mizuyashikiのブログ

横浜ベイスターズを中心にその時に考えていることを書きます。

投手と捕手の相性はあるのか



しばらく前のベイスターズだと濱口投手には高城捕手、山﨑康晃投手には嶺井捕手というような組み合わせで捕手併用制をとることが良くあった。


しかし、そもそも、投手と捕手の間で相性というものはあるのだろうか?


MLBでは、ある捕手が投球を受けている時の投手の防御率(捕手防御率)を指標として試合における各捕手の影響力を評価することが試みられている。


しかし、その一方で、「同じ投手を違う捕手がリードした多数のケースを調べると盗塁阻止や捕球による失点の変動(捕手の守備機会)の影響を取り除くと年間1.6失点、防御率でいうと0.01程度になり、ほとんどランダムとなる」と言う報告もある。


ただし、盗塁阻止や捕逸あるいはフレーミングで捕手の失点阻止力に一定の差が出る事も判明している。


元阪神タイガースの藪恵壹投手は2020年10月の週刊ベースボールで次のように語っている。https://column.sp.baseball.findfriends.jp/?pid=column_detail&id=097-20201001-10


“ピッチャーとキャッチャーの間には当然、相性はあります。


構え1つ取ってみても、大きくアバウトに構えるキャッチャーもいれば、コースビタビタに構えるキャッチャーもいて、これはもう、好みの問題です。


また、リードの違いはランナーを置いた時に顕著に現れます。一例を挙げるなら、肩に自信がないキャッチャーは真っすぐ系が増えたりするのもそうですね。


また、「キャッチャーは経験がすべて」と言いますが、さまざまな経験を積んだキャッチャーのほうが怖さを知っているため、ピンチでの配球に深みが出ますね。


ちなみに、私はリードに明確な意図(どこに打たせたいのか、最後はどんな球種でどのように打たせたいのか)が見えてくるキャッチャーが好きでした。ただ、これも好みの問題と言えます。 “


藪さんは触れていないが、フォークボールやスプリットチェンジなどの落ちる変化球を決め球にする投手の場合には、キャッチャーのいわゆる壁性能も重要だ。


せっかくバッターが空振りしてくれたワンバウンドになるフォークをキャッチャーが逸らして振り逃げで出塁を許したり、ランナーが進塁するようではピッチャーも思い切り投げられないし、キャッチャーもそのボールを要求できないだろう。


相性があるとすれば、それを活かして投手との組み合わせに配慮した捕手併用制というのは合理性があるように思う。加えて、キャッチャーというポジションはフィジカルにもメンタルにも過酷であり、全ての試合を一人の捕手でこなすのは難しいという事情もある。


それでは、昨シーズンの我がベイスターズの先発投手陣の捕手ごとの成績を整理してみよう。



大貫晋一投手は伊藤光捕手及び戸柱捕手とバッテリーを組んでそれぞれ9試合に登板しているが、伊藤捕手の場合は防御率2.34なのに対して戸柱捕手の場合は6.35とかなり結果が異なる。


同様に、京山将弥投手については、山本祐大捕手と組むと防御率3.22(9試合)で、嶺井捕手だと8.27(4試合)となっていて、やはり、相性はあるように見える。


ただし、F.ロメロ投手の場合のように、山本捕手だと防御率 2.09(9試合)で伊藤捕手だと5.40とかなり差がついているが、これは、コロナ禍で出遅れNPBにも慣れていなかった春先に伊藤捕手とバッテリーを組むことが多く、夏場にファームで日本仕様のピッチングを身につけた秋以降に山本捕手と組んで活躍した例もあるので、一概に捕手との相性が決め手とも言えない。


また、東投手の場合、伊藤捕手がマスクを被った試合の防御率が突出して悪いが、これは、彼の復帰戦にヤクルト青木選手に打たれた満塁ホームラン一本の影響だ。このようにサンプル数(試合数)が小さい場合にも注意が必要だ。


こうしたことを考えた上での仮説としては、次のようなバッテリーの相性があるのではないかと思う。


戸柱捕手の相性の良いピッチャー:東投手、今永投手

伊藤光捕手の相性の良いピッチャー:大貫投手、今永投手、濱口投手

嶺井捕手の相性の良いピッチャー:濱口投手

山本捕手の相性の良いピッチャー:ロメロ投手、京山投手


ただし、藪さんは捕手併用制の弊害についてもコメントしている。


“基本的にペナントレースは同一チームと3連戦を行い、対戦相手を変えてまた3連戦というのがパターンです。


キャッチャーの多くは3連戦を大きな枠でとらえて、配球、攻め方を組み立てていくことがほとんどです。


仮にそれで失敗しても、なぜダメだったのかをインプットして、次に同じカードが回ってきたときに生かすのですが、3連戦で毎試合キャッチャーが違った場合、果たしてどこまで継続性を持って相手打線を抑えることができるでしょうか。


バッテリーミーティング等で同じデータを共有していたとしても、キャッチャーが3人いれば3人が異なるアプローチ(ある程度は共有する部分があったとしても)、リードをするわけですから、ピッチャーの目線から考えても、継続性という部分では難しいように感じます(逆にガラリと変わるのもいいのかもしれませんが……)。“


と言うことで、同一チームとの3連戦を主に一人の捕手に任せると言う戦術は考えてみる価値があると思う。


先日の記事で、3月25日開幕時のカープ3連戦とその次のドラゴンズ3連戦について先発投手を次のように予想した。


3月25日金曜日 今永昇太

3月26日土曜日 大貫晋一

3月27日日曜日 東克樹


3月29日火曜日 F.ロメロ

3月30日水曜日 京山将弥

4月1日 木曜日 濱口遥大


これに、上記の相性を考慮したバッテリーを当てはめてみると次ようになる。


3月25日金曜日 今永昇太 − 伊藤光または戸柱恭孝

3月26日土曜日 大貫晋一 − 伊藤光

3月27日日曜日 東克樹 − 戸柱恭孝


3月29日火曜日 F.ロメロ − 山本祐大

3月30日水曜日 京山将弥 − 山本祐大

4月1日 木曜日 濱口遥大 – 伊藤光または嶺井博希


開幕戦のカープとの3連戦は、キャンプとオープン戦での伊藤捕手と戸柱捕手の打撃を比較して調子の良い方を主戦捕手として使うことになるだろうか。


次のドラゴンズ戦は、山本祐大捕手の打撃の調子次第である。オープン戦での彼の調子が昨シーズンのように1割台前半の打率を予想させるものだとすると、大事な序盤のカードの主戦捕手を任せるわけにはとてもいかない。


そう考えると、日本仕様のピッチングを会得した以降のロメロ投手とバッテリーを組んだことの無い伊藤捕手や戸柱捕手との組み合わせもオープン戦でテストし、少なくともどちらかは序盤戦から使えるようにしておくことが重要だ。


それにしても、こうして毎日スタメンを考えていると、もうすぐにでもシーズンが始まりそうで、むずむずしてきた。


春よ 遠き春よ 瞼閉じればそこに 松任谷由実