mizuyashikiのブログ

横浜ベイスターズを中心にその時に考えていることを書きます。

「消化試合」の目標設定と中日戦の勝利



9月27日 対中日ドラゴンズ 横浜スタジアム


ヤクルトスワローズの優勝が決まると同時にベイスターズの2位も確定した。


この先の戦いは、一般的には消化試合と呼ばれるものになるわけだが、クライマックスシリーズの導入されている現在はそれ以前と大きく異なっている。


Aクラスのチームにはポストシーズンという大きな目標があり、消化試合の中でもその目標に向けた取り組みが必要となる。


加えて、選手によっては、個人タイトルがかかっている場合もあり、チーム優先は勿論だが、プロ野球選手が個人事業主である以上、こちらも軽んじることはできない。そして、チームもこのことに可能な限り配慮した起用を行うことになる。


こうしたことを考えて、これから7連戦となる「消化試合」の目標設定について考えてみた。




まず、チームとしての目標は、クライマックスシリーズのファーストステージ(最大3連戦)とファイナルステージ(最大5連戦)を勝ち抜くための陣容を整えることだろう。


優勝したヤクルト以外のチームが2つのステージを勝ち抜くためには、1日空くだけの強行スケジュールで4敗する前に5勝することが求められる(ファイナルでは優勝チームに一勝のアドバンテージがあるため)。


ここで、最も重要になるのは、勝てる公算の高い先発投手の頭数を揃えることだ。


候補となる投手のチーム別対戦成績を見てみよう。3位は未だ確定しておらず、現状では、巨人、阪神、広島の可能性を見据える必要がある。


大貫晋一の防御率は対巨人、阪神では1点台だが、広島戦では4.39に跳ね上がる(ヤクルトに対して、3.82)。


今永昇太は、巨人とヤクルトに対して2点台、阪神に3点台、そして広島には5点台とこちらも広島には部が悪い(チーム自体が大きく負け越しているので当たり前だが)。


ちなみに、濵口遥大は阪神戦で防御率1点台だが、巨人には6点台、広島には7点台と厳しい結果になっているが、ヤクルトには1点台と相性が良い。


そして、石田健大は阪神に対して1.11、広島には3.78、巨人には4.00とあまり大きな苦手は無いようだ(ただし、ヤクルトには9.00と打ち込まれている)。


このデータを踏まえると、ファーストステージの先発は対戦相手別に次のように考えることができる。


(3位が巨人の場合)

初戦を今永、第2戦を大貫でそれぞれ試合を作ってくれるだろう(今永の飛翔癖が出なければ)。ただし、先方も菅野、戸郷を起用してくると考えられるので、2連勝というわけにも行くまい。


第三戦は比較的安定している石田健大ということになるだろうか(ジャイアンツは山﨑伊織かメルセデス?)。


(3位が阪神の場合)

これも初戦を今永、第2戦を大貫、第3戦には濵口で良い。勿論、勝つか負けるかはやってみないとわからないのだが、今シーズンのデータで見る限りは、このケースが一番期待できる。


(3位が広島の場合)

これが一番難しい。まずは、広島が勝ち上がらないように願をかけると言うことになるが、それは我々ファンの役目なので、チームとしては定石にとらわれない戦術をとって欲しい(どうせ対戦成績は圧倒的に不利なのだから、これまでの戦術だとまた負けるだろう)。


例えば、ローテーションの柱ではないが、対広島戦の防御率の比較的良い京山将弥(2.33)、上茶谷大河(3.48)、石田健大(3.78)を先発させる。今永、大貫、濵口は第二先発としてスタンバイし、先発が崩れそうになったら早めにスイッチして6回まで試合を作る。


もしこの戦術がはまって京山、上茶谷、石田でファーストステージを勝ち抜けることができると、ヤクルトとのファイナルステージで今永、大貫、濵口の三本柱を投入できると言うメリットがある。


ここに名前の上がった6人の投手は、クライマックスシリーズの先発候補として今週の「消化試合」に登板するだろう。


今永と大貫については既に当確と言うことで、週末の巨人戦に調整を主目的とした登板となるし、濵口についても30日の中日戦で同様の登板があるだろう(ただし、10月3日に登板の可能性があるので、3回程度の短いイニングになると思う)。


一方、石田、上茶谷、京山はクライマックスシリーズで先発の大役を任せてもらえるよう、首脳陣にアピールすることを目的とした登板となるはずだ。さらに、水曜日に登板予定のガゼルマンも結果次第ではこの枠の争いに加わることもあり得る。



打線については、まずは主軸の打者たちの調子を上げることだが、好調と言って良い宮﨑、ソト、森敬斗についてはこれを維持することが目標だし、疲労のためやや元気のない牧、佐野は上手く休みをとってリフレッシュしつつ調子を上げることがこれからの一週間の目的となる(ただし、最多安打のタイトルのかかる佐野恵太はそうも言っていられない)。


大砲という意味では、このところ当たりの出てきているソトに加えてオースティンに期待がかかるのだが、1軍のピッチャーのボールに目が慣れるために必要な打席数50まで未だ20ほど不足している。


この7連戦で代打出場するだけでは20打席にはならないので、例えば、6回か7回にソトを下げる際に守備固めではなくオースティンを起用して試合後半に2打席ずつバッターボックスに入れるようにするのはどうだろうか?


ファームの試合ではファーストを守っていたので、恐らく大丈夫だと思うのだが。


短期決戦では、どうしても1点が欲しい時にそれを取ることのできる戦術の引き出しが必要だ。


ヤクルトとの決戦でなかなか勝てない原因の一つはどうもここではないかとにらんでいる。


例えば、必要であれば、佐野、牧、宮﨑も送りバントをするという原監督のような策もあって良いと思う。


そして、関根のような伏兵だが「ことを起こす」能力のある選手を代打で起用すること、森敬斗がセーフティケースを絶妙なところに転がせるようになることなどをこの一週間で試して欲しい。


こうしたことは、クライマックスシリーズで急にやってみても決して上手く行かないものだから。




個人タイトルとしては、佐野恵太の最多安打、伊勢大夢の最優秀中継ぎ(最多ホールドポイント)、山﨑康晃のセーブ王と言ったところが現実的な目標となる。


彼らはそれぞれの分野でいずれもトップではないのだが、一位に一本あるいは一ポイント差に迫っており、ベイスターズの残り試合数がライバル達よりも多いことから十分に可能性がある。


従って、この7連戦で佐野はフル出場するだろう。打席数を稼ぐという意味では1番バッターとして起用することもあり得る。


そして、伊勢大夢については、ホールドポイントのつく状況であれば、イニングによらず優先的に登板させるという策を使うかも知れない。こういうものは「消化試合」の有効活用として適切だと思う。


1番難しいのが山﨑康晃のセーブ王かも知れない。最終回でチームがリードしていること、しかもセーブシチュエーションとなる3点差以内であること、と言う条件を満たす試合が必要で、これはなかなか意図してできるものでもない。



前置きが長くなったが、ドラゴンズとの4連戦の初戦を見てみよう。


勝 ベイスターズ 8 ー 3 ドラゴンズ


勝利投手 入江大生(5勝1敗0セーブ)

敗戦投手 清水達也 (3勝3敗1セーブ)


本塁打 宮﨑敏郎16号(4回裏ソロ)、ネフタリ・ソト16号(4回裏ソロ)


クライマックスシリーズでの登板に向けてアピールしたい先発上茶谷大河だったが、結果はギリギリQSとは言え、かなり微妙なものだった。


6回、81球、被安打8、与死球1、奪三振4、3失点


ストライクゾーンで勝負しているのは良いのだが、やはり芯で捉えられる打球が多すぎる。3回表に先制点を許したのは岡林のサード後方にフラフラっと上がったポップフライで完全に打ちとった当たりだったので運が悪かったと思うが、それ以外のヒットは皆捉えられていたと思う。


打者がリズムを取りやすい、ボールの出どころが見やすいなど、球速と球質の割にヒットを打たれる原因が何かあるのではないだろうか。


首脳陣にアピール出来たとは言えない結果だった。



打線は好調の宮﨑とソトが連続でソロホームランを放ち同点に追いつくと、その後は優位に試合を進め、8回にドラゴンズのセットアッパー清水投手を攻略して一挙に5点を挙げて快勝した。


この2人は揃って16号のホームランで、かなり難度は高いが20本を目指して頑張って欲しい。特にソト選手は今季20号が来日後150号の記念すべき一発となる。





佐野恵太は2本のヒットを放ち、最多安打の岡林選手(155本)と一本差に迫った。十分に狙える位置なので、引き続き頑張って欲しい。


伊勢大夢もホールドポイントを挙げた。同点の7回に2番手として登板し、岡林、大島という厄介な中日の一二番を含め、10球で三者凡退と言う安定した投球だった。こちらもトップの阪神湯浅、中日ロドリゲスの43にぴったりとつけている(ロドリゲス投手もこの日の登板でホールドポイントを記録して湯浅投手に並んだところ)。


山﨑康晃は惜しいところでセーブ機会を逸した。8回裏の攻撃で6-3とリードしたところで、牧秀悟がさらに2点タイムリーを打って8-3となってしまいセーブシチュエーションではなくなってしまったためだ。


もちろん、牧選手に文句を言う筋合いではない。彼も打点を挙げて、これで85となった。


彼自身、一番重要視しているのはチームの勝利に直接貢献できる打点だと言っているので、励みになることだろう。


トップの村上選手には大きく差をつけられているのでタイトルの望みは無いが、昨年の自身の成績71を大きく上回り、リーグ全体でも3位につけている。2位の阪神大山選手とは2点差なので逆転する可能性は大いにある。


8回裏に挙げた5得点の口火を切ったのは代打の関根だった。


彼は試合終盤で何かやってくれそうな気配があるベイスターズには貴重な選手で、短期決戦で勝ち上がるためにはこう言う選手は非常に価値があると思う。


逆転の2点タイムリーヒットを放った桑原将志もこのところ良い当たりでもスーパーキャッチに阻まれることが多かった中で、気分を良くしたことだろう。この選手はやはりメンタルが大事だからね。



ところで、桑原のレフトオーバーのヒットでセカンドまでしか進めなかった一走の戸柱はやってはいけないボーンヘッド。クライマックスに向けて猛省して欲しい。


そして、オースティンはやはり代打で申告敬遠に終わった。これでは調整にはならない。


6回裏に早々とソトをベンチに下げた後も、レフトに神里を入れて佐野がファーストに回ると言ういつもの守備固めだった。オースティンをファーストに入れて複数の打席に立たせて欲しい。


残念だったのは7回裏の攻撃。


3-3の同点でマウンドにはドラゴンズのセットアッパーであるロドリゲスが立ち、先頭の楠本が死球で出塁すると、佐野がバットを折りながらヒットでつなぎ、無死一、二塁のチャンス。


ここで1点とれば逆転だし、伊勢大夢と最優秀中継ぎを競い合うロドリゲスに失点をつけることができる。そして、クライマックスシリーズで1点欲しい時の策を試す絶好の機会だった。


4番牧秀悟に送りバントを命じて一死二、三塁、犠牲フライやボテボテのゴロでも1点、ヒットなら2点(セカンドランナーが佐野恵太になるので難しいかも知れないが)のチャンスになる。


原監督なら中田翔にバントさせるところだろう。


しかし、牧は普通に打って三振。続く宮﨑は4-6-3のダブルプレーに倒れてスリーアウト。


原監督の策が最善とは私も思っていないが、欲しい1点を取りに行くベイスターズなりの策を見出してこの一週間で試して欲しい。




第2戦はガゼルマン投手が先発する。


クライマックスシリーズの先発候補に割って入るような好投を期待している。


頑張れ、ガゼルマン!