイアンツの先発は現在最多勝の菅野投手ではなく、4月3日以来の先発マウンドとなるメンデス投手だったが、吉野君の一世一代の好投と打線の爆発は正夢となった。



初回先頭の梶原昴希のサードゴロを岡本選手が退がって捕球してファーストに悪送球すると言うエラーでラッキーなランナーを出した(柴田の呪いか?)


さらに、牽制悪送球の間に梶原はセカンドに進み、2番蝦名達夫は四球。


佐野恵太が三振で一死一、二塁となったが、4番タイラー・オースティン、5番牧秀悟の連続タイムリーツーベースで一挙3点。





立ち上がり不安定なメンデス投手はさらに宮﨑敏郎と山本祐大に連続フォアボールを与え、一死満塁となったところでジャイアンツベンチはたまらず投手交代を決断した。


続く京田陽太は代わった赤星投手から犠牲フライを放って初回に4点を挙げることができた。


吉野投手はこの援護点を力に変えて、勇気を持ってジャイアンツに打者たちにストライクゾーンで勝負していった。


初回、好調の吉川選手に甘く入った変化球を見事に捉えられるなどで一死一、二塁のピンチを迎えたが、岡本選手、大城選手という怖い主軸打者をいずれも空振り三振に打ちとったことでリズムを掴むことができた。



今日の吉野投手は右打者に対しても左打者に対してもインコースをしっかりつくことのできる制球力があったし、ボールゾーンに鋭く落ちるフォークとストライクゾーンの中でチェンジオブペースになるようなフワッとしたフォークを投げ分けてバッターに的を絞らせなかった。


左打者のインコースへのカットボールも非常に有効に機能していたように見えた。


6回、93球、被安打6、奪三振5、与四球1、失点0というQSの働きで2勝目を挙げることができた。



前回(7月13日)のジャイアンツ戦では5回2失点で敗戦投手となり、特にこの時は今日の初回と同じような局面で岡本選手にタイムリーを打たれていただけに、今日リベンジ出来たことで随分と自信を持つことができたのではないだろうか?


大貫投手の離脱や好調だった石田裕太郎投手がこのところ打ち込まれていることから、シーズン終盤になって吉野投手がローテーションの一角を占める可能性は十分にあると思う。


そう思わせてくれるピッチングだった。


試合後のヒーローインタビューでも本人の自覚と情熱を感じさせるコメントを発しており、ここに来て楽しみな選手が1人増えた。


さて、打線の方は2回にもオースティン、牧の連打で一点追加し、さらに、9回にも先頭の梶原選手のツーベースを足がかりに、三度、オースティン、牧の連打でダメ押しの3点を挙げて8-0で快勝した。


吉野投手が6回で降板して以降は、坂本裕哉、ウィック、森唯斗が無失点で繋ぎ、昨日使い込んでしまった勝ちパターンのリリーフ陣を温存できた点でも良い勝ち方だった。


これで首位巨人まで再び4.5ゲーム差、そしてカープもタイガースも敗れたため、3位との差は2ゲームとなった。


火曜日からはそのタイガースとの直接対決の3連戦が甲子園で予定されている。


ここで勝ち越すことができるかどうか、これがベイスターズが次に越えるべきハードルと言うことになる。


打線の状態は相変わらず悪くない。


先発は東克樹、アンドレ・ジャクソン、アンソニー・ケイと言うカープをスイープした3投手だ。


タイガースも高橋、村上、大竹と言う難敵の三投手を起用してくることが予想されるので、決して楽な戦いではないだろう。


しかし、9月のこの時期に未だ優勝にギリギリ手が届く位置で首位を追いかける真剣勝負ができることを、選手たちは勿論、我々ファンも楽しむべきだ。



“わくわくするのは追いかけている時のことさ。


それに比べりゃ、後の楽しみなんて小さなもんさ”


ウィリアム・シェークスピア


カープに競り勝った意味と大貫の離脱





昨日の試合、6回まで2-0でリードしていた試合で7回に1点、8回にも1点失って2-2の同点に追いつかれた時点で今日は負けかあ、と思ったベイスターズファンの方も多かったのではないでしょうか?


当社は伊勢大夢とウェンデルケン投手が打たれて追いつかれているのに対して、カープの方はその時点でハーン、森浦、栗林を残していたし、何より接戦になった場合の駆け引きのうまさではとても敵わないというのが新井監督就任後の印象だ。


実際、ベイスターズは伊勢、中川颯、ウェンデルケン、森原(回またぎ)と先発のケイ投手が降板してから4人のリリーバーを注ぎ込んでおり、11回に登板した佐々木千隼が二死をとってから上本、小園に連打を浴びて失点し、とうとう2-3と逆転された。


二死一、三塁と継続したピンチの場面で登板した坂本裕哉は好調の坂倉選手を素晴らしいストレートで見逃し三振に打ち取り最小失点で切り抜けたが、普通はここで万事休すと思うところだ。


しかし、10回までに島内、ハーン、森浦、栗林を既に投げさせていたカープのブルペンも決して余裕がある訳ではなかった。


金曜日が岐阜からのジャイアンツの移動日にあたり試合のないベイスターズとホーム広島で苦手のドラゴンズとの試合が組まれているカープの条件面での差もあっただろう。


新井監督のプランは、11回裏先頭の佐野恵太に左の塹江投手を起用し、その後、オースティン、牧、宮﨑と続く右打者には松本投手を充てるというものだった。


しかし、その松本投手は3連投であり、疲れもあっただろう。


結局、佐野恵太は塹江投手の2球目をバットを粉々に折られながらもレフト前に運んで出塁。


無死走者一塁という状況で松本投手が登板することとなった。


タイラー・オースティンは松本投手のストレートに手こずりながらも8球粘って、フルカウントからの9球目を見送りフォアボール。


無死一、二塁で牧秀悟が打席に入る。


この日の牧は1-0でリードしていた5回先頭の菊池選手のセカンドゴロをファンブルした後に悪送球して無死二塁のピンチを作ってしまうミスを犯していた。


前日にも挟殺プレーでの暴投があり、守備のミスでチームの足を引っ張っていると言う責任をキャプテンとして強く感じていたことと思う。


その牧選手は2-2からの6球目、外角のカットボールをバットの先端付近で拾ってレフトとセンターの間に運んだ。


佐野恵太の代走に入っていた関根大気が良く走って生還し、土壇場で3-3の同点に追いついた。


牧も懸命に走ってセカンドに到達し、なおも無死二、三塁とチャンスが継続。


重圧から解放された牧はセカンド塁上で天を仰いで絶叫していた。



内面に溜めていた精神的エネルギーをそのままにしておくことができなかったのだろう。


投擲後の室伏選手(現在スポーツ庁長官)が大声で吠えていたのも同じようなメカニズムだったのではないかと私は考えている。




ここで広島ベンチは宮崎敏郎を申告敬遠して満塁策をとった。


そして、代打大和はショートフライ、京田陽太はセカンドゴロで二死となり、この満塁策は成功するかと思われた。


しかし、三連投の松本投手はこの時点までで既に22球を投じており、いつもの状態ではなかった。


二死満塁で打席に入った伊藤光への初球は変化球が高めに抜け、その後、ストレートも変化球も抜け気味で3-1となる。


横浜スタジアムの応援席は異様な盛り上がりを見せ、松本投手が投球モーションに入ると煽るような大音量の歓声が共鳴する。


結果は内角高めのストレートがシュートしながら抜けていきボール。


サヨナラの押し出しでベイスターズの再逆転勝ち。


まさに、「勝ち切る覚悟」を見せつけるようなチーム全員が一丸となっての勝利だった。


試合巧者のカープに延長戦で競り勝ったことの意味は大きい。


これで首位カープをスイープし、入れ替わりで首位に立った巨人と4.5ゲーム差。


残り試合数を考えれば優勝の可能性は低いがゼロではない。


それもこれも週末の巨人戦次第だ。


と思っていたところ、つい先ほど困ったニュースがもたらされた。


投手指名練習に臨んでいた大貫晋一が背中の違和感を訴えて登録抹消。


巨人戦の先発は石田裕太郎、大貫晋一の予定だった筈なので、これは首脳陣にとって非常に頭の痛い緊急事態となってしまった。


その後、明日の予告先発は、井上温大投手(巨人)、石田裕太郎(横浜)と発表された。


ここまでは良いだろう。


問題は日曜日、イースタンリーグのロッテ戦で先発予定だった吉野光樹を急遽呼び寄せるか、あるいはブルペンデーにして山﨑康晃か森唯斗あたりにオープナーを務めてもらうか?


可能性のあったハマちゃんは今日ファームで102球を投げ、勝ち投手になっているので、日曜日は無理。


小園健太もファームでの前回登板で2回11失点と言う大炎上だったので怖くて使えない。


”天は・・・天は我々を見放した”



映画「八甲田山」で北大路欣也演ずる神田大尉の気持ちになり、私は思わず呟いた。


しかし、こう言う時に限って、吉野君が一世一代の好投を見せてくれたり、打線が爆発して菅野投手を攻略したりすることもあるので、まだ諦めるのは早い。


私たちにできることは、いつもよりも祈りのボルテージを上げて声援を送るのみだ。


頑張れ、ベイスターズ!