あの素晴らしい牧をもう一度
中川颯投手は大丈夫なのだろうか?
3-2でリードしていた5回裏、唐突に交代が告げられた。
球数もまだ55であり、勝利投手の権利のかかる5回を前に降板するというのは故障かも知れないと思っていたが、試合後、やはり本人が右肩の違和感を申し出たとの報道があった。
オリックスに所属していた2022年春季キャンプで右肩の違和感があったにもかかわらず大ごとではないと判断して登板を続け、悪化させてしまったという経緯がある。
その経験があったから、今回は自ら申し出てストップをかけたのだろう。
今はただ軽傷であることを祈るばかりだ。
試合は昨日に続いて追いつ追われつの緊迫した展開。
初回二死一塁からマルティネス選手が高めに浮いたストレートを叩き、詰まった当たりではあったが力でセンターの頭を越えるツーベースとした。ファイターズが1点先制。
今日はマルティネス選手が一番中川颯にあっていたように思う。
しかし、2回には二死から7番セカンドでスタメン出場した大和がライト前ヒットで出塁すると、続く伊藤光が1-2からファイターズ先発の加藤投手のやや甘く入ったストレートを完璧なタイミングで捉えた。
左中間スタンドに飛び込む逆転ツーランホームラン。ベイスターズが2-1とリードした。
さらに、4回にも二死から好調の伊藤光がレフトへのツーベース。続く梶原昴希のセンター前にポトリと落ちるヒットの間に1点を追加した。
これで3-1となり、試合の主導権を握ったかと思われたが、その裏、盗塁失敗もあって二死走者なしまでは来たものの、ここで好調のマルティネス選手に打順が回り、1-1から中川颯の投じたストレートをレフトスタンドまで運ばれた。
この時点でスコアは3-2とベイスターズの1点リード。
この直後に冒頭に書いた中川颯の突然の降板があり、マウンドには急遽佐々木千隼投手が上がった。
佐々木投手は5回裏、6番万波中正から始まるファイターズの攻撃をわずか5球、ショートゴロ三連発で抑え、回跨ぎの6回裏も2人のランナーを出しつつ3番郡司選手を3球三振、怖いマルティネス選手をセカンドフライに打ちとり、緊急登板ながら火消し役を立派に務めた。
ファームの試合で真っ黒に日焼けした彼の精悍な顔が非常に頼もしく見えた。
しかし、追いかけるファイターズ打線の圧力を押し返すのは難しく、7回に登板した坂本裕哉投手が単打3本で1点を失い3-3の同点に追いつかれた。
これで今季初の自責点ということになったが、タイムリーとなった代打水谷選手のレフト前ヒットは打ちとった当たりがサードの右をギリギリ抜けるコースヒットという不運もあった。
そして、この回のアウトは三つとも三振でとっており、今日の失点だけで首脳陣の彼に対する評価が下がることはないだろう。
明日からまた切り替えて強気の投球を見せて欲しい。
展開的には追いついたファイターズに勢いがあったが、その流れを断ち切ったのが8回を任された中川虎大投手。
山﨑康晃が昨日失点しており、伊勢大夢はファーム、昨日好投したローワン・ウィックは一昨日のイースタンの試合で回跨ぎの登板をしていたため使い難い。
中川虎大投手の起用は消去法での選択かと思われたが、今日の出来を見るとそればかりではなかったようだ。
2番五十幡、3番郡司をストレートとフォークで三振に打ちとり、マルティネス選手もセンターフライに抑えた。
彼の好投が9回のベイスターズの攻撃にリズムをもたらしたのは間違いないだろう。
昨日と同様、クローザーの田中正義投手がマウンドに上がった最終回の攻撃で先頭の宮﨑敏郎はレフトフライに倒れたが、6番に入った牧秀悟が3-1からのアウトコース一杯のストレートを完璧に捉えてバックスクリーン横に着弾する勝ち越しのソロホームラン。
このストレートは決して失投ではなく、田中投手が捕手の構えたところに投げ切った一球だった。だからこそ、新庄監督はクローザーの配置転換を決断したのだろう。
9回裏は昨日に続いて連投となった森原康平が素晴らしいストレートで二つの三振を奪うなど5番から始まる打順を牛耳った。
昨日と同じ4-3のスコアでベイスターズが連勝し、8回をしっかり抑えた中川虎大がプロ7年目にして初めての勝利投手に輝いた。
森原康平はリーグ3位となる13セーブ目を挙げ、信頼感をさらに高めつつある。
それにしてもスタメン復帰の日に試合を決める一打を放った牧秀悟はさすが。
ベイスターズ復帰の日に逆転スリーランで試合を決めた筒香嘉智と同じくスターになる宿命の選手なのだろう。
牧が不在のこの10日間というもの、
広い荒野にポツンといるようで、
涙が知らずにあふれてくるようだったが、
やっと帰って来てくれた。
だから、皆で声高に叫ぼう。
あの素晴らしい牧をもう一度!
このブログへのコメントは muragonにログインするか、
SNSアカウントを使用してください。