mizuyashikiのブログ

横浜ベイスターズを中心にその時に考えていることを書きます。

森敬斗は片岡先生と盗塁のお勉強



11月8日 12球団合同トライアウト当日


今日になって日本ハムファイターズの近藤健介選手がFA宣言を行った。


侍ジャパンのメンバーでもある彼は、先週末の日本ハム及び読売との強化試合を終え、明日から二日間のオーストラリア代表との親善試合が始まる前のタイミングで公表したということだろう。


このニュースを受けて、欲しがり屋さんのソフトバンクと千葉出身の近藤選手の地元球団であるロッテが獲得に向けて調査を行うとのこと。


また、西武ライオンズも獲得を検討という報道があったが、こちらはもう一人のFAの目玉である森友哉選手の去就とも関連することになる。


我がベイスターズは今のところ静観の構え。オースティンと佐野が手術明けとは言え一応メンバーの揃っている外野手のマネーゲームには参加しないということなのか?


もうしばらくは成り行きを見守って行きたい。



【合同トライアウトという舞台】


朝から昼休みを挟んで午後まで楽天生命パークで行われた今年の合同トライアウトには合計49名の選手が参加した。


49選手の中にはまだ一軍で通用しそうだが年齢や所属球団のニーズと異なる等の理由で戦力外となった名前の通った選手から、故障などで往時のパフォーマンスを見せられなくなっている選手、あるいは既に引退して打撃投手を務めている選手などが含まれており、その内訳は様々だ。


昨日の記事でも書いたが、既に意中の球団との話が進んでいて、最終テストという位置付けでトライアウトに参加する選手もあれば、そうした話はないが一縷の望みをかけてチャレンジする選手、あるいはキャリアの最後にトライアウトに参加して”やり切った”という意味で自分を納得させたい選手もいることだろう。



ベイスターズを戦力外となった選手のうち唯一トライアウトに参加した宮本秀明選手は第二打席で元巨人の與那原投手からセンター前ヒットを放ち、3打数1安打という結果だった。


今年の彼は一軍での活躍はなかったものの、イースタンリーグで打率 .347(ただし規定打席には達していない)、OPS .977、16盗塁(リーグ3位)という成績を残しており、どこかのチームから声がかかるかと思っていたが、やはり1軍での実績のなさや守備での”やらかし”がネックになっているのだろうか。


彼の今後がどうなるのか私には全くわからないが、ここで一区切りということで”お疲れ様でした”と言いたいし、NPBあるいは独立リーグなどで野球を続けるにしても他の道に進むにしても、彼にとってベイスターズで過ごした5年間が糧になり、彼らしく活躍することを祈っている。


その他、ベイスターズゆかりの選手としては巨人から戦力外となった井納翔一投手が3人の打者に対して被安打1という結果だった(安倍友裕(元広島)センター前ヒット、真砂勇介(元ソフトバンク)ショートゴロ、黒瀬健太(元ソフトバンク)ショートゴロ)。


ストレートの最速147km/hということで未だ通用する場面はあると思うが、来年37歳という年齢がネックになるかも知れない。



元楽天の内田選手、元ソフトバンクの中谷選手、元中日の三ツ俣選手、元ヤクルトの中山選手などの名前の通った選手たちはいずれも1安打という結果だったが、この中からNPBに復帰するものは出るだろうか?


投手でも2010年カープのドラフト1位だった福井投手や同じくカープで中継ぎを長く務めた菊池投手はいずれも3人の打者をノーヒットに抑えた。


これからおよそ一週間の間に数人の選手にはNPBの球団から連絡があるだろうし、それ以外の選手にも独立リーグや海外のチームなどから誘いの声がかかるだろう。


私はCSの画面で彼らの活躍を観ていたが、トライアウトという舞台でもやはりプロ野球選手としての矜持を持って毅然と自分の最善のプレーを見せようとする姿は鮮明に記憶に残った。



【片岡臨時コーチによる森敬斗の走塁・盗塁指導】


このところ不本意な形でプライベートのことが噂になってしまっている森敬斗選手。偶然かも知れないが、この出来事で少し潮目が変わってきつつあるように見える。


彼は俊足・強肩という身体能力に優れたイケメン内野手で、ドラフト1位ということもあり、周囲から大きな期待をかけられてプロでの3年間を過ごしてきた。


高卒のショート、ドラフト1位ということで、2020年の時点では同世代のトップであったと思うが、その後、状況は変わりつつある。


ヤクルトの長岡選手やオリックスの紅林選手という同学年の二人の高卒の遊撃手がレギュラーの座をほぼ手中にして共に日本シリーズでも活躍した。


さらに、森選手よりも1学年下の中日ドラゴンズ土田選手も堅実な守備が立浪監督の信頼を得て先輩の京田選手を押し退け、レギュラーに近づいている。


就任以来森選手に指導を行っている石井琢朗コーチも”長岡や紅林の活躍をどういう思いで見ているか”と言っており、ここで森選手自身が何を感じてどこまで努力できるかが彼のプロ野球選手としての行く末を決めることになるように思われる。


石井コーチは、”本人が努力しないことには”という辛口のコメントも発しており、野球に集中することはもちろん、必死の努力が求められることになるだろう。


もっとも、あの春先の肉離れと捻挫の併発がなければどこまで伸びることができたか、という不運な一面はあり、石井コーチはもちろん我々ファンも今オフこそは悔いのない形で野球に精進してくれることを期待している。


今年のCSファーストシリーズで森選手が送りバントを失敗し、最後は高めのボール球を空振りして三振に倒れた後、スタジアムの客席では


”森、バント練習しろよおー”


という励ましを2割がた含んだ野次が飛んでいたっけ。彼の耳に届いていただろうか?


その森選手は今日と明日の二日間、臨時コーチとして秋季練習に参加している片岡保幸さんから走塁と盗塁の指導を受けている。


盗塁に関しては、以前、5年連続盗塁王に輝いた元阪神タイガースの赤星憲広さんの書かれた”頭で走る盗塁論 駆け引きという名の心理戦”という本を読んで、これは奥の深い世界だと思っていたが、4回盗塁王に輝いている片岡さんの言っていることも赤星さんの挙げているポイントと驚くほど似ている。


いくつか挙げてみよう。


①盗塁と走塁は全く違う。


②足が速いだけでは盗塁はできない。


③盗塁にはスタートのタイミングが重要で、良いスタートのためには各投手のクセ(打者に向かって投げる場合と牽制球の場合の微妙な差異)を覚えて起動と同時に動く必要がある。


④良いスタートのためにはピッチャーの全体をぼんやりと見ることが大事。どこかを凝視してしまうと力が入ってスタートがわずかに遅れる。


⑤右ピッチャーよりも左ピッチャーの方が走りやすく、リードも大きく取れる。


⑥リードは大きければ良いというものではない。リードが大きくなって帰塁が心配になると良いスタートを切ることができない。


⑦走塁は練習できるが盗塁は練習ではうまくならない。真剣勝負の中でバッテリーと駆け引きし、失敗しながら技術を高めるしかない。


⑧盗塁で唯一練習できるのがスライディング。スライディングに入るのはできるだけベースの直前が良い。その方がスピードを殺さず怪我も少ない。


⑨スライディングでは、ももや腰を地面につけてはいけない。膝から下を少しつけるだけでベースですぐに立ち上がれるくらい高い姿勢が良い。


このほかにもメンタル面での注意点や準備などがあり、やはり道を極めるというのは並大抵の努力ではできないということだ。


今シーズンの森選手は失敗を恐れてなかなかスタートが切れないことが多かったように思う。


”若い人はどんどん失敗して覚えていくべきだ”という片岡さんの指導がきっかけとなって、彼のメンタルも含めた盗塁改革がおこり、その技術と経験がこれからのプロ野球人生での頼れる武器になっていくことを祈っている。