初本塁打と初セーブで薄氷を踏むような勝利
選抜高校野球の決勝戦では横浜高校が智弁和歌山を11対4で下し優勝の栄冠に輝いた。
選手、監督をはじめ関係者の皆さん、おめでとうございます。
それにしても、2年生の織田投手は素晴らしい才能を持った選手だと思う。
このまま順調に行けば、来年のドラフトでは上位指名ということになるだろう。
願わくば、地元の横浜ベイスターズに入団して大いに活躍して欲しい。
さて、その横浜高校の勝利がほぼ決まった頃、ベイスターズの開幕カード最終戦は平良拳太郎とメヒアの先発で始まった。
平良投手は持ち前の制球力で内外角のコーナーを突き、ストライクゾーンを隅々まで使う投球を見せてくれた。
初回と2回は三者凡退に抑えたが、3回、4回と複数の走者を出してピンチを迎えた。
それでも丁寧に低めを意識した投球で無失点に抑え、5回、87球、被安打4、奪三振2、与四球1という結果だった。
際どいところを狙ったが故に球数がかさみ、5回で降板ということになったが、故障から復帰した久しぶりの公式戦の先発としては良かったと思う。
6回の先頭打者としてベンチ内でヘルメットを被る姿が見られ、試合後のお立ち台でもQSあるいはHQSを達成できなかった自分自身に納得がいっていないようにも感じられたが、その気持ちを次回の登板に繋げて貰いたい。
打線はメヒア投手の緩急を使った投球に手を焼き、3回までパーフェクトに抑えられていたが、2巡目に入った4回、先頭の梶原昴希が高めに浮いたチェンジアップを思い切りたたいた。
打球はぐんぐん伸びてバックスクリーンにまで届き、1点先制。
チーム初ヒットがソロホームランとなり、劣勢だったベイスターズが試合の主導権を握る。
梶原選手はこの他にもシングルヒットとツーベースを放つ猛打賞の活躍。
3試合目で打率の話をするのはまだ早いが、3割打者がほとんどいない低調な打線の中で.417と気を吐いている。
さらに、5回にも先頭の松尾汐恩がメヒア投手のカーブにしっかりとタメを作って引っ張り、レフトスタンドに放り込んだ。
ソロホームラン2本で2-0とリード。
今季3試合目で初の先発マスクを被った弱冠20歳の期待の若手捕手は守備でも先発平良投手を巧みにリードし、試合後に感謝されていた。
山本祐大選手という高い壁がいるのは確かだが、今日のような試合を通じて一歩づつ実績と信頼を積み重ねて行けばいずれは正捕手の座に手が届くだろう。
今日の得点はこの2点のみ。
主軸はまだエンジンがかかっていない印象だ。
特に、6回先頭の梶原選手がツーベースで出塁し、無死二塁というチャンスを作った時に、続く牧秀悟はサードゴロで走者を進められず、佐野恵太と筒香嘉智が外野フライで倒れるという淡白な攻撃で終わったのは非常に淋しい。
チームとして追加点をもぎ取るという意識が感じられず、3人の打者がそれぞれ自分で打点を挙げることを目指していたように見えた。
毎日が日本シリーズ第6戦だ、と思うのは難しいとしても、要所ではそういう気持ちのスイッチが入るようになれば昨年の成功体験が生きてくると思う。
平良投手が5回に降板した後は、第二先発風に石田裕太郎が登板し、6回、7回を完璧に抑えた。
しかし、8回に何故か急に不安定となり、先頭の大島選手をストレートのフォアボールで歩かせた。
一死後、代打中田翔選手にヒットを許して一死一二塁となると、続く上林選手にはシンカーをうまくライト右に持って行かれ、これがタイムリーツーベースとなってさらに一死二、三塁のピンチが続く。
ここで首脳陣の選んだカードは先発からリリーバーに再転向した伊勢大夢。
伊勢投手は流石に幾多の修羅場を潜り抜けて来ただけあって、冷静に4番石川選手を三振にうちとった。
フルカウントから投じた6球目は鋭く変化する外角低めのスライダーで、恐らく全く予想していなかった石川選手はタイミングが合わず空振り三振。
試合後にお立ち台で伊勢投手自身が語っていたように、この場面でこの球種を選択できたのは先発に挑戦することで得た投球の幅という新たな財産かも知れない。
伊勢投手は次の板山選手を高めのストレートで外野フライに打ちとり、ピンチを無失点で切り抜けた。
無意識のうちに出たというガッツポーズをしてベンチに戻る伊勢大夢を出迎える石田裕太郎の少年のような笑顔が印象的だった。
こういうことからブルペンの連帯感が強まっていくのはとても良いことだと思う。
そして、最終回はやはり入江大生がマウンドに上がり、圧倒的な球威で試合を締めくくった。
制球は未だバラついており、今日も代打の細川選手を四球で出塁させたが、最後の打者となった大島選手に全球ストレートを投じ、最後は高めの151キロで空振り三振を奪う姿にはクローザーとしてのポテンシャルの高さを感じた。
試合後の三浦監督のコメントでは、まだクローザーを決めた訳ではない、とのことだが、この発言は三浦さんらしくチーム内のバランスや入江投手へのプレッシャー緩和などに配慮したものであり、一昨日の記事にも書いた通り、チームとして入江投手をクローザーとして育てるという意思決定はすでになされているように思った。
山﨑康晃や森原康平などもクローザーとして併用しつつ、負荷を分散しながら段階を踏んで入江投手を守護神と呼ばれる立ち位置に導くというプランは出来上がっているのではないだろうか。
チーム打率は1割台にとどまっているが、投手陣の頑張りもあって開幕カードを勝ち越すことができたことを喜ぼう。
そして、4月に入って気温と共に打線も暖まってくることを祈るとしよう。






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