mizuyashikiのブログ

横浜ベイスターズを中心にその時に考えていることを書きます。

栄光を夢見る開幕前夜



昨年10月末のシーズン最終戦から5ヶ月にわたるシーズンオフも今日で最後となった。
終わってみれば早かったようにも思う。


明日からは、また、7ヶ月に及ぶ感情のジェットコースターの日々が始まる。


趣味は野球観戦です、などというコメントを見ると、人は楽しそうだなと思うかも知れない。たしかにそういう人もいるのだろう。


しかし、実際には、スポーツ観戦、特にチーム間で勝敗を決める野球やサッカーなどの観戦は、他の余暇の過ごし方とは本質的に異なる。応援するチームが勝つか負けるかで我々ファンも天国と地獄のような差を味わうことになるのだ。


美術館や映画館に行く場合、満足の度合いは時によって異なるだろうが、野球観戦のような天と地ほどの差は生まれない。


私はこの数十年間、「そんなにがっかりするなら応援なんかしなければいいじゃない」という極めて適切なアドバイスを各所からいただいているのだが、そうはいかない。


そうはいかないのだ。


一つのプロ野球チームを心底応援するというのは、結果がどうなるのかわからないというリスクを承知で時間や気持ちや呪術的スキルなど自分にあるものの全てをつぎ込む、つまり、大袈裟に言えば、冒険なのだ。


“いつも予め結果を知りたがる人は、決して、精神と生の、真の冒険に身をゆだねることができません。


人は、いわば闇の中へ墜落し、その後、そこで会得した別の編成を整えて、自力で、独立独歩、創造的に前進すべきなのです。 “    ミヒャエル・エンデ


今年も、我がベイスターズと共に、我々ファンの冒険が始まる。


チームは昨年10月末にたしかに闇の中に転落し、その後、レジェンドコーチ陣の招集などの編成を整えた。私は、このオフとキャンプのチーム全体の歩みが独立独歩の創造的な前進であったことを確信している。


チームのメンバーとファン、それぞれに栄光を夢見る開幕前夜についてまとめてみた。




三浦監督が三嶋一輝と山﨑康晃の二人をダブルストッパーとして起用する構想を持っていることが今日の報道で明らかになった。


三浦監督本人の言葉としては、「盛田さん、佐々木さんの時のイメージ」ということだが、この場合は、盛田さんがセットアッパーで佐々木さんがクローザーという基本的な順序がはっきりしていたから、現代の言い方だと普通に「勝利の方程式」ということでも良い。


戦術に関して「かくあるべし」という理念を持つ三浦監督としては、本来、クローザーは一人に固定したいところなのだろうが、そうしなかった理由として考えられることは以下の二つだろう。


① 二人の候補の心情に配慮した


今年のオープン戦を観ていると、1軍メンバーやレギュラーあるいはローテーションピッチャーの選抜は、トップダウンの意思決定プロセスではなく、チームそして本人が納得のいくような形でおのずと絞り込まれていくという流れを大事にした過程であることは明らかだった。


三嶋投手と山﨑投手については、二人ともオープン戦6試合に登板していずれも無失点で明確な差はでなかった。そして、二人ともクローザーの座を勝ち取るために並々ならぬ努力を続けていることは指揮官もよくわかっている。


こうなると、どちらか一方がクローザーではないということが明らかになった場合のモチベーションの低下が懸念される。それを配慮して、ダブルストッパーという呼称を復活させたということは十分にあり得る。


この場合は、シーズンが始まってからも、候補の二人をオープン戦と同様に交互に起用する(後述する相性はある程度考えるだろうが)などクローザーの選出プロセスは続いていくのだろう。


そして、シーズン中のどこかの時点で二人の間の勝敗が明確になった時点で改めてクローザーの指名と行うことになると予想する。


② 対戦するチームとの相性を考慮した


昨シーズンの三嶋投手と山﨑投手を含む抑えを務めたことのある投手の対戦チーム別の防御率をまとめると下の表のようになる。



今年もこの通りになるとは限らないが、例えば、


・巨人戦については山﨑投手の防御率が極めて良いが三嶋投手は打ち込まれている


・ヤクルトについてはその逆で三嶋投手の方が良さそうだ


・中日に関してはどちらの投手も得意としている


と言った傾向が明らかなので、これに配慮して登板順を決めていくということは戦術として合理的なもののように思える。


この場合、阪神には二人とも打ち込まれているので、二人がそれぞれオフの間に取り組んだ高速シュートやストレートのレベルアップに期待するか、あるいは阪神の対戦成績の良い伊勢投手にスポット的に抑えを任せるか、というところだろう。


三浦監督自身は2番目のオプションは選択しないと思うが、斉藤コーチも含めた判断がどうなるだろうか。


理由が①と②のどちらであるにしても、開幕後しばらくの間は監督の本当の狙いがどこにあるかわからない状況が続くだろう。ある意味、そのこと自体、つまり二人の健全な競争が続くこと自体に意味を見出している可能性もあると思う。





注目すべきもう一つの記事は、ベイスターズの二つの公認応援団の皆さんのインタビューだ。
https://sports.yahoo.co.jp/official/detail/202203220065-spnaviow


互いに協力し合いながら我々ファンの応援をリードしている「ベイスターズを愛する会」の谷口団長と「全国星覇会」の山下団長は取材に応じて次のように語っている。


谷口団長 「もちろん観客の人数は過去と今とではぜんぜん違うのですが、動員が伸びなかった時代に熱いファンがいなかったわけではないですし、ファンの温度、応援に対する本質は一緒だと思いますね。」


山下団長 「過去は観客としての絶対数はもちろん少なかったですが、熱いベイスターズファンがたくさんいて、応援しにきていただいていたので、いい応援をできていたと思います。もちろんそれは今でも変わりません。」


また、「これまでの応援団でのキャリアの中で一番の思い出はなんですか?」という質問に対する山下団長の答えはこうだった。


「2016年の東京ドームでのクライマックスシリーズ1stステージが一番思い出に残っています。レフトスタンドだけでなく3塁側までベイスターズファンが埋めつくしていてとても感動しましたし、ファンの皆さんの声もとても出ていた。東京ドームなのにベイスターズのホームの試合なんじゃないかなと思うほどで、独特な雰囲気でした。」


私は、山下団長のこの意見に激しく同意した。そして、目の前にあの時の半分が青く染まった東京ドームの光景が鮮やかに蘇った。あれは、暗黒時代の終わりを象徴する強烈なイメージだった。



谷口団長「これまでずっと悔しい思いをしてきました。今シーズンのスローガンである横浜反撃のとおり、反撃というのはとてもいい言葉なので、ファンの皆さんもこの言葉を胸に応援してほしいし、私たちはその手助けをできればいいなと思っています。」


山下団長「ファンの皆さん、選手、球団、応援団、全員で反撃して優勝目指して戦っていきましょう。」


これが二人の団長の我々ファンへの熱い想いだ。


はい、ついて行きます。





ベイスターズを愛する会と全国星覇会の皆さんが、明日、最初に吹奏する応援歌は、


いまーだクワくらいつけ、燃えろガッツマン


ということになるだろう。


その桑原将志選手について、退団後球団広報に就任した狩野さんの記事が先日アップされた。
https://sports.yahoo.co.jp/official/detail/202203220025-spnaviow


桑原選手の練習熱心さについては、新人の頃、休みで皆が遊びに出かけた時も食事が終わったら寮に帰って一人で練習していたことや、未だに遠征先ではタクシーで球場に先乗りして一人で練習を始めていることなど、入団以来、多くの人がコメントしている。



狩野さんの記事でも次のようなことが書かれている。


“昨シーズン、開幕からスタメンを勝ち取った桑さんでしたが、ちょうどその時期は調子を落としていた時期でした。その状況からなんとか脱しようと、ビジターでの全体練習前、各ポイントのティーバッティングを行い、一つひとつ構えの確認をする早出練習を行っていました。


試合で結果が出ようと出まいと、翌日もやることはいつも一緒。調子を落とし、結果が出なくなってくると、やることを変える選手もいますが、桑さんは淡々と同じことを繰り返していました。


「結果が出ないとやること変えたくならないんですか?」という僕の問いに、桑さんは


「やるべきだと信じることをやり切って、それでも結果が出なかったなら、仕方ないって思える。今の俺はこれを続けることが必要だと思っている。」


という言葉が返ってきたことを今でも覚えています。


その言葉通り、同じ練習をシーズン通してずっと続け、終わってみれば打率3割を超える結果を出してみせました。”


桑原選手はオープン戦序盤にヒットが出ずに苦しんでいたが、最後の3試合連続安打そしてホームランも飛び出して復調傾向にあった。


今年もきっと走攻守に活躍してくれるだろう。




こうして記事を書いている間にも、開幕の時は刻一刻と近づいている。


“動き出さなければ何も始まりませんが、動けば、夢は向こうから近づいてきてくれるのです”


白石康次郎