西巻選手の入団と追浜的な秋季練習の日々
【西巻賢二選手の入団】
11月15日 ロッテから戦力外になった西巻賢二選手が育成選手としてベイスターズに入団することが発表された。
西巻選手は仙台育英高校出身の23歳で、167cm、70kgの小柄な体格ではあるが、俊足と安定した守備という評価があるようだ。
私は彼のことを知らなかったので、少し調べてみた。
2017年ドラフト6位で楽天ゴールデンイーグルスに入団し新人だった2018年には1軍で25試合に出場し打率 .247の成績を残したが、翌2019年になると出場機会を減らし、そのオフに”チーム編成上の理由”ということで戦力外通告を受けた。
1軍の出場経験のある高卒選手が入団2年で戦力外になったのはNPBで初めての事例だったらしい。2018年に星野仙一さんが急逝して、同年9月から石井一久さんがGMに就任したことと関係があるのかも知れない。
2018年オフにロッテの入団テストに合格し、2019年から今年まで内野手として在籍していたが、1軍の試合数は限られており、主にイースタンリーグの試合に出場していた。
1軍での出場試合数は40、94打数23安打で打率 .245、出塁率 .290、OPS .577という成績を残している。
西巻選手は合同トライアウトに参加していたが、そこでは3打数無安打という結果であり、その日の活躍が今回の入団につながったということでもないらしい。
同じイースタンリーグでもあり、今シーズンも97試合に出場した西巻選手にベイスターズの仁志2軍監督などが日頃から注目していたのだろう。
ひょっとすると、田部選手の不可解かつ突然の引退であいたファームの二遊間の穴を補充するための措置という側面があるのかも知れない。
今シーズンも時折ファームの試合をインターネット配信で観る機会があったが、2軍とは言え、かなりまずいエラーが多発する日もあった。
安定した守備を見せてくれる西巻選手がセカンドあるいはショートを引き締めてくれると、プロ野球の試合としての体裁が整ってくるだろう。
彼も早ければ今月中にベイスターズの2軍練習施設であるDock of Baystars Yokohamaに引っ越して秋季練習に合流することになる。
この施設の所在地が横須賀市の追浜という地域だ。最寄駅も京浜急行の追浜駅。
神奈川県の人以外にはあまり馴染みがないかも知れないが、これで“おっぱま”と読む。
八景島にも近く内湾に面した海沿いの街で、盛り場のようなものから遠く離れ、ベイスターズの青星寮で暮らす若手選手たちはここで野球漬けの日々(追浜的な日々)を送っているはずだ。
【森敬斗の追浜的な日々】
今春のキャンプから石井琢朗コーチのマンツーマンの指導を受け飛躍が期待された森選手だったが、巨人とのオープン戦でハムストリングの肉離れと足首の捻挫を同時に併発して出遅れてしまった。
結局、61試合に出場して打率 .234 に終わり、同学年のヤクルト長岡選手やオリックス紅林選手がレギュラーとして日本シリーズにまで出場していたことを考えると”悔しい1年”だったと思う。
しかし、守備では、昨年のような苦し紛れの一か八かの送球でランナーを不用意に進めるようなことはなくなり、少し大人のプレーができるようになってきた。
元々守備範囲が広く強肩でもあることから、基本に忠実な捕球を確実に行い、送球までのタイムロスをなくすことができれば守備からレギュラーの座に近づくことができるだろう。
バッティングでも、強く振ることの大切さを佐野キャプテンに諭されてから、9月は月間打率 .311と上向きに転じた。
秋季練習でも相変わらず石井琢朗コーチの創意工夫に溢れた指導を受けて頑張っているようだ。
バッティングでは、プロ入り時には投手だった石井琢朗コーチがホームベースの手前に置いたジャンプ台のようなものにわざとワンバウンドさせる投球を打ち込むなどの打撃練習を行なっている(この練習の意図はなんなのだろうか)。
守備では通常よりも二回り以上小さい卓球のラケット程度の大きさのグラブを使ってゴロを捕球する練習を繰り返しているようだ。この練習はゴロをグラブの中心でしっかり捕球するという基本を徹底するためのものだろう。
3年前に森選手がドラフト1位で入団してから、昨年のドラフト3位で高卒の遊撃手である粟飯原選手を獲得し、今年も大卒の二塁手兼遊撃手の林選手を指名するなどの補強を行なっていることもあり、彼のチーム内の立場も安泰ではないことを感じているだろう。
プライベートでも色々あったようだが、もう一度初心に帰って追浜の海を見ながら野球漬けの毎日を送って欲しい。
【ファーム捕手陣の追浜的な日々】
今シーズンの序盤、山本祐大選手は一軍でマスクを被っていた。
中日キラーと言われたフェルナンド・ロメロ投手とバッテリーを組む日を中心に17試合に出場したが、打率 .103、出塁率 .156と投手並みの打撃成績に終わった(ちなみに今永昇太の打撃成績は昨シーズンより落としたものの打率 .184、出塁率 .205)。
昨日のブログで書いたように、里崎チャンネル式の評価だと、QS率 56%、HQS率44%となっており、守備の方は何とか一軍に置いてもらえるレベルになっていると思うが、上記の悲惨な打撃成績では第三捕手以上の役割はもらえないだろう。
彼のバッティングはヒッチする際に上半身が前に倒れるなど、軸がしっかりしておらず、素人目にも無駄な動きが多いように思う。
このままでは一軍定着は難しいと思うので、この秋季練習で思い切ってバッティングフォームを大きく変えてみてはどうだろうか?
楠本選手が今シーズン途中に一本足打法に変更したように、あえて一旦静止するようなフォームに変えてみるのも一つの手だと思う。
彼以外の若手の捕手と言えば、高卒4年目(青藍泰斗高)の益子京右選手と高卒3年目(
智弁和歌山高)の東妻純平選手だが、益子選手は1軍で一試合のみ(1打数、1四球、1三振)、東妻選手は1軍昇格なしで終わった。
東妻選手はファームで打率 .244、出塁率 .331、OPS .716と3人の中では最も良い打撃成績を残しているので、こちらを伸ばして行って”打てる捕手”として売り出していくことも考えられる。
来シーズンはドラフト1位指名の大阪桐蔭の松尾汐恩選手と育成1位の独立リーグ愛媛マンダリンパイレーツの上甲凌大選手という二人の捕手が入団することになり、ファームの捕手はこれまでになく激しいものになると予想される。
山本、益子、東妻の3人の捕手はそれぞれ危機感を持って秋季練習に臨んでいると思う。
昨日、彼らの練習風景の動画が配信された。
レガースをつけた東妻選手がコーチの号令にあわせて腰を落としショートバウンドのボールを体で止める練習をしているかと思えば、その後ろを膝をつけながら座った体勢で両足を交互に前に出してにじり歩く(変な動詞だが他に言いようがない)益子選手がいるというように非常にハードな基礎練習をこなしているようだ。
我々ファンはプロ野球のキャッチャーと言えば配球やリードあるいは守備陣への指示などのインテリジェンスが重要と言う印象を持ちがちだが、その前に、まず十分な基礎体力と基本技術によって頭を使うだけの余裕を持つ必要があるということなのだろう。
彼らの追浜的な日々はいつまでも続くように見えるが、新しい捕手たちの入団する来シーズンのオフには戦力外を言い渡される選手もいるかも知れない。
だからこそ一日一日を大切にして練習に励んで欲しい。
自分の努力に疑問を持ったり、何か別のものに逃げたりしてはダメだ。
君たちは数百万人の野球少年たちの頂点にいるほんの一握りの才能なのだ。
“何かに挑戦したら確実に報われるのであれば、誰でも必ず挑戦するだろう。
報われないかもしれないところで、同じ情熱、気力、モチベーションを持って継続しているのは非常に大変なことであり、私は、それこそが才能だと思っている。”
羽生善治
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